2020年に完成予定The Crosstown
Eglintonを中心にTorontoがもっと便利になる! 2020年に完成予定の新しい交通機関
The Crosstown
The Crosstownとは?
トロント市内に2020年完成予定の新しい交通機関で、完成すればEglinton Ave.沿いに25駅が追加され、既存の54のバスルート、3つのTTC地下鉄駅、複数のGoTransitに乗り換えることができる。Eglinton Crosstownは、Mt. Dennis(Weston Rd)からEglinton .Aveを東に向かいKennedy駅までの全長19kmで建設されている。途中Keele駅~Laird駅間の約10kmは地下を通り、それ以外は地上に造られる予定だ。オンタリオ州政府から60億円近くが投資され行われている工事で、トロントの歴史上もっとも大掛かりなインフラ整備工事の1つである。
サービスはどうなるの?
このThe Crosstownの特徴は、今までのTTCの車両ではなく、Light Rail Transit (LRT)と呼ばれる車両が使用される。世界各地で利用されている車両で特にカルガリー、エドモントン、ミネアポリスなどの気候が似た地域でも長く使われていることから今回採用された。地上での運行の際には車道や歩道とは別に特別な車線が用意される。信号システムも独自のものを使うので、ストリートカーのように車の交通渋滞の影響を受けることなく進むことができる。また、一つの車両の定員が約160人といわれており、これはバス一台の約50名、ストリートカーの約70名と比べ、倍以上の人数が乗車できることになり、ピーク時の混雑を大幅に減らすことができるだろう。もちろんバリアフリー対策もしっかり行われているので車椅子やベビーカーを使用している人でも安心だ。
時間の目安として今までEglinton Ave.沿いをKennedy駅からKeel駅に向かう際、バスでは1時間以上かかるのに対して、Eglinton Crosstownでは40分ほどで行くことができるようになる。
現在作られている25全ての駅でメインエントランスとセカンダリーエントランスが用意される。特に車椅子やベビーカーを利用する人のためにエレベーターやエスカレーターなどのバリアフリー設備が完備される予定なので、不自由することなく地下のプラットフォームに行くことが可能だ。環境保全を意識して、またより多くの人にアクセスしてもらえるように、全ての駅に自転車を止める場所が用意され、Mt.Dennis、Eglinton West、Don Mills、Kennedyの各駅には屋内駐輪場が建設される予定だ。
The Big Move計画とは?
(イメージ)
(イメージ)
The Big Moveは25年間の工事期間と約500億円の予算を掛けて計画されている総合的な交通機関の整備をトロント市内のみならず、ハミルトン市まで含めたGTHA(the Greater Toronto and Hamilton Area)で行うというもの。The Big Moveの目的はGTHA内の生活の質の向上、環境保全、そして安定的でかつ競争力のある豊かな経済の構築である。
またこの計画でGTHA内にある高速電車の距離を3倍以上の1,725kmに延ばし、より多くの人が電車を利用しやすい環境を作りあげる。同時に公共交通機関を利用した際の個人の平均通勤時間を1日当り77分短縮できるようになり、車の利用者数が減り、29%近くの温室効果ガス削減にも繋がる予定だ。
先に紹介したEglinton Crosstownがこの計画の第一弾として工事が着手されており、今後もGTHA内で多くのインフラ整備が行われることになっている。
どれくらいの経済効果が生まれる?
この開発を指揮しているMetrolinxの発表では、本格稼働から一年目の2020~2021年の収益は推定560万~1040万ドルとしている。また、現在のトロントは人口増加の傾向にありトロント市の発表では、2031年には人口が319万人まで増えると予想されている。それに伴いThe Crosstown自体の収益も2030〜2031年には890万〜1500万ドルまで上がると推測されている。また、このインフラ整備を行うことによりEglinton Ave. 周辺にも様々なビジネスチャンスが生まれてくるだろう。
近隣住民が抱く懸念
現在も工事が進められおり、地下へのトンネルを掘るために巨大な掘削機などが投入されている。作業時間は、毎日午前7時から午後11時までと限定されているが、場所によっては、工事による騒音や震動が長時間発生するので近くに住んでいる住民に少なからず被害が出ており、住民の中には頭痛や吐き気を感じる人も出始めている。また工事現場周辺の店の中には、歩道が使えなかったり交通量の減少から閉店に追い込まれている所もあるという。Eglinton Way BIAの調査ではSpadina Rd〜Avenue Rd.の間では20もの店が閉店したと発表している。もちろん、作業している側もそれらを理解しており、騒音制限や震動制限を設けたりと対策は行っているが成果は出ていないようだ。2020年まで最低でも後6年掛かる工事に対してMetrolinxやそれに関係する組織や企業には、より効率的な対応が求められている。
これからのThe Crosstown
これまでのトロントは国際都市としてはインフラ整備が進んでいないと指摘され続けてきた。東京やニューヨーク、ロンドンといった世界を代表する国際都市には共通して交通機関が発達している点が挙げられる。しかし今後、トロントがこれらに追いつき国際都市として発展していくには、人々の足となる力強いインフラを整備しておく必要がある。
このプロジェクトが完成すれば、先ほども記述したように他のインフラ整備が進められるだけではなく、新たなビジネスを展開することも可能だ。トロント市が発表している今後の雇用は2031年には約166万まで増えると予想されている。その背景には、現在工事が進んでいるEglinton Crosstownを先駆けに、この他にもFinch WestからHumber Collegeを結ぶ「Finch West LRT」とDon MillsからProgressを経由してMorningsideを進む「Sheppard East LRT」も開発される計画が立てられている。どれもTTCからの乗り換えが可能になる予定なのでより広範囲に移動することができ、トロントのさらなる発展を望むことができるだろう。