楓の森の歩き方 第09歩
第9歩 楓の森の贈り物
日当たりも少しずつ長くなり、鳥のさえずりや話し声が明るくなって来るのを感じる中、TORJAの原稿を書いてます。
この季節はクロスカントリー、スノーシューそして犬の散歩にと外から手招きされてるようにも感じます。
シュガーメープル(砂糖楓)の地面に落とす影の変化に気付く頃、『シュガーメープルの森からの春へのお知らせ』、楓の木の甘い氷柱(つらら)探しをします。
きっと最初にこれらの甘く美味しい蜜の木を見つけたのは、原住民の人達だったのでしょうね。
約1万年前の氷河期が、このオンタリオ州南東部にシュガーメープルや広葉樹林に適した素晴らしい地質を形成したのです。
そしてこれらシュガーメープルの森の大部分が森林地帯の野生動物の重要な食料源となっています。ビーバーや山嵐は木の幹を食べ、野ウサギや尾白鹿、小さなシカネズミは枝や冬になる芽を食べます。
キビタイシメ、ムラサキマシコ、ゴジュウカラやエリマキライチョウなども同じように楓の芽や春先になる花を食べ、リスやシマリスは楓の木からヘリコプターのように落ちてくる種を蓄え、厳冬期の森の中で生きるための食料としています。
そして、わたしたちも早春に湧き上がってくる甘いシュガーメープルの樹液を、素晴らしいメープルシロップやメープルシュガーにしていますね。
甘い樹液の成分は、根から吸収された水分と葉の光合成により出来た糖質が混合されたものから出来ています。
樹液は摂氏0〜5℃の温かい日中に流れ出し、温度が氷点下に下がる夜まで続きます。もちろんこれらの条件は、メープルブッシュの地形や場所によって異ります。
樹液は木の幹の外側を流れていて、長さ10cmほどの穴(直径約1cm)を上向き方向にドリルであけ、そこにストローの様な形状の器具を差しこみ下にバケツを設置したら、樹液を集める作業の完了です。採取された樹液は一カ所に集められ、細心の注意をくばりながらゆっくりと火にかけ、シロップや砂糖にしていきます。
これは昔ながらの伝統的なメープルシロップの作り方・・・。今では木々の間に採取用のチューブが張り巡らされ、工場直結のライン生産となっているところがほとんどですが、農家などで家庭用の個人生産として、今でも行われている手法です。
このような昔ながらの特別な手法を体験出来るメープルシロップ作りに参加するのもいいですね。
こちらで生活されているみなさんは、もう気が付かれているかもしれませんが、オンタリオ州の農業地域では、それぞれの農家の農道にシュガーメープルの木が植えられています。
農家の人達はそれを誇りに思い、共に生きる自然の象徴として大切に育てています。
春先、シュガーメープルの周りには野の花や野草が咲き乱れ、夏は太陽の下でゆったりと光合成を楽しみ、秋には赤やオレンジ色に葉の色を変え、まるで万華鏡のような色彩を奏でる森林帯、それがわたしたちの愛する楓の森です。
オススメ、シュガーブッシュ
Fulton’s Suger Bush
www.fultons.ca
White Meadows Farms
www.whitemeadowsfarms.com
Elmira Maple Syrup Festival
www.elmiramaplesyrup.com
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Holly Blefgen (ホリ―・ブレフゲン)
オンタリオ・アウトドアアドベンチャーズの代表。ナチュラリスト。春から秋にかけてカヌーととトレッキング、冬はテレマークスキーでネイチャーフィールド へ。30年余りに及ぶガイド経験を持ち、オンタリオ州及び日本における文化・歴史・自然にフォーカスしたツアーを通して、クライアントとその情熱を共有す ることを愉しみにしている。
写真提供: Fulton’s Suger Bush Photos/artwork/layout 尾西 知樹 Translator: 瀬川 貴子