TORJA Report Rogers Cup 錦織圭選手Interview
8月4日から12日にかけて、ヨーク大学敷地内のREXALL CENTREで、テニス国際大会・Rogers Cupの男子トーナメントが行われた。この大会は世界ランキング上位の選手に出場義務が課せられており、スタジアム以外にもある大小の複数のコートでは、間近に世界トップレベルののプレー を見ることができる。そして今大会には、日本人プレーヤーで世界ランキング17位(8月6日時点)の錦織圭選手が出場していた。シード選手の錦織選手は2回戦でアメリカのサム・クエリー選手と対戦。惜しくも試合には敗れてしまったが、その俊敏な動きやテクニックに、会場には称賛と興奮の熱気が満ちていた。そんな錦織選手に試合終了後、オリンピックやトロントの感想などを伺った。
―ベスト8という好成績を残したロンドンオリンピック。感想をお願いします。
結果的にはすごく良い経験になりましたね。ベスト8という良い結果も残せましたし。もちろん悔しい気持ちもありますけど。オリンピックという舞台でしっかり結果が残せたというのは率直に嬉しいですね。
―オリンピックから間を空けずに臨むこととなった今大会。疲れや気持ちの切り替えといった調整は上手くいきましたか?
体力的には少し疲れがあると思います。それにグラス(芝)からハードコートに変わるということで、結構いろんな選手も苦戦してますが、自分自身も調整期間が少ないということもあり、今日負けてしまった部分もあると思います。でも気持ち的にはそんなにアップダウンはないと思います。今大会にも、オリンピックのことを一旦置いて、新しい気持ちで臨めましたし、大丈夫だったと思います。
―トロントで外出などはなさいましたか?
まあ、外食はしましたけど、周りに本当に何もない場所(アップタウン)のホテルに泊まっていて、車もないのでほとんど外出していません。
―あまり出歩かれていないということですが、トロントにどういった印象をお持ちになりましたか?街についてはお答えできないと思いますが…(笑)。会場の雰囲気などの点ではいかがですか?
そうですね、正直街などについてトロント感はあまりかんじられていないですね(笑)。会場の雰囲気はとっても楽しいというか、素敵なものがあるように思います。意外と(ここの会場では)アジア人をよく見ますね。中国人だったり。結構声を掛けてくれたりします。特にホテルの周りもみんな中国人や韓国人?で。結構アジア人ばっかり見てます。結構不思議な感覚ですね。
―アマチュアとプロテニスプレーヤーでは、プレッシャーの大きさや勝つということの意味が変わってくると思います。その中で、「テニスを楽しむ」という感覚にも変化は現れましたか?
昔は(変わったという感覚が)ありましたね。プロになった当初は。やっぱり勝つということの意味をアマチュアのころよりも大きく感じて、「勝たなきゃいけない」と、自動的にプレッシャーもかかってきましたし。でも、今はそういう気持ちをひとつ通り越したというか、勝つことよりも自分のベストができれば勝ちに繋がるので、あまり勝つということを意識せずに試合に臨めるようになってはいるかなと思います。勝てない時は必ず、悩みに繋がっていくので、不安というか、楽しさにはなかなかたどり着かないですけど。でも、ランキングも上がってきて、実力も上がってくると同時に楽しさも増えてくるので、そういうのがモチベーションとなって、楽しさに変わっていくんだと思います。
―試合前にゲン担ぎなどの意味で必ずすることはありますか?
まったくないですね(笑)。なかなか長続きしなくて。飽きっぽいのも、性格のせいかわかんないですけど、ゲン担ぎとかはまったくないですね。まあ、試合の前は、ある程度いつも通りのシチュエーションで、ルーティーンをやるっていうのはありますけど。
―今大会を踏まえての、これからのご自身の目標は?
これからハード(コートの試合)が続き、来週はシンシナティ(での大会)、そしてUSオープンなどが控えているので、それにしっかり調整していきたいと思います。今回初戦で負けてしまったということや、去年この時期怪我をしていたということもあり、良い結果を出したいですね。
―TORJA読者へのメッセージをお願いします。
この大会でも良い結果を残したかったという思いがありました。いつも応援して下さる皆様の力が、自分の励みやモチベーションとなっているので、これからも試合をぜひ観てもらえれば嬉しいですし、まあ生で、できなければどこかで観てもらえると嬉しいです。
Rogers Cup 2012では、シングルスで世界ランク一位、昨年の覇者でもあるノバク・ジョコビッチ選手が連覇。ダブルスでは2010年の優勝ペアであるボブ・ブライアン選手とマイク・ブライアン選のペアが優勝に返り咲いた。