TIFF Bell Lightboxと午前十時の映画祭|トロントと日本を繋ぐ映画倶楽部【第2回】
皆さんは、見に行く映画をどんな風に選んでいるでしょうか。私のように、映画なら何でも手当たり次第に見る人は少ないでしょうから、なるべくハズレなしに面白い映画を選びたいのではないかと思います。そこで今回は、トロントと日本でおすすめの映画の選び方をご紹介します。
トロントの皆さんにおすすめするのは、「TIFF Bell Lightbox」で上映される映画。「TIFF Bell Lightbox」は、トロント国際映画祭の主催団体TIFFの本拠地で、King St沿いにあります。5つのスクリーンがあり、映画祭以外の期間は様々な企画上映が組まれています。この上映ラインナップが、さすがTIFFが企画するだけあって、毎回とても魅力的です。日本語字幕なしでの観賞が難しければ、日本映画特集のときだけでも行く価値があります。
次に、日本の皆様におすすめするのが、午前十時の映画祭。日本各地の映画館で、ほぼ2週替わりで1年にわたり、過去の名作が上映されています。「えー新作じゃないの?」と思ったそこのあなた、侮るなかれ。上映作品は、いま見ても遜色のない珠玉の名作ばかり。新作は、実はつまらない映画でも、集客のために面白そうに宣伝されます。そんな玉石混淆の新作より、確実に面白い映画に出会えるのが午前十時の映画祭。きっと、生涯忘れ得ない1本に出会えるはずです。
良質の映画を選定し上映するトロントの「TIFF Bell Lightbox」と日本の午前十時の映画祭。この両者には何の関係もありませんが、実はどちらも2010年に起源があります。TIFF自体は40年以上の歴史がありますが、「TIFF Bell Lightbox」は、TIFFの新たな本拠地として2010年に現在の場所にオープンしました。この同じ年に、日本では第1回目の午前十時の映画祭が始まりました。
約10年の時を経て、世界的に評価が高まり続けるTIFFに対し、残念ながら日本では、この4月からの「午前十時の映画祭10-FINAL」をもって幕を閉じることが発表されています。午前十時の映画祭の終了が、日本の映画産業の衰退でないことを願うばかりです。
みえ
大阪在住の映画好き。好きな監督の日本未公開作見たさに日本語字幕なしの輸入DVDを見始めたのが約20年前。さらに、未公開の最新作見たさに約10年前からトロント国際映画祭に行くようになり、映画三昧の今に至る。