第6回「配当」をテーマにしたETFを選ぶメリットとデメリット|みらいのカナダ株式投資大作戦
こんにちは!今回は「配当をテーマにしたETF」について紹介します。
配当をテーマにしたETFとは、配当利回りの高い株式(高配当株)や配当を毎年増やしている株式(増配株)に投資できるETFのことです。Dividend ETFやHigh Dividend ETFなどの名前がついていることが多いです。以下では高配当株ETFと呼ぶことにします。
近年はFIRE(Financial Independence Retire Early)ムーブメント(経済的に独立し、早期にリタイアすること)の影響を受けて、高配当株ETFを選ぶ方が増えてきたようです。経済的に独立するためにも、配当利回りの高いETFを買って生活の収入源にしようという目論見ですね。
このような配当をテーマにしたETFはカナダ市場にも上場しています。そこで今回は予備知識として配当株の特徴と、高配当株ETFを選ぶメリット・デメリットを一緒に見ていきましょう!
配当を出す株式はどんな銘柄?
配当ETFの前に、そもそも配当を出す株式はどんな企業かを紹介します。
一般に配当を出す銘柄は、ある程度成長し、配当を出せるほどに安定的な収益性のある企業です。例えばカナダ五大銀行を構成する銀行群(Royal Bank of CanadaやToronto-Dominion Bank等)や、Enbridgeに代表される石油・天然ガス事業者など、古くから活動する大企業が多いです。
一方、ShopifyやLightspeed POSといった現在成長途上のIT企業は無配です。このような新興企業は配当を出せるほどの安定的な収益がないのに加え、収益は積極的な技術投資に使われるため、配当は後回しなのです。
高配当株ETFを選ぶメリットとデメリット
メリットは「配当(分配金)がもらえる」ことです。例えば、BMO Canadian Dividend ETF(ZDV)は利回りが4.79%で毎月分配です(2020年11月末時点)。高配当株ETFと少し違いますが、以前紹介したVRIF(Retirement Income ETF Portfolio ETF)も毎月分配でしたね。
こういったETFを随時購入していけば、買った分だけ分配金収入も増えていきます。早期リタイアを意識する方が高配当株ETFを選びたがる理由は、分配金収入が増えることで、将来の収入源を確保できるというわかりやすさがあるからです。
一方、デメリットとして、成熟した企業は株価が上がりにくい点が挙げられます。成熟企業は新興企業に比べて成長期待が低いので、積極的に高値を追う人が少ないのです。
例えば、Shopifyは2020年の1年間で株価が約2倍になりました。一方、ZDVは2020年3月の世界的な下落で大きく株価を落とし、同年12月10日時点でも2020年1月初めの株価に戻っていません。
つまり、お金を増やしたいと思い高配当株ETFを買っても、実は遠回りしている可能性もあるのです。困った話ですよね。
こういった配当をテーマにしたETFを選ぶかどうかはあなたの年齢や現在の働き方によって変わってくると思います。
どんな商品があるの?
それでは高配当株ETFの具体例としてVDYとCDZの2つを簡単に紹介します。
FTSE Canadian High Dividend Yield Index ETF(VDY)はバンガードカナダの商品で、配当利回りの高い株式に投資できます。カナダ五大銀行など、カナダの金融銘柄中心に投資できます。
もう一例として、S&P/TSX Canadian Dividend Aristocrats Index Fund(CDZ)は米ブラックロックのETFで、5年以上連続で配当を増やした「増配銘柄」が投資対象です。こういった増配銘柄を配当貴族(Dividend Aristocrats)と呼ぶことから、その名前がついています。
同じ配当をテーマにしたETFでも少し特徴が異なるのですね。
まとめ
今回はカナダの配当をテーマにしたETFについて解説しました。
実は筆者、2019年にアメリカのSPYDというETFに投資し、2020年3月の相場で損失を被むりました。配当は貰うとたしかに嬉しいのですが、もっと早くお金を増やすならもっと違う方法が良いのでは?と証券口座を見ながら思っていた次第です。
カナダ市場はそもそも配当利回りが少し高めなので、わざわざ高配当株ETFを買わずともトロント総合指数やトロント60指数に連動するETF(XICやXIU)を買うだけでも3%の利回りを享受できます。なので、どちらかといえば、株価が上がりやすい成長株を取り入れたほうが良いかもしれませんね。
そこで次回は配当株と対極にある成長株に投資できるETFについて見ていこうと思います。