日本人の母をもつ、今注目の作家「キョウ・マクリアーさん」
Interview of the month
キョウ・マクリアー
小説家、エッセイスト、児童本作家。イギリス・ロンドンに生まれ、4歳の時、トロントへと移り住む。トロント大学の美術・美術史を名誉学位で卒業、教養科目の修士課程修了。デビュー小説「The Letter Opener」(ハーパーコリンズ出版)は、2007年度アマゾンカナダにおいて、処女作賞のファイナリストに選出、2009年には文学部門のKMハンターアーティスト賞を受賞。二作目の小説「Stray Love」(2012年)はクイルアンドクワイイアー(カナダの雑誌)から高評価のレビューを受け、アマゾン編集者チョイスにも選出される。
キョウ・マクリアーは小説家、エッセイストそして児童本の作家でもあります。彼女はイギリスのロンドンに生まれ、4歳の時、海外通信員でドキュメンタリー映画製作者の父(イギリス人)と、画家で美術品のディーラーの母(日本人)とトロントに引っ越しました。彼女はトロント大学の美術・美術史を名誉学位で卒業し、教養科目の修士課程も修めており、いくつかの学術出版物も持っています。彼女の短編小説、エッセイ、美術批評は北米、ヨーロッパ、アジア、オーストラリアで広く出版され、また選集にも入れられています。
彼女のデビュー小説「The Letter Opener」(ハーパーコリンズ出版)は、2007年度アマゾンカナダにおいて、処女作賞のファイナリストに選出されました。また2009年には、文学部門のKMハンターアーティスト賞を受賞し、また二作目の小説、「Stray Love」(2012年)はクイルアンドクワイイアー(カナダの雑誌)から高評価のレビューを受け、アマゾン編集者チョイスにも選ばれました。それはハーパーコリンズ・カナダとピカドア/パン・マクミラン・オーストラリアによって「A Thousand Tiny Truths」という題名で出版されています。
作家活動をはじめたきっかけはなんですか?
私は作家活動を10代後半から始めました。というのも、本を読むのが本当に大好きだったのです。学校の先生に読書を勧められて以来、本を読むようになって、以来私は本の虫になったのです。夏を東京で過ごして、子供は自分だけだったので、本が友達みたいなものでした。スヌーピーシリーズを読むのがとくに大好きでした。そうして「本に囲まれた生活を送りたい」という自分の思いに気付いて、作家になったのです。
スヌーピーシリーズが好きだった理由はなんですか?
登場人物はすごく可愛いのに、とても感情が豊かなのです。目に見える成長のない世界という発想がすごく好きでした。
作品の中に何か共通のテーマ、または共通して表現しようとしていることはありますか?
一環しての共通テーマはありません。ですが、様々な理由で自分を社会ののけ者と思っている人々についての話を書いている傾向にありますね。人種の混ざった人間として、私はどのカテゴリーにも属していないので、自分は社会の端にいると考えている人に興味があります。また人々が普通ではない方法で、また予期しない場所でどのようにコミュニティーを見つけるかということにも、とても興味があります。
本を書くのにどんなものや瞬間からインスピレーションを受けますか?
私の全ての物語は、ほんの小さな発想の種から始まります。それはイメージや私が会った人ということもあり得ます。時々その種はとても小さくて、やってみる価値があるとは全然思えないのですが、たいてい時間をかけて忍耐強く続けることで、その種は育ち始めるのです。
さきほど「すべての物語はほんの小さな発想の種から始まります。それはイメージや私が会った人であったりします」とおっしゃられましたが、何か例を教えていただけますか?本に影響を与えた人や、どのように影響を与えたのか。
「(Spork)先割れスプーン」は私が第一子を妊娠しているとき、実の先割れスプーンからアイディアをもらいました。それはスプーンの良さとフォークの良さが少しずつ取り入れられていて、なんていい台所用品なのだと思いました。そしてそれは種の混合についての物語にふさわしいキャラクターだと思ったのです。
また先ほど「時々その種はとても小さくて、やってみる価値があるとは全然思えないのですが、たいてい時間をかけて忍耐強く続けることで、その種は育ち始めるのです。」ともおっしゃられていましたが、その種を育てるために何か具体的な働きかけをしているのですか?
ただ毎日机に向かって、物語を少しずつ書き続けるよう仕向けるのです。それは植物に毎日お水をあげるのに似ています。いつかそれは育つのです。
「母が日本人である」というバックグラウンドは、あなたの作品に影響を与えていますか?もしそうであればなぜそう思うのか教えてください。
イギリス・カナダ・日本という3カ国で育った経験が、本当に私の作品の基盤になっていると思います。バックグラウンドの違う人々が時に仲良く、時にそうではなくといった物語を書くことが好きです。また、私は村上春樹さんや大江健三郎さん、吉本ばななさんを含む沢山の日本の作家にも影響を受けています。
読者があなたの作品を楽しんでいることについてどう感じていますか?
私は読者に会うのが大好きです。作品を通して人に会うのは、わたしにとってとても特別なことですね。
趣味や日常的にしていることなど、ライフスタイルについて教えてください。
私は水泳とヨガが大好きで、映画を観たり、友達と美味しい物を食べるのも大好きです。またハイキングと自然の中にいるのも好きですね。
これらライフスタイルからもインスピレーションを受けることはありますか?
どんな場所からもインスピレーションを受けますが、次作とその次の絵本は大好きなフランス料理と海からインスピレーションを受けました。
あなたにとって「本を書く」ということはなんですか?
大変な仕事でもあり、楽しみでもあります。自身に対する問いかけであり、また喜びでもあります。
次回作の構想はすでにありますか?
絵本や、大人向けの鳥と人生に関する本、そして年長児向けの本を執筆していく予定ですね。
Translator: Kanako Sato (佐藤 可奈子)
獨協大学在学中、バンクーバーに8ヵ月語学留学。日本では、大手家具メーカーにて英語対応スタッフ兼、受付として海外ゲストの対応や、翻訳業務を行う。2013年夏ワーキングホリデーで渡加。