「人生のレールは一本じゃないことを知った時」羽下 陽一さん カナダ歴:4年|私のターニングポイント第26回
羽下 陽一さん
カナダ歴: 合計4年
物流関係の日系企業で働く羽下さん。カナダに来た当時は友人が誰もいないところからのスタートだったというが、今ではトロントに住む日本人同士の交流の場を定期的に開催している。今では参加者の数も増え、羽下さんが大事にしたいと思うコミュニティーの形成に少しでも貢献できている充実感と達成感を感じているという。
カナダに来るまでは、いわゆるレールに沿った人生を送っていました
大学を卒業し財閥系不動産会社に就職した私は、社会の荒波に揉まれながらも自立していずれは結婚して家庭を築き、落ち着いていくものだと思っていました。良くも悪くも無難な人生で親もそれに安心していたと思います。
転機は2018年、社会人3年目に訪れました。20年以上前からカナダに移民していた叔父から連絡があり留学しに来ないか?と誘いがあったのです。はじめは話半分に聞いていたのですが、仕事で精神的にも体力的にも苦しい状況にあった当時の私は徐々に留学を真剣に考え始めていました。
しかしながら、仕事が辛かったとはいえ日本でのキャリアを中断して海外に出ることにはかなりの抵抗がありました。語学学校とカレッジの合計3年間、帰国する頃には28歳だから…なんて悩んでいたのを覚えています。今考えると大したことがないなと思えますが。
乗っているレールから外れることに恐れていたんだと思います
周りの同期や地元の同級生たちは第一次結婚ラッシュで、当時は特に結婚願望はありませんでしたがそれでも将来設計を考えざるを得ない環境だったと思います。自分も頑張って働いて会社でのし上がって…と焦っていた部分もあると思います。自分なりに色々と考えていたんだと思います。
しかし、いつもお世話になっている周りの人に相談していく中で、レールから外れるのではなく別のレールに乗り換えるのだという考え方にシフトしていきました。そして2019年の春、会社を辞めてカナダに行く決心をしました。この決断がそれまでの価値観を大きく変えた、私の人生のターニングポイントとなります。
自分なりのライフハック
「過度な期待をしない」
不動産営業会社というのはかなりハードに働きます。ノルマもキツく、自分も含めた営業マンは上司からもお客様からも理不尽なことばかり言われていました。その経験からメンタルを維持する方法を自分なりに編み出しました。
それは「過度な期待をしない」ことです。
ネガティブな言葉のように見えますが、私にとってはポジティブに人生を過ごすための魔法の言葉です。何事においても自らが期待したことと現実のギャップに辛さを感じると思っています。これを意識するようになってからは、どんなことにも些細な楽しみや良いところを見つけられるようになり、ポジティブに生きることができています。自分なりのライフハックです。
■ いまの自分に点数をつけるとしたら?
55点くらい。月並みですが英語力が不満です。30代のうちに70点くらいまで上げたいところです。
■ 学生時代のエピソード
小中は勉強漬けで高校~大学は趣味のゲームに没頭していましたが、友人たちに恵まれ楽しい学生生活を送れたと思っています。イベントを主催していたりするのでよく社交的だと言われますが、その実は意外とインドア派の引っ込み思案です。
■ もし人生をやり直せるとしたら、いつ?
中学三年生です。受験勉強をかなり頑張りましたが、第一志望校に合格しなかったのが心残りですね。受かっていたら別の世界が見えていたと思うと少し残念です。
もう一度人生があるのであれば飛行機のパイロットを目指してみたいです。乗り物を操縦するのが結構好きだということに気づいたのは社会人になってからでした。
■ 人生で大切なことは?
人生で大事なものは心身の健康とコミュニティーです。この二つがあれば他のことはなんとかなると思っています。
■ 将来の夢・ライフプラン
将来の夢は結婚することですね。10代に立てた予定ではすでに結婚していて子供も二人くらいいるはずなのですが、気付いたらカナダにいました。人生何があるかわからないですね。またトロントに住む日本人の方の役に立つことをしたいなと思っています。いいアイデアがあれば教えてください。
-好きな本: 『容疑者Xの献身』、『狭小邸宅』、『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』
-尊敬する人:物事に長期間継続して取り組んでいる人。
-感謝している人と一言メッセージ:両親と友人・知人、趣味仲間です。癖のある自分といつも仲良くしてくれてありがとう。
-カナダの好きなところ:どんな人も受け入れる懐の深さと自由。