第7回「成長株」をテーマにしたETFを選ぶメリットとデメリット|みらいのカナダ株式投資大作戦
今回は「成長株をテーマにしたETF(以下グロース株ETF)」について紹介します。
前回のテーマは「配当をテーマにしたETF」でした。このタイプのETFは成熟した企業を選んでポートフォリオを作るため、配当(分配金)を多くもらえるかわりに株価が上がりにくいというデメリットがありました。
今回テーマにするグロース株ETFは、配当(分配金)が少ないかわりに株価の上昇を期待できる成長企業に投資できる商品です。配当をテーマにしたETFと逆の特徴を持っていますね。それでは一緒にみていきましょう!
株価の上がりやすい銘柄とは?
グロース株ETF の前に、そもそもどのような企業の株価が上がりやすいのかを紹介します。
毎年、利益(EPS。1株利益)が大きく成長している。または政策等の影響を受け、今後大きな市場が形成されそうである。こういった期待感のある企業の株式は積極的に買われます。
例えば、2020年のカナダの代表的な成長株はShopifyでした。Shopifyは主に中小企業向けのオンラインショッピングのプラットフォームサービスを提供する企業です。
ShopifyはもともとAmazonキラーとして期待されていたことに加え、コロナ感染症の影響を受けてネット通販の急激な需要増加の恩恵を受けました。その結果、同社の株価は1年間で2倍以上に伸びました、2020年3月時点で純利益が未だマイナスだったにもかかわらずです。
ただ、現実問題として、こういった成長株を探して、うまく売買することは難しいと思います。今は成長期待がある銘柄も、将来成長が鈍化し、期待感もなくなることで、株価の成長が止まる日が来ます。そのため、次に投資する銘柄を探したり、今投資している銘柄の将来性をチェックしたりとホームワークが求められるのです。
そこで、誰でももっと簡単に利益を得るために「グロース株ETFを利用する」という考え方が出てきます。
グロース株ETFにはどんな商品があるの?
今回はiShares Canadian Growth Index ETF(XCG)を例に見てみます。XCGはカナダ企業のうち、利益成長率が市場平均を上回ると予想される企業40~50社を投資対象にするグロース株ETFです。
XCGの主な構成銘柄を見ると、Shopify、Canadian National Railway、Enbridgeなどが並びます(2021年1月現在)。特にShopifyの比率が大きめです。
XCGの過去のパフォーマンスを見ると、2007年から2020年末まで、年間約5.7%の利回りで値上がりしました。同じ期間のiShares Core S&P/TSX Capped Composite Index ETF(XIC。トロント市場に連動するETF)の利回りは5.1%でしたので、XCGはそれよりも好成績でした。
一方、配当(分配金)収益に注目すると、XCGの分配金はXICの半分かそれ以下になることがほとんど。グロース株ETFはどうしても分配金のリターンが少なめです。
グロース株ETFを活用するメリットとデメリット
では、グロース株ETFを活用するメリットとデメリットも見ていきましょう。
グロース株ETFを活用するメリットは株価の伸びを期待できる点です。じっくり配当で儲けようとするよりも短期間でまとまった利益を得られる可能性があります。
例えば、あなたが早期リタイア(FIRE)を目指しているなら、配当株ETFよりもグロース株ETFのほうがより早く目的を叶えられるかもしれません。
一方、グロース株ETFを活用するデメリットに、カナダ市場特有の問題があります。というのも、トロント市場上場銘柄には成熟企業が多く、XCGの構成銘柄にも成長企業とは言い難い企業の株式なども含まれています。
そこで、本格的にグロース株ETFに投資するならば、米国のNASDAQ市場に連動するETF(例えば、Invesco QQQ Trust Series 1(QQQ)等)の購入を検討しても良いと思います。
最後にグロース株ETFの配当(分配金)利回りは低めですので、定期的な収入目的の投資には向かない点もデメリットです。XCGは1.8%、QQQに至ってはわずか0.49%です。
まとめ
今回はカナダの成長株をテーマにしたETFについて解説しました。
正直なところ、カナダ市場のグロース株ETFを買うよりかは、米国企業を対象とするグロース株ETFを買ったほうが高いリターンを期待できると思います。今回例題に挙げたXCGも、グロース株ETFっぽく見せるために少し頑張っている感があります(笑)。
Shopifyに続く、新たなハイテク企業がカナダにたくさん生まれて欲しいと思う今日この頃です。