楓の森の春の味|楓の森の歩き方 第48歩
グレートトロントエリア(GTA)に住む家族の様式は一世紀前と比べれば、とても異なります。
毎年、長く厳しい冬の後、野菜や果物、穀物などの食料が少なくなり、狩猟も難しい季節の終わりに、メープルたちが春の到来を知らせてくれます。メープルたちは、根に溜めた樹液を芽吹きの活力とするために幹や枝に行き渡らせます。そして、春先にその樹液を少し分けてもらって、メープルシロップ作りが始まるのです。
かつてヨーロッパからの移住者は、先住民の方達から伝統的なメープルシロップの作り方や技法を学びました。シュガーメープルの幹に穴を開け、マカックと(Makak)と呼ばれる白樺の樹皮でできた容器に樹液を集め、大きな丸太をくり抜いたタンクに集めた樹液を入れて、焼き石を入れ、煮詰めてシロップを作っていました。その後、時代の変化とともにバケツで集めて鉄製の鍋で煮詰める方法へと改良されていきました。
1899年ごろGTAの西エリアに、スプルースレーンという大きな農場があり、ブレコン一家がビクトリア様式の建物に住んでいました。ブレコン一家は、一般的な混合農家でリンゴやイチゴを育て、牛や羊、豚などを飼育していました。そして、春先には100エーカーの土地を使用してメープルシロップを生産していました。
しかし、1950年の第二次世界大戦以降、農場は使用不可となり後世に受け継ぐことはできませんでした。
戦後、1959年にブレコン一家の土地とその周辺地域を州立公園として保存することをオンタリオ州政府に提案しました。
長らくこの提案は保留とされていましたが、1975年に改良案が受託され、ブロンテ・クリークという名前の州立公園(Bronte Creek Provincial Park)が誕生しました。
今日、ブロンテ・クリークはブレコン一家の貢献を記念してメープルシロップフェスティバルを開催しています。19世紀の伝統的なメープルシロップ生産技法を再現し、美味しいメープルシロップとパンケーキ、メープルタフィーなども提供しています。
このユニークなフェスティバルに参加して、素敵な春の味を楽しんでください!
Bronte Creek Maple Syrup Festival 2018 (www.BronteCreek.org)
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Holly Blefgen(ホリー・ブレフゲン)
オンタリオ・アウトドアアドベンチャーズの代表。ナチュラリスト。春から秋にかけてカヌーととトレッキング、冬はテレマークスキーでネイチャーフィールド へ。30年余りに及ぶガイド経験を持ち、オンタリオ州及び日本における文化・歴史・自然にフォーカスしたツアーを通して、クライアントとその情熱を共有す ることを愉しみにしている。
Special Thanks, Cameron T Powell 写真 / アートワーク / レイアウト:尾西知樹 翻訳:瀧川貴子