〜5月下旬に歴史、自然、アートを巡る、風まかせのロードトリップ〜|ふらっと車でニューヨーク郊外トロント発ローカルな旅

トロントから少し離れるだけで、風景は驚くほど変わる。北東へ1時間、丘と牧草地に抱かれた町・Uxbridgeには、旧鉄道跡がそのまま歩く道となった Trans Canada Trailが真っすぐに伸びている。舗装に頼らない素朴な地面を進めば、四季がそのまま身体に触れてくるようだ。秋は紅葉の中を自転車で、冬には雪原をスキーで。さらに町の中心には、ミシュランでビブグルマンとグリーンスターを受けたレストランSUNDAYが静かに佇む。一方、西側Etobicokeでは、James Gardensを起点にハンバー川沿いを湖へ向かうトレイルが続く。Old Millではサーモンが川を遡上し、やがて視界はオンタリオ湖の光へと開かれる。どちらも、日常のすぐ隣にある「小さな旅」である。


Uxbridge – 鉄道がつくる「まっすぐな道」

春夏秋冬たのしめる。ひたすら続くTrans Canada Trail
トロントから車で北東へ約1時間。街の輪郭が少しずつ遠ざかり、丘の曲線と牧草地が広がりはじめると、Uxbridge(アックスブリッジ)に到着する。観光地として派手さはないが、この町には「静けさ」と「余白」がある。
この地はかつて鉄道が通り、人や物が行き交っていた。その廃線跡がいまはTrans Canada Trailとして再生され、森と野原を縫うように続く長い歩道となった。Uxbridgeの旧鉄道跡のトレイルは、まっすぐに、長く続いている。舗装されていない素朴な地面、森を抜け、丘を渡り、農地の静けさへ溶け込んでいく道だ。レールが外されても、線路があったころの「まっすぐさ」だけは残っている。
そこを、紅葉が美しい秋晴れの日に自転車で走ってきた。ペダルを踏むたびに、視界の赤と金が入れ替わる。この道ならロードバイクでも、グラベルでも、マウンテンでもいい。この道は、どんな自転車にも優しい。
すれ違った地元の人に話を聞くと、冬は雪が積もると、トレイルはクロスカントリーの道になる。白い平原を滑れば、きっと凛とした透明さに包まれることだろう。今から楽しみだ。
次はスローフード・トリップも兼ねて
この町には「SUNDAY」というレストランがある。2025年のミシュランガイドで、ビブグルマン(良質な食事を適正価格で提供する店)とグリーンスター(持続可能性を実践する店)の両方に選ばれた、稀有な存在である。
「SUNDAY」| 58 Brock St W
https://www.sundaysrestaurant.ca/
かつて町の人々の日常食堂だった空間を、新しい感性と土地の食材でそっと再解釈したレストランだ。ミシュランガイドに選ばれ全国的に有名になったが、その佇まいは華やかさよりも、落ち着きと余白に満ちている。地元の野菜、近隣の牧場からの肉、焼きたてのパン、季節を映す一皿は、心が静かに落ち着く味だと聞く。
自然豊かな道をドライブしているだけでも小さな可愛らしいお店を目にすることができる。トロントからドライブだけでも新鮮な気持ちになれるUxbridge。ぜひ冬も春も季節ごとに訪れたい。
Etobicoke – James GardensからOld Mill、そして湖へ
Humber River Recreation Trailを走る
サイクリングやトレッキングの起点はエトビコのJames Gardensをおすすめしたい。高級住宅街の中にあるこのガーデンは、広い駐車場があるので駐車が楽だ。手入れされた庭園は、四季をそのまま映す。バラ園、針葉樹の並木、季節ごとの花々、この庭園を訪れるだけでもリラックスできる。もちろん無料だ。


Old Millといえば、サーモンラン

見ている人たちは応援の眼差しでただ見つめている。川と魚が続けてきた季節の儀式に、静かに立ち会う。そしてダムを超えたサーモンを見つけると、歓声や拍手が聞こえてくるのもいかにもトロントらしい光景だ。

さらに南へ。オンタリオ湖へ

川幅が広がり、空の色が深くなり、風が変わる。途中大きな公園や住宅街も抜けていく。やがて、オンタリオ湖の光が現れる。
湖畔に出ると、道は再び姿を変える。そこは整備されたHarbourfront Trailとなり、ジョギング、散歩、犬連れ、カヌー、ベビーカー、笑い声。静けさの中に、生活の息づかいがある。時間と体力があれば、東へ向かいダウンタウンのハーバーフロントやさらに東へビーチズへ行くこともできる。
豊かな林道や川沿いの散策路が広がり、春は新緑、秋は紅葉、冬は雪景色と四季折々の表情が楽しめる。まさに都会にいながら小旅行のような静けさと深い記憶を感じられる場所だ。

Humber River Recreation Trailを走る











