故三笠宮崇仁親王殿下や元フィギュアスケート選手の樋口豊氏との交流をもつ「トロント・クリケットクラブと日本の深い関係」
トロント・クリケットクラブの歴史
トロント・クリケット・スケーティング・アンド・カーリングクラブは、会員制のスポーツクラブだ。種目はその名の通りクリケット、スケート、カーリングを始め、ゴルフやスキー、スカッシュ、テニスなど多岐に渡る。
1827年にトロントクリケットクラブ 、1836年にはカーリング、1895年にスケートクラブがそれぞれ設立された。しかし各クラブの施設の維持・管理や行事運営の経費による経済難から3施設は統合することを決め、1957年にトロント・クリケット・スケーティング・アンド・カーリングクラブとして新たに設立された。
現在、同クラブはトロントを拠点に世界中の選手たちへ最高レベルの技術指導を行うと同時に、会員には様々なレクリエーショナルスポーツプログラムやイベントなどを提供している。
日本人選手
同クラブと日本との関係の始まりは1968年に遡る。同年に開催されたグルノーブルオリンピックに出場した樋口豊選手は、そこで目にしたデヴィット・マギルヴレイ選手の滑りに感動しスケート留学を決意。高校を卒業した樋口氏は単身でカナダに渡り、同クラブ日本人初の会員となった。
4年間をトロントで過ごした樋口氏は、日本に帰国後も毎夏同クラブの練習に参加し、時には日本人若手選手らを強化のため送り込むこともあるとのことだ。
現在では、日本スケート界を代表する羽生結弦選手が同クラブに所属している。羽生選手は2012年夏からトロントに拠点を移し、同クラブでブライアン・オーサー氏のもと練習を開始。同クラブの多彩なスポーツ設備を利用して、スピンやジャンプ、筋トレなど細かいトレーニングメニューをこなしている。
羽生選手のコーチであるオーサー氏は過去に韓国のキム・ヨナ選手を指導したり、現在でもスペインのハビエル・フェルナンデス選手の指導にあたったりと世界トップレベルのコーチングを誇る。
また、多くの日本人若手選手が同クラブの提供する短期スケートプログラム等を利用し、世界中の選手らと競いながら技術を磨いている。ジュニアでは西山真瑚選手など期待のスケーターも所属している。
日本との草の根の交流
トロント・クリケットクラブはスポーツ・ソーシャルクラブとして会員間の交流もこのクラブの大きな特徴の一つだ。例えば、同クラブはスケートプログラムに参加する日本人若手選手を対象に、会員が自分の家庭で彼らを滞在させてあげるというホームステイなどの活動も行なっている。
この経験を通して選手たちはスケートの技術向上だけでなく、カナダ人の大らかさやあたたかな国民性に触れられていることだろう。また、同クラブには世界レベルの選手から地元の子供達まで幅広い年齢層・レベルのスケーターが集まるため、選手間のコミュニケーションも活発だそうだ。