桜の名所、トロント・ハイパークの桜寄贈60周年記念および 天皇陛下御即位祝賀セレモニーと記念レセプションが盛大に開催
青く澄み渡った空の4月28日、ハイパークにて桜寄贈60周年記念および天皇陛下御即位祝賀セレモニーが行われた。
セレモニーの冒頭には、桜の植樹が行われ、伊藤恭子トロント総領事のほか、ブティラ・カルポチェ・オンタリオ州議会議員、ジョン・トーリー・トロント市長、アリフ・ビラニ連邦議会議員が記念植樹を行った。今回の植樹では、ハイパークのほか、トリニティー・ベルウッド公園、シダーベール公園に、合計17本の桜が植えられた。
日本とカナダの絆は一層強固に
伊藤総領事は謝辞を述べたあと、この記念すべき日の意義について語った。60年前に寄贈された桜は日加両国の友情を表すという。現在は、「桜が成長したように日本とカナダの絆は強固になっている」と語り、60年間にわたり桜の保護に携わってきた人々に、「ありがとうございます」と日本語で感謝の意を述べた。
天皇陛下の御即位や新元号「令和」についても言及するとともに、この日本のお花見の伝統に鑑みて、日本総領事館とトロントの日本食レストランが提携する「Sakura Delight」プロモーションにも言及。集まった人々に、期間限定で提供される桜モチーフの日本食を楽しんでもらえるように提案した。
そして、今やカナダにおいて日本酒や日本食、漫画など、日本の文化が広く認知されていると述べ、世界的にも今年はラグビーワールドカップ、2020年のオリンピック・パラリンピックのホスト国として日本がいま一度注目されているとし、この機会に「おもてなし」を楽しんでもらいたいと語った。
トロント市民に桜を楽しんでほしい
ジョン・トーリー・トロント市長は、「このイベントの目的は、トロントに住む人々に桜の魅力を発信することだ」と強調し、桜の美しい姿を写真におさめて宣伝してほしいとメディアに語り、集まった人々にも桜を丁重に扱うように促した。合わせて、ハイパークのウェブサイトにある「Cherry Blossom Watch」を利用するとライブで鑑賞を楽しめると語りかけた。最後に、長い歴史のその昔にトロントに来た日本人に思いを馳せながら、トロント市は日本の文化に対してウェルカムだと語り、日本国と日本人との友好の尽力と固い絆に感謝を述べた。
桜は日本とカナダを結ぶ「糸」
ブティラ・カルポチェ・オンタリオ州議会議員は、桜をケアしてきた人々に感謝を述べたあと、ハイパーク以外のエリアからの来訪者も多数いることを確認し、桜があらゆる人に愛されていると語った。過去60年の絆を表すこの桜は、今後の日加の関係を祈願するものでもあるという。そして、総領事の苗字である伊藤の音が「糸(いと=Thread)」に似ているとし、「桜は日本とカナダを結ぶ『糸』のような存在である」と語った。
日本文化は知るべきことがたくさん
アリフ・ビラニ連邦議会議員は、同時期に安倍信三首相が訪加しジャスティン・トルドー首相と対談していることに触れ、戦争から間もない1959年から、日加関係は随分と見直されてきたとした。ハイパークの1500年の歴史も言及し、桜をはじめとして日本の文化は知るべきことがたくさんあると語気を強めた。ところどころ日本語を交えながら講談した後、最後は「ありがとうございます」と笑顔で締めくくった。
式典では、よさこいダンスの「桜舞」や演舞邦楽グループ「TenTen」の演奏、そして裏千家淡交会トロント支部による野点の茶道の披露も行われた。
ハイパーク桜寄贈60周年及び新元号「令和」誕生の祝賀レセプション
5月3日には、総領事公邸にて記念レセプションが催され、長年に渡り日本とカナダ、オンタリオの文化・政治・経済・コミュニティに関わりがある方々が招待された。
伊藤総領事は、30年続いた「平成」という元号から新しく「令和」へと変わったことを説明し、英語では「Beautiful Harmony」と紹介、日本とカナダの文化が一体となって新時代を迎えることや、人々の心や思いがひとつになるときこそ両国の文化はますます繁栄するだろうと述べた。
先に行われたハイパークでのセレモニーや桜の植樹について述べ、60年たった今、ハイパークの桜はとても有名になり多くの人々に愛されるようになった。そして日系カナダ人・日本人もまた、モザイク文化とよばれるトロントの中でとても価値のある存在になったと言及。長い歴史の中でカナダと日本はパートナーになり、お互いの価値を認めあう関係だと語り、今日では日本の文化やビジネスはオンタリオ州の人々からとても高い評価を得ていると述べた。
日本人が桜をこよなく愛し、身近な存在であるということ、そして桜は日本や日本人の象徴であることを説明し、その桜を贈ることで日本とカナダの今までとこれからの友好関係が表しているということを力強く語った。そして桜を通して今後ももトロントの人々にますます喜びを届けたいと話した。
最後に、いつでも日本を訪れて桜やホスピタリティ「おもてなし」を楽しんでほしいと述べたのち、桜を見に訪れたときは、新しい令和への思いとこれからも続く日本とカナダの友好関係を感じてほしいと結んだ。