「目的があってカナダに来るのであれば決してマイナスになることはない」帰国キャリアドットコム キャリアコンサルタント篠山美季さん(後編)|Hiroの部屋
新型コロナウイルスによるパンデミックでしばらくお休みしていた連載インタビュー企画「ヒロの部屋」。トロントの街も経済正常化に向けて少しずつ再興が始まってきており、ついに本企画も再スタート!。連載再開となる今月は休載前まで前編・中編と続いていた、ワーキングホリデーや留学生の帰国就職支援を手がけている「帰国キャリアドットコム」の創業メンバーで、キャリアプロデューサーを務める美季さんとの対談の後編をお届けする。
前編では共同経営者が全員カナダ人女性というヒロさんと、カナダでワーホリ経験時に美季さんが体験し影響を受けた欧米らしいワークライフバランスの話を中心に話が進んだ。起業の話では、お互いカナダでの体験をもとに、自分たちのような移民でも起業できること、そして社会的機会が平等に与えられることが、カナダの素晴らしいところだと改めて認識し合った。
ヒロ: 当時働いていたサロンの同僚たちと共同経営者になり、全員がカナダ人女性の中で、僕だけ男でさらに唯一の外国人。ここカナダでは女性が起業することも普通だし、僕のような移民でも起業できる。
中編では、ワーホリや留学生に数多くの接点を持つ二人に就職や働き方について感じていることを語り合ってもらった。特に美季さんがワーホリ期間を経て日本に帰国し、社会人として働く中で感じた女性の働きやすさや機会平等などについてヒロさんと話してもらい、美季さんがどのような思いでキャリアプロデューサーとして歩んでいったかなどが語られている。
美季: 女性の立場で働き方を考えたときに、「子どもが生まれた時にこれからどうしよう?」では、もう遅いんですよね。もしその時が来て自由な選択をしたいのであれば、新卒時もしくはその前から考えておかなければいけません。日本の就職活動にはそのあたりが欠如しているように感じます。
美季: はい!日本で採用をしていたとき、もっと出来ることがないかとモヤモヤしていました。そんな折、帰国を予定しているワーキングホリデーの方や留学生の方の就職をサポートする起業の話を夫から聞いて、ピンと来ました。私自身が海外に出て考え方が本当に変わりました。自分がどう生きていきたいか、深く考える時間でもありましたからね。
ヒロさんも若い人たちとの接点が多いんですよね?
ヒロ: そうですね。コロナ禍前まではカナダと日本にて、一般の大学、美容学校、ヘアサロン個人店からチェーン展開している企業まで、多くの学生さんや若い美容師さんへ講演やセミナーを数年間してきました。その際、自分のカナダでの体験や感じたこと、学んだことを日本の若い次世代の方々に伝えることへ特にやりがいを感じ、ライフワークの一環として捉えて活動していました。
美季さんはこの2~3年の間に多くのワーホリの方々と接してきたと思いますが、コロナ関係なく時代とともに彼らのどのような部分が変化してきていると思いますか?
美季: 検索すれば何でも情報が手に入る世の中になり、便利になった一方で、自分がどうしたいかよりもワーホリ生活で「正解」を求める人が増えた印象です。
ヒロ: 美季さんのワーホリ時代とはだいぶ違いますか?
美季: 私がワーホリの時は、世の中の正解よりも自分が好きなように行動している人が多かったように感じます。皆んなそれぞれ自分らしく生きていて、学生だった私はそれをカッコイイなと思っていました。コロナの影響が強いのかもしれませんが、いまは保守的な考えをもつ人が増えている印象です。会社探しも仕事内容ではなく、会社が何をしてくれるか、何を与えてくれるかを念頭に置いている人も多いです。まず第一に、とにかく落ち着きたいとか、リモートワークで働きたいという声も聞きます。
ヒロ: コロナ禍によってだいぶ変わったワーホリ就活状況。人材不足のトロントでは早く多くのワーホリの方々にきてもらいたいという声が多いですが、一方で、これから日本におけるワーホリ経験者の需要はどうなると思いますか?
美季: 目的があってカナダに来るのであれば決してマイナスになることはないと思います。おそらく二極化が鮮明になるのではないいでしょうか。帰国したら無難に落ち着きたいという保守層と、ワーホリ時代に手に職やスキルをつけて攻める層とはっきり分かれると思います。
ヒロ: 今後、世界的に様々な格差がより広がるでしょう。今回のコロナ禍を契機にチャンスを生かすも、自分次第。引き続き、日本の若い次世代を応援したいですね。
(聞き手・文章構成TORJA編集部)
篠山美季さん Miki Sasayama
新卒で入社した会社ではコワーキングスペースの運営責任者として、スタートアップのビジネスマッチングや次世代の働き方のセミナーなどのイベントを数多く実施。その後、ITベンチャーの人事として入社し、採用と組織改革を行い、現在はその経験を活かし帰国者の就活の支援を行っている。
帰国キャリアドットコム
kikokucareer.com
Facebook・Instagram: @kikokucareer
Hiroさん
名古屋出身。日本国内のサロン数店舗を経て渡加。NYの有名サロンやVidal Sassoonの就職チャンスを断り、世界中に展開するサロンTONI&GUY(トロント店)へ就職。ワーホリ時代から著名人の担当や撮影等も経験し、一躍トップスタイリストへ。その後、日本帰国や中米滞在を経て、再びトロントのTONI&GUYへ復帰し、北米TOP10も受賞。2011年にsalon bespokeをオープン。今もサロン勤務を中心に、著名人のヘア担当やセミナー講師としても活躍中。世界的ファッション誌“ELLE(カナダ版)”にも取材された。salon bespoke
130 Cumberland St 2F647-346-8468 / salonbespoke.ca
Instagram: HAYASHI.HIRO
PV: "Hiro salon bespoke"と動画検索