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オークビル在住の版画家、松原直子氏の個展が、オンタリオ美術館(Art Gallery of Ontario, AGO)で開催にあたり、オープニング・レセプションが催された。今回は60年にわたる創作活動の中から厳選された20点の木版画と、制作風景や庭の様子を収めた短編ドキュメンタリーが公開されている。
松原氏は1937年に徳島に生まれ、京都で育つ。1960年に京都市立美術大学(現・京都市立芸術大学)を卒業後、フルブライト奨学生としてアメリカ・カーネギーメロン大学大学院に留学。ニューヨークのプラット・インスティテュートなどで教鞭をとり、以降は国際的な版画家として活動を展開してきた。フィラデルフィア美術館、シカゴ美術館、大英博物館、ボストン美術館、スミソニアン美術館、東京国立近代美術館など、世界の名だたる美術館に作品が収蔵されている松原氏。彼女の作品は、自然の持つ静謐なエネルギーを線と色彩で表現し、観る者の心に深い余韻を残す。現在はカナダ・オンタリオ州オークビルに拠点を構え、自然に囲まれたアトリエで創作を続けている。
▲Naoko Matsubara. Janusian A, 2015. Colour woodcut print on handmade Japanese paper, Sheet: 68.5 × 65 cm. Art Gallery of Ontario. Gift of the artist, 2024. © Naoko Matsubara. Image courtesy ofthe artist. Photo: Yoshiki Waterhouse展示の中心となるのは、17枚の木版を用いて制作された2メートルの大作『Tagasode(誰(た)が袖)』。韓国紙に摺られたこの作品は、着物を掛ける家具「衣桁(いこう)」を想起させ、補色の美しい調和と木版技法の卓越した技を示す。
Naoko Matsubara. Summer Pond E, 2013. Colour woodcut print on handmade Japanesepaper, Sheet: 56.7 x 40 cm. Art Gallery of Ontario. Gift of the artist, 2024. © Naoko Matsubara. Image courtesy of the artist. Photo: Yoshiki Waterhouseさらにシリーズ「In Praise of Hands」の木版画が展示されている。このシリーズでは、指揮、竹細工、祈りなど、さまざまな動作を行う手が描かれている。手が持つ豊かな表現力を描いたこのシリーズは、1970年代に幼い頃の息子さんの手の動きを見たことから着想を得ているという。


Naoko Matsubara. Joys of Spring, 2006. Colour woodcut print on handmade Japanese paper, Sheet: 63.5 x 98.3 cm. Art Gallery of Ontario. Gift of the artist, 2024. © Naoko Matsubara. Image courtesy of the artist. Photo: Yoshiki Waterhouse
Naoko Matsubara, Conducting, 2004. Colour woodcut print on handmade Japanese paper, Sheet: 56 x 39.6 cm. Art Gallery of Ontario. Gift of the artist, 2024. © Naoko Matsubara. Image courtesy of the artist. Photo: Yoshiki Waterhouseアソシエイト・キュレーターのルネー・ヴァン・デル・アヴォード氏は、「松原氏の長いキャリアを通して進化し続ける作品群から20点を選ぶのは困難でしたが、キャリアを象徴する多様な表現を届けたいと考えました」と語る。
Naoko Matsubara. Bamboo Weaver, 1974. Colour woodcut print on handmade Japanese paper, Sheet: 56.5 x 46 cm. Art Gallery of Ontario. Gift of the artist, 2024. © Naoko Matsubara. Image courtesy of the artist. Photo: Yoshiki Waterhouse「自然と人間の調和を版画で描きたい」と語る松原氏は、故郷と呼んでいるオークビルに住み、庭の自然に囲まれたアトリエで制作を続けている。「まだまだ創作意欲に溢れており、これからも続けていきます。どうぞ日本人の方々もAGOにお越しください」と本誌にメッセージをくれた。AGOでの展覧会は2026年2月16日まで開催している。