第19回 2021年に強かったセクター。弱かったセクター|みらいのカナダ株式投資大作戦
こんにちは!みらいあせっとです!回はカナダ株市場の2021年のセクターパフォーマンスを振り返ってみます。
セクターとは、業種やテーマに着目した株式の分類方法です。カナダ株式の場合、エネルギーセクターと言えば天然ガスやオイルサンドなど、化石燃料系の企業が多く、ヘルスケアセクターと言えば大麻関連企業が多いなどの特徴があります。
あなたがもし米国株に投資していれば、11種類のセクター分類をよく目にしているかと思います。この分類は「世界産業分類基準(GISC)」と呼ばれるもので、カナダ株でもしばしば目にします(今回はこの分類に基づいて紹介します)。
セクターのパフォーマンスは相場環境によって変わりやすく、両者の関係をうまく使えば、良い成績を上げられるかも。そこで今回は2021年のセクターパフォーマンスと相場の話題などを振り返ってみます。
セクターパフォーマンスを簡単に調べる方法
最初にカナダ株式のセクターパフォーマンスを調べる方法を紹介します。
今回はbarchartのカナダ版(https://www.barchart.com/ca)を利用しました。barchartはアメリカを含むいくつかの市場に対応しており、カナダ株に関する話題も収集できます(パソコンでウェブサイトにアクセスしたとき、右上の国旗を選ぶとカナダ市場を選べます)。
セクターパフォーマンスはbarchartの「Stocks」の中の「Market Performance」から閲覧できます(https://www.barchart.com/ca/stocks/market-performance)。
このページでは、ユーザーが操作できるグラフが示されていて、マウスのドラッグ操作(左クリックを押したまま左右に動かす)で、任意の期間を指定し、パフォーマンスを読み取れます。これを使えば、ある期間で強かったセクター、弱かったセクターを簡単に調べられるのです。
なお、このページのグラフの説明には「S&P 500 Index vs S&P Sectors: 1-Year Performance」と書かれていますが、これは記述ミスな気がするので無視しておきましょう。
では、セクターパフォーマンスを見ていきましょう。
強かったセクター
2021年に特に強かったセクターは「エネルギー($TTEN)」で、パフォーマンスはなんと+77.88%にも達しました。
2021年は、特に年後半にかけてエネルギー価格の上昇が話題になりました。2020年には「原油はすべてクリーンなエネルギーに取って代わられる」と言われていたことから考えると、かなり予想外の展開です。
2021年のトロント総合(TSX Comp)のパフォーマンスは+21.27%で、これを上回ったセクターはエネルギーを含めて3つでした。
エネルギー以外にも金融セクター($TTFS)も+32.72%と健闘しました。カナダ市場は5大銀行の時価総額が大きいため、トロント総合指数のパフォーマンスにかなり貢献しています。
弱かったセクター
2021年に特に弱かったセクターは「ヘルスケア($TTHC)」で、-28.54%でした。ヘルスケアセクターは2021年2月時点では最大+75.84%まで値上がりしたものの、その後は大きく崩れてしまいました。
カナダのヘルスケアセクターは大麻株ばかり。大麻株はアメリカのバイデン大統領が就任時に大麻合法化期待で大きく上がったものの、その後は大きな材料もなく売られてしまいました。
業績が伴わない銘柄やセクターは、ちょっとした話題で吹き上がっては時間をかけてしぼんでいくといった推移になりやすい気がします。
トロント総合(TSX Comp)のパフォーマンスを下回ったセクターは8つでした。2020年に強かった情報技術セクター($TTTK)が伸び悩んだのは意外です。
金利上昇に強いセクターが強かった
2021年のパフォーマンスをまとめると、「債券の金利上昇に強いセクターが強かった」と言えます。
カナダの国債利回りは米国債利回りと同じように上昇しました。それに呼応するようにエネルギーセクターや金融セクターは値上がりしました。特にエネルギーセクターと金利の相関性はかなり高いように見えます。
金融やエネルギーの影響が大きいカナダ市場は、金利上昇局面で強いと確認できたように思います。
2022年のカナダ株式はどうなる?
さて、2022年もこの勢いが続くかも気になるところですね。
個人的には、アメリカの利上げで金利上昇が止まり、金融セクターやエネルギーセクターのパフォーマンスも止まるのでは?と予想しています。
過去の相場では、金利や原油価格の上昇が止まると、カナダ株式のパフォーマンスは伸び悩みます。ここから先は、2011年~2019年のような、ゆるやかな成長を描くのかもしれませんね。