【食材を探る・きのこ】秋の味覚”きのこ”の魅力と日本食材の実情
トロントを中心としたオンタリオ州で日本食品全般の卸問屋として活躍しているOZAWA Canada。秋の味覚に欠かせない〝きのこ〟に関しては納品当日に収穫された新鮮きのこを提供するなど、トロントの日本食・日本食材事情を支えている。そんなOZAWA Canadaにトロントの日本食材事情を聞きました。

①近年カナダのスーパーでもエノキやシイタケなどの日本・アジア圏のきのこを見かけるようになりましたが、それらのカナダでの印象はいかがですか?
カナダはきのこの種類が少ない訳ではないですが、食用として一般的に市場に出ている種類はWhite MushroomとBrown Mushroomがほとんどです。これらのみでカナダのきのこ生産の約90%を占めており、他のきのこは食用として栽培されていません。ただ、松茸や楢茸などはカナダにもともと自生しているのですが、カナダの食文化では見向きもされなかったということが実情です。
エノキやシメジ、エリンギ等は現地カナダ人にも人気が出てきており、ここ数年生産量が右肩上がりになっているようです。ちなみにエリンギはヨーロッパの地中海沿岸が原産のきのこで、日本へは1990年代に紹介された比較的新しいものです。
弊社では朝採れたてのエリンギ、マイタケ、本シメジをお客様にお届けしております。きのこは全般的に成長が早く、湿気の多い比較的温暖な室内を好みます。収穫は実際は四六時中あるものなので、この〝朝摘み〟きのこは収穫のタイミングを逆算して生産されており、農家さんにかなり知識がないと難しいようです。
②今回のきのこや日本独特の食材を生産されている農家を探すのは難しいことだと思いますが、どのように探してコンタクトを取れられるのでしょうか。
弊社は30年以上日本食全般の卸問屋としてトロントを中心に商売をさせて頂いており、ローカルで日本料理の食材関連を製造されている会社ともご協力頂いております。地元のきのこ栽培業者様もそういったご縁で取引させて頂いています。
③長年、日本食材を卸しているOZAWA Canadaさんから見て、日本食・日本食材の普及はここ数年でどのように変わってきたのでしょうか?
日本食と食材についてのトロントを中心としたオンタリオ州の動きでいえば、ここ数年は非常に興味深い状況になっています。昨今の居酒屋・ラーメン屋ブーム、世界的な日本食と日本文化への関心、中国人観光客を中心とした日本旅行ブーム等々の諸要因の顕在化の一例といえるのではないでしょうか。また、必ずしも「日本食・日本食材」=「Made in Japan」ではなくなりつつあることも最近の傾向です。例えば、今回のきのこにしてもどれだけ「日本産きのこ」に拘っても、カナダのローカルで収穫するきのこのほうが明らかに鮮度はいいわけです。
④日本から日本食材を輸入することに関して、何が一番大変ですか。
弊社は日本酒などアルコール関係も1990年代から取り扱っておりますが、オンタリオ州に関していいますと、アルコール関係は州の専売公社が一括で取り仕切っているため、今でも入荷に苦労させられることがあります。また食品を扱うだけに、カナダの食品輸入に関しての規則に則した食材を輸入することには気を使っています。

⑤一番最近の人気食材、または近年のトレンドなどあれば教えてください。
日本食が現地化しているという意味あいでは今年はSushi Burritoが大人気です。簡単にいえば北アメリカ版の恵方巻という感じで、様々な具材を海苔や大豆シートで巻いてブリトー風に仕上げています。
これを〝寿司〟として認めるかは別として“SUSHI”は明らかに現地化しています。他、抹茶を使った商品、もちろんラーメンも変わらず人気あるトレンドというより、すでに一般化して現地に定着した感じです。
⑥日本の食材はやはり日系またはアジア系のレストランで多く使用されているのでしょうか?現地レストランでも人気な日本食材があれば教えてください。
これまでは日本人シェフから広がった食材がやがて多くの現地シェフの間で利用されることが一般的だったと思いますが、最近ではインターネットやSNS、その他のメディアからも情報が入るため、今はあまり知られていない食材でも急速に広まる可能性も十分あります。抹茶、ユズなどは現地シェフにも好評です。味噌なども従来は白みそ一辺倒でしたが、今では多くのシェフが味噌の世界の奥深さに気づき始めており、よく直接問い合わせも頂きます。
⑦カナダ市場における日本食材の今後についてどう感じますか?
日本の食文化の奥深さはまだまだ引き出しが多く、それらをカナダの食文化や食生活に沿った形でご紹介できればまだまだ可能性があると思います。ただ、折角の和食ブームにも関わらず、食文化や制度の違いから、実際には日本食材でカナダへの輸入が規制されているものもあります。この点は政府間の取り決めに左右されることになりますが、食材輸入における規制緩和なども視野に入れた官民一体となった対策も急務かと考えています。
⑧読者へ何かコメントがあればお願いします。
食文化は文字通り〝食すこと〟によって育まれていきます。皆さまがお食事に行かれるレストランでの食材やスーパーで購入される食品に弊社が携わっているとすれば幸いです。













