第1回 『カナダの株価指数「S&Pトロント総合指数(S&P/TSX Composite Index)」の特徴と資産形成への活用方法』|みらいのカナダ株式投資大作戦
こんにちは!今回はカナダの株式市場を理解する上で大切な「S&Pトロント総合指数(S&P/TSX Composite Index)」の特徴と、資産形成への活用方法について解説します!
S&Pトロント総合指数の特徴
S&Pトロント総合指数は2020年7月時点で222社の株価から算出される株価指数です。222社すべてがカナダ籍の企業ですから、カナダの経済的な「健康度」を示す1つの指標になります。
この222社の比率は「浮動株時価総額加重型(Float-Adjusted Market Cap Weighted)」という方式で決まっています。222社の株価の合計値を222で割って求めるのではなく、ある銘柄の株価の影響は大きく、一方である銘柄の株価の影響は小さく抑えられているのです。
浮動株とは市場で売買されている株式のことです。時価総額とは1株の株価に発行株数を掛け算したものです。つまり、カナダ企業222社を時価総額の大きな順番に並べ、市場で売買されやすい株式の比率を考慮した上で、加重平均して求めたものがS&Pトロント総合指数です。
S&Pトロント総合指数でもっとも比率の高い銘柄
ところで、S&Pトロント総合指数でもっとも比率の高い銘柄ってどの企業か知っていますか?
「ショピファイ」を除くと、「ロイヤルバンクオブカナダ(ティッカー:RY)」や「エンブリッジ(ティッカー:ENB)」など金融やエネルギー関連の大企業が並んでいます。
S&Pトロント総合指数の上位10銘柄を見ると、ショピファイを除く9つの企業は金融やエネルギーなど、昔ながらの企業が並びます。特に、銀行の時価総額が大きくなっています。
これはカナダ市場に投資するにあたって、1つの重要な特徴です。この話はまた後半部分で紹介します。
資産形成への活用と注意点
では、S&Pトロント総合指数をどう資産形成に活用するか。
例えば、ETF(上場投資信託)を使うとS&Pトロント総合指数に「投資」できます。投資した後にS&Pトロント総合指数が値上がりすれば利益を得て、値下がりすれば損失を被る、みたいな運用ですね。
S&Pトロント総合指数に連動する、カナダ籍のETFには次のような商品があります。
- iShares S&P/TSX Capped Composite Index(ティッカー:XIC)
- BMO S&P/TSX Capped Composite Index(ティッカー:ZCN)
「iShares S&P/TSX Capped Composite Index」は年間の経費率0.06%で、S&Pトロント総合指数とほぼ同数の221社に投資できる商品です。S&Pトロント総合指数と同じように値動きし、1年間で約3%ちょっとの分配金を受け取れます。「BMO S&P/TSX Capped Composite Index」も「XIC」とほぼ同じ商品です。
大きな違いは、「XIC」は米国のブラックロックが運用しており、「ZCN」はカナダのバンクオブモントリオールのグループ会社が運用している点です。このようなETFを使ってカナダ市場に広く「投資」することで、カナダの経済成長の果実を受け取ることができるのです。
注意点
さて、S&Pトロント総合指数を資産形成に使う際の注意点を紹介します。「ショピファイを除く9つの企業は金融やエネルギーなど、昔ながらの企業が並びます」と前述しましたよね。
実は、2008年の世界的な金融危機以降、大きく株価を上げてきたのは主に米国のハイテク銘柄でした。しかし、S&Pトロント総合指数に含まれるハイテク銘柄は、「ショピファイ」を含めて11銘柄と少なく、これが米国株との運用成績の違いを生んでいます。一方で、S&Pトロント総合指数は金融やエネルギーといった銘柄の時価総額が大きいため、金融危機や原油安で他の市場以上に弱さが出る場合があります。
まとめ
S&Pトロント総合指数はカナダ市場の健康度を表す株価指数で、資産形成にも活用できます。ただ、金融とエネルギーの影響が大きい点に注意してくださいね!
もしあなたが「XIC」や「ZCN」を利用する場合、何か他の商品と組み合わせたほうが良いと筆者は思っています。この組み合わせの話はまた別の記事で紹介していきましょう!
みらいあせっと
2019年にモントリオールに旅行したことがきっかけでカナダ株に関心を持った個人投資家。カナダ株のほか、日本株や米国株など、世界中の株式に幅広く投資中。カナダ株の話題は「みらいのカナダ株式投資大作戦」で紹介中。
Twitter: @instockexnet
ブログ: investor-life.info