カナダ・トロント 新移住者50周年記念パーティー | 日系コミュニティのさらなる発展とより強い絆を目指して〜
10月12日、新日系コミッティーと日系文化会館の主催による新移住者50周年記念パーティーが行われ、「縁」というテーマのもと、日系コミュニティ間の素晴らしい繋がりを永続できるようにお祝いをしようと、およそ400名もの人々が参加した。
ステージに登壇した新しくトロント総領事に着任した伊藤恭子総領事は、「戦前に移住された日系人の方にとって、太平洋戦争中の財産没収や強制収容、戦後も続いた差別は筆舌に尽くしがたい苦難の連続であったことは言うまでもありません。しかしそれらを乗り越え、カナダ社会の中で日本人や日系人に対する非常に高い評価を築いてくださいました。そしてまた新移住者の方々におかれましても、気候、言語、風土、習慣が全く異なる土地で様々な困難を克服してこられました。今日、我々のような駐在日本人がカナダ社会で平和に暮らすことができ、日系企業が円滑な活動を行えるのは、戦前戦後の移住者の方々、そしてカナダに生まれカナダ社会に貢献されてきた大変多くの日系人の皆様のおかげであります。一方で戦前と戦後で日系人を区別することはあまり意味のあることではありません。もちろん新移住者の方々は日本語を母国語とする方々ですが、戦前の日系一世の方々もまた同じでありました。戦前、戦後、いずれの移住者の方々も日本人の忍耐、勤勉、誠実といった美徳を忘れず、カナダ社会との融和を最優先にし、そのためこの日系文化会館を中心に日本文化をカナダ社会へ理解していただくことに大変な努力をされてきました。カナダ社会の貢献に大きく貢献し、日本人に値する信頼を築き上げられたことに対し、心より尊敬と感謝を表したいと思います。」と祝辞を述べた。
初代の新移住者協会会長を務めた加藤欽也氏は「かつて日系一世二世の方々が築いて下さったカナダ文化のモザイクの一つ、その上に私たちが存在し、こうして新移住者として50周年を迎えることができました。今日のこのパーティーのために運営をサポートいただいている日系文化会館の方々、数多くのボランティアの方々へ今一度、感謝申し上げます。」と謝辞を述べ、加藤氏がカナダに移住してからの様々な出来事を振り返った。
日系文化会館ゲーリー・川口理事長は、「おかげさまで日系コミュニティならびに日系文化会館は素晴らしい日本の縮図となっています。そして今、日系文化会館の未来は、皆様の肩にかかっています。日本の文化と先代から受け継いだ遺産を保護することは、後世の子供達にとって非常に重要です。我々日系人がこれまで経験した困難は、きっと同じように新移民の方々も経験されてきたことだろうと思います。移住や国際結婚の結果、二つの文化の間でどのように折り合いをつけていくのかは難しい問題です。しかし、今私たちはそのような試練を乗り越え、この日系文化会館で日系人と新移住者が一つになりました。その日系コミュニティの姿を、私はとても嬉しく思っています。言語はコミュニケーションを取る上で障害ではありません。これからも一丸となり、日系文化会館を揺るぎない確固とした存在となるよう、創り上げていきましょう。」と日本語でのスピーチにチャレンジをし、会場からは惜しみない拍手がおくられた。
当日は豪華な食事をはじめ、フラメンコと和楽器のエンターテイメントやラッフルの抽選会が行われ、閉会の時間まで会場内は活気に満ちていた。最後に来場者たちに、「トロント新移住者50年の歩み」という、多くの移住者たちの寄稿や日系人の移住の歴史などが綴られた記念誌が配布された。
新日系コミッティー(NJCC)の代表の武元昭儒さんは、当日を振り返り、「今年の4月にNJCCの代表に就任して初めての大舞台でしたが、実行委員のメンバー、ボランティア、JCCCの方々などのお陰でパーティーを沢山の人と楽しく祝うことができ本当に嬉しく思います。これからもこの素晴らしい人の繋がりが永続していくよう、トロントの日系社会を盛り上げていきたいと思いますのでお正月会や夏祭りなど我々と共に活動したいと思われる方がいらっしゃれば是非ご連絡くださいませ!心からお待ち申し上げております。」と述べてくれた。
現代に生きる私たちが先代への尊敬の念を忘れることなく、助け合って生きていくことで、このすばらしい日本文化と先代から受け継がれた遺産はこれからもカナダという地に生き続けることだろう。
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