世界がアートで満たされていったなら第23章

Highest art ever!ベーコンとムーア、同時代を 生きた巨匠ふたり。
アート作品の価値ってなんだろう?数十ドルで手に入る路上で売られる作品から、一般人にはとても手の届かない高価な作品まで。一体どうやってアートの価値って付くのだろう?まず言える事は、時代や文化背景が作品の価値と無関係ではないということだ。例えば、2014年に現代風にアレンジされた浮世絵作品が描かれたとしても、それは二番煎じの様式の模倣なのか、それとも2013年あるいは20世紀には成し得なかった作品なのか、それで作品価値は大きく変わってくる。また、高い値段がついているからといって、その作品が人々に大きな影響を与えるものかどうかには議論の余地がある。5歳児が描いた元気な作品が人々の心を動かす事だっておおいにあり得るからだ。
しかし、やっぱり作品のお値段は気になる。お値段と言えば、昨年11月NYのクリスティーズのオークションで落札されたフランシス・ベーコンによる「ルシアン・フロイドの3習作」が記憶に新しい。このベーコン作品は美術品の落札価格として史上最高値の1億4240万ドル(約141億7千万円)を記録。歴史上、値段がついた作品としては世界に存在する全てのアートで一番高い。
そんなベーコンの作品群がここトロントにやって来た。『Francis Bacon & Henry Moore: Terror and Beauty』展@アート・ギャラリー・オブ・オンタリオ(AGO)が7月20日まで開催される。AGOに世界最大級のコレクションがある彫刻家ヘンリー・ムーアとの二人展である。堂々の総数130点で、絵画、彫刻、素描、写真や記録資料を第二次世界大戦のバイオレンスやその他の20世紀上の出来事と照らし合わせた展示になっている。イギリスのオックスフォード大学付属のアシュモレアン美術・考古学博物館の企画。AGOでの展示ではヨーク大学で教鞭をとるダン・アドラーがゲストとしてキュレーションした。
展覧会では、写真家ビル・ブランドによる30枚に及ぶムーアとベーコンの肖像画を含む記録写真作品、テートブリテンからのベーコン、ムーア作品の数々、AGOコレクションの本邦初公開のムーアのリトグラフ作品「Pandora and the Imprisoned Statues」などが展示される。 展覧会では、拘束と怒りがどのように二人の抜きに出た創作のインスピレーションになったのかを検証していく。ベーコンの「人間の苦痛」は、今日のポップカルチャー、例えばヒース・レジャーが演じた、映画「ダークナイト」のジョーカー役の人格にも影響を与え、一方のムーアは、生前最も重要な彫刻家として成功を納め、作品は試練とその後の安定性を喚起するが、彼の戦争での体験を照らし合わせる時、人間の心とからだの儚さからの再興の試みとして捉える事も出来るだろうと言われている。
暴力、トラウマ、干渉といった個や社会のテーマに共に向き合ったとされるベーコン(1909年アイルランド・ダブリン生まれ)は、飲んだくれで、結構けんかっぱやかったという伝説を残す一癖も二癖もあるお方。一方のムーア(1898年イギリス生まれ)は、第一次世界大戦にも出兵し、その後パブリックスカルプチャーで巨大な富を得たが、質素に人生を全うし、私財は全て財団の立ち上げに使われている。
生前は友達でもなく、展覧会で一緒になった事もなく、交流もなかった二人。むしろ作風や生き様を辿ると、当人同士は並んで展示されるのはいやなんじゃないかと思える。ちょっと無茶(笑)。しかし、そこはうまくキュレーションによってあの世の本人たちが怒らないものになっていると信じよう。ダンさん、大丈夫(笑)? 心配だから展覧会観に行こっと(笑。いえいえ、貴重な機会なのでぜひ観に行ってください!)。
あなたには、作品の価値は伝わるかどうか!?

Second Version of Triptych 1944, 1988
Oil and alkyds on canvas
Each panel 198 x 147.5 cm (each panel)
Tate Modern, London
© Estate of Francis Bacon / SODRAC (2013)
Today’s his Work
New York
(homage to Vanilla Sky, 2001 directed by Cameron Crowe),
oil on canvas, 213.36 x 182.88 cm, 2010,
courtesy of Christopher Cutts Gallery
ニューヨークのウエストサイドの風景画。トムクルーズ主演の映画「バニラ・スカイ」の空をイメージして描かれた。
武谷大介 Daisuke Takeya
トロントを拠点に活動するアーティスト。現代社会の妥当性を検証するプロセスを通じて、その隠された二面性を作品として表現している。ペインティング、立体作品、インスタレーションなどその作品形態は多様で、国際的に多岐に渡る活動を展開。展覧会に、くうちゅう美術館、石巻線アートリンク、OuUnPo ゴジラと不死鳥、六本木アートナイト2013、福島現代美術ビエンナーレ2012、 MOCCA、 国際交流基金トロント日本文化センター、在カナダ日本国大使館、プーチコーブファンデーション、ニュイブロンシュ(2007,2007)、六本木ヒルズクラブ、森美術館、京都芸術センター、ワグナー大学ギャラリー、SVAギャラリー、ソウルオークション、在日本カナダ大使館内高円宮殿下記念ギャラリー、北九州市立美術館アネックス、セゾンアートプログラム/セゾン現代美術館、テート東京レジデンシーなどがある。
その他の活動に、大地プロジェクト共同ディレクター、遠足プロジェクトキュレーター、女川アートシーズン実行委員、明日:アーティストフォージャパン共同ディレクター、元アートバウンド大使 、元日系文化会館内現代美術館プログラミングディレクター、元にほんごアートコンテスト実行委員長、元JAVAリーダーなど、アートを媒体としたコミュニティーの活性化に取り組んでいる。 カナダでのレプレゼンテーションは、クリストファーカッツギャラリー(www.cuttsgallery.com)、 著書に「こどもの絵(一茎書房)」がある。
www.daisuketakeya.com

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