諸橋富雄さん 特集インタビュー
駐在員としてバンクーバーに転勤し、永住権を取得。プロフェッショナルなビジネススキルを活かして損害保険代理店を設立し、現在バンクーバーとトロントの両都市でビジネスを展開中。
Bridges International Insurance Services代表 諸橋 富雄さんの特集インタビュー

バンクーバーに移住したきっかけを教えてください。
バンクーバーにはカナダのツアーオペレーターの仕事で東京事務所からの転勤という形で来ました。まだ永住権取得が比較的簡単な頃でしたね。移民局に勤めている友人に早く永住権を取った方がよいと勧められて手続きをしました。バンクーバーに移住する5年前に学生としてトロントに一年間滞在していました。その時のポジティブな経験がカナダに戻ってくるきっかけとなりました。
バンクーバーで起業するに至るまでを教えてください。
1995年にMuti-Line Insurance Company のPrudential of Americaのエージェントとして勤務を始めました。その後、Prudential of Americaがカナダから撤退。公認ファイナンシャル・プランナー資格を取得、一般損害保険のアドバイザーを兼任していました。一般損害保険に関しては2001年に損害保険代理店内で従業員を雇用後、2004年に現在の商号のBridges International Insurance Servicesで起業することになりました。
バンクーバーは住みやすい都市として日本人にも非常に人気ですが、実際にお住まいになられていていかがでしょうか?
出身都市の東京の他、長期滞在した都市アンタナナリボ(マダガスカル)、トロント、ロンドン(英国)などと比べ、非常に住みやすい環境だと思います。自然が近くにあること、公共施設を含め生活水準が高いこと、公害が少ないこと、街が整然としていること、北米基準では比較的治安が良いこと、水道水が軟水でおいしいこと、寒暖の差があまり無いこと、外国文化に対して寛容であることなどが同じサイズの他の北米都市と違い住みやすいのではないでしょうか。
バンクーバーに住んでいて良かったなと思うことはどんなことがありますか?
バンクーバーだからということではないと思いますが、外国人(私を含め)を心から受け入れる多くの寛容なカナダ人と知り合えたこと。四季があり自然が豊かでアウトドアを楽しめること。インターナショナルな食文化に簡単に触れられること。そして晴天の下、雪を被った美しい山並を見るとバンクーバーに住んでいて良かったと思います。

ビジネスについて教えてください。昨年トロントにも進出をされましたが、両都市の違いや感じていることを教えてください。
バンクーバーとトロントのビジネスの違いは大きいですね。BC州とオンタリオ州では様々な法制、規則、習慣が違うので最初は戸惑いました。保険の多くの業務や税制は州法により規制されているため、州によりその仕組みが違います。例えばBC州の自動車保険は政府の保険会社のみが強制保険を提供しています。競争はありませんが保険のプールが大きく、販売コストも低いため自動車保険料はオンタリオ州に比べると2割から6割ほど低くなっています。火災保険加入の際、オンタリオ州では保険料の8%が課税されます。一方BC州では火災保険料には課税されません。カナダ郵便の切手を購入する際、オンタリオ州では13%のHSTが課税されますが、BC州ではGSTの5%のみです。つまり大量の切手が必要な場合、HSTの無いGSTのみが課税される州で購入すると大分お得になります。
カナダの文化に親しむと同時に、日系コミュニティにも幅広いネットワークを持つ諸橋さんですが、今後日本人がバンクーバーで起業や移住などを考えた時のアドバイスをお願いします。
日本人の方がバンクーバーに移動し、暮らしに慣れるのはそれほど難しいことではなくなりました。様々な業種での日本語サービスは数多くありますし、選択の余地もあります。そのサービスを受けることにより特別な料金(通訳・翻訳を除く)を取られることもありません。日本語による趣味や娯楽の生活グループも沢山あります。医療に関しても日本語での情報は溢れています。カナダ全体に当てはまることですが、あえて言えば緊急の際、病院での待ち時間が長いことです。基本的に安全な街ですが、そうでない場所もあるので気をつけたことに越したことはありません。バンクーバーで起業するのであれば、業種や場所によってはビジネス・ライセンス取得が難しい場合があるので注意が必要です。バンクーバーの経済規模はそれほど大きくないので、当然のことながら、マーケティングや企業計画で使用されるSWOT (Strength, Weakness, Opportunities, Threats) 分析などをしっかりして、ビジネス戦略を立てることが重要かと思います。ローカルのサービスレベルはまだ改善の余地が多くあります。付加価値の高いサービスを提供することにより挑戦を克服してビジネスを成功に導いた例は多く見られます。例えば大手配送業者の下請けでも結構ですが、時間指定の配送あるいは、夜(午後6〜9時)、週末の配送などはまだ大きな需要があるのではないでしょうか。大手ができないビジネスにはチャンスがあるようです。
諸橋富雄
東京生まれ。明治大学農学部卒業。海外派遣員として在マダガスカル日本大使館勤務、ヨーロッパ系銀行の外国為替ディーラー、ヨーロッパおよびカナダのツアーオペレーターを経て1993年よりバンクーバー在住。趣味は旅行、映画、演劇、園芸などだったが、ここ4、5年は仕事中毒気味。











