本格「おかませ」の寿司幽玄がトロント・ダウンタウンにオープン!|食の編集部食べ歩きシリーズ
高級懐石料理と寿司の両方において熟練した技術を身につけ、日本と海外で長年の経験を持つ料理長の五十嵐享平氏率いる寿司レストランがトロント・ダウンタウンにオープンした。「寿司幽玄」ではプライベート感満載の8席の「シェフカウンター」と広々とした12席の「メイン寿司カウンター」が用意されており、それぞれ独自のメニューを提供している。
今回は料理長を務める五十嵐氏へのインタビューと、寿司幽玄のオープニングを記念して東京・銀座からもっとも予約が取れにくい鮨屋として知られる「はっこく」の佐藤親方によるテイスティング・イベントの模様を紹介する。
料理長の五十嵐享平さん
日本と海外で培った経験をトロントで活かす。
―これまでの経歴を教えてください。
高校生の時から料理の道に興味があり、高校卒業後に地元・山形の調理師学校に通いました。そこで和洋中の料理を勉強し、その後まず東京の江戸前の寿司屋で働いて、次は横浜にある懐石料理の店で修行しました。3年働く間に少しずつ任せられることが増えてきたタイミングで、横浜の大きな懐石料理店に移りました。そこでは約10年働いてリーダー的ポジションも経験しながら、一通りのことを学ぶことができたと思っています。
―そこから海外に飛び出していくわけですね。
海外に行くことは高校生の時から考えていて、海外の文化にも興味があったんです。36歳くらいの時にマレーシアに行き、その後はドバイで働きました。マレーシアではおまかせの寿司屋を任されて、富裕層向けに寿司を握っていました。考え方や文化の違いを越えて従業員の教育もしましたし、海外スタッフとどう働くべきか学ぶことができたのは良かったです。
それから3年後、ドバイに移りました。お客様には皇族の方もいるなど、日本ではなかなか体験できない環境の中でコミュニケーション力を磨けたのは、海外ならではの醍醐味だと感じました。
―ドバイでも3年働いて、今年からトロントにいらっしゃったわけですね。
寿司幽玄のKamenさんに「ミシュランを取りたい」と言われて、そこまで高いモチベーションがあるなら一緒に働くと楽しそうだと思ったのでトロントに来ました。とはいえ、カナダでは正直食材の調達が難しいなと感じています。ローカルのシーフードも弱く日本の食材や調味料も調達に時間とコストがかかります。それでも日本の食材へのこだわりは忘れません。例えば寿司ネタでは、セキアジ、コハダ、アナゴ、マグロなどは仕入れるようにしています。全て日本の天然の魚で、冷凍は使わずに生でおろします。やっぱり日本の魚は締め方も素晴らしいし、おいしいですよね。米も日本米を使っていて、なるべく甘さを感じてもらえるよう工夫しています。
―どんな料理を出していきたいとお考えですか?
他の店とは違うものを提供するよういつも意識しています。例えば他の店がトウモロコシのスープを出すならうちでは別の野菜でスープを作ったり、あわびも酒蒸しではない方法で提供したり、デザートも含めてメニューは私が考えるようにしています。実際にお客さんから「他の店とは全然違う」と言われることが一番嬉しいと感じます。
―日本料理のどんな良さを伝えていきたいですか?
カナダでの日本食マーケットは、もっと高いところを目指せるはずだという印象を受けました。日本の料理は全体的にレベルが高いものばかりだと思います。おいしい日本の素材の味を大事にしながらそこを伝えていきたいです。
―読者にメッセージをお願いします。
日本で食べる寿司と同じレベルかそれ以上のものを提供するという気持ちで料理を出しています。材料もほとんど日本からのものを使っていますし、かなりこだわりがあります。ぜひ一度お越しください。
150 York St, Toronto | 416-363-1888 | sushiyugen.ca
Tuesday to Saturday
12:00pm to 3:00pm | 5:00pm to 10:00pm
【Main Counter】
Lunch $80 per person | 45 minutes dining
Dinner $98 per person | 1 hour dining
【Chef’s Counter】
$275 per person | 2 hours dining
Wednesday to Saturday
1st Seating: 6:00pm | 2nd Seating: 8:30pm