世界がアートで満たされていったなら第16章
第16章 「Jon Sasakiユーモア満ちた へんてこハプニングアート。」
以前に本誌にて紹介させていただいた『遠足プロジェクト』の日本巡回展の延長でカナディアンアーティストを日本へ招聘する活動をしている。みんな日本は初めてのアーティスト/キュレーター達、、、みんな日本を満喫してくれているのかな。
今回紹介するのは、アーティストのジョン・ササキ。7月末に来日。大阪での展覧会+作品制作、瀬戸内国際芸術祭の視察、徳島県のアーティストインレジデンスでのワークショップ、愛知トリエンナーレへの視察、東京アートシーンの視察、そして宮城県女川町で今年立ち上げた「きぼうのかね美術館」「石巻アートライン」へ参加した。約一ヶ月の強行軍。滞在期間に多くの出会いやハプニングあり。ジョンさん、かなりご満悦だったみたい^_^
ハプニング、、、は、実はジョンの作品制作の核となっている部分で、2008年のニュイブロンシュでは、スポーツチーム等のマスコットを延々と踊らせ、朝方に疲れて動けなくなった彼らを観客が逆に応援する、、、というハプニングを演出した。観客だけでなく批評家達からも大絶賛を受け、カナダのメジャーアート紙であるCマガジンの表紙も飾る快挙。
さて、ジョンの日本での活動は、、、主にスナック(笑)。大阪で行ったスナックにいたく感銘を受け、その後はほぼ毎日カラオケ熱唱、、ってどんだけおっさん?しかし、ササキというラストネームにも関わらず 、意外にも日本語も生魚もだめ。せっかく日本に来たのにマクド(マック)はないやろ(笑)。真面目な話、大阪では「この1000円札を持ち去らないでください」というメモと千円札を町内各所に貼って、放置する作品を制作。一日目は誰もお金を取らないという日本ならではの平和な結果に。映画撮影に使うカメラの台座のレールをあえて短く作り、撮影が始まってすぐに脱線するのを延々と繰り返すというビデオ作品。右ハンドル左車線走行の日本での北米文化の影響を見てみる「日本車で右側走行してみる」という試み。不思議なことに対向車はみな、おとなしく停車し、静かに文句も言わずに迂回してくれるのだった(トロントだったら、クラクションに中指、、、まず間違いなさそう)。滞在制作で一番人気だったのは、女川町のきぼうのかね商店街での「きぼうのかね美術館」開催中に主にこども向けに行った「ホタテ貝マジックショー」。3枚のホタテ貝の一つに100円玉を隠して貝を並べ替え。どの貝に100円が隠されているかを見つけられたら100円もらえるというもの。しかし、どう考えてもわかりやすい並び替えをすることで、100%の参加者が100円もらえる=マジックだ!!というコンセプト。100円玉に換金された1万円がなくなるまでやるという、このマジックショーで被災地にドネーション。一応、楽しくアートで復興支援になっていますね。
一見、おかしな兄さん的なジョン・ササキ、近年ではカナダ国内を巡回した個展などトロントのアート界を引っ張る存在。将来を嘱望されてます。ササキさん、そのうちお寿司も食べられるようになってほしいもんです。また来てね〜。
ジョン・ササキ(Jon Sasaki)
人間の相互作用の性質に対処した、サイトとコンテキスト応答型の作品を制作。
リレーショナルアートを根底に、ササキは、陽気で耳障りで有意義な対人相互作用のための触媒として機能する、オープンエンドで参加可能な状況の設定に興味を持つ。期待と結果に興味を持ち、その2つが連動しない時、熱意がどれだけ持続可能かを探求。
www.jonsasaki.com
Todady’s his Work
「きぼうのかね美術館」
ポスター画:oil on canvas, 33.5 x 24.5 cm (work in progress)
宮城県女川町のきぼうのかね商店街にて開催された、記念すべき第一回目のフェスティバルのためのポスター画。大阪、瀬戸内、徳島と車で移動しながらの行程中に制作された(アーティストにめちゃぶりは、やめてください〜。笑)。
武谷大介 Daisuke Takeya
トロントを拠点に活動するアーティスト。現代社会の妥当性を検証するプロセスを通じて、その隠された二面性を作品として表現している。ペインティング、立体作品、インスタレーションなどその作品形態は多様で、国際的に多岐に渡る活動を展開。展覧会に、くうちゅう美術館、石巻線アートリンク、OuUnPo ゴジラと不死鳥、六本木アートナイト2013、福島現代美術ビエンナーレ2012、 MOCCA、 国際交流基金トロント日本文化センター、在カナダ日本国大使館、プーチコーブファンデーション、ニュイブロンシュ(2006,2007)、六本木ヒルズクラブ、森美術館、京都芸術センター、ワグナー大学ギャラリー、SVAギャラリー、ソウルオークション、在日本カナダ大使館内高円宮殿下記念ギャラリー、北九州市立美術館アネックス、セゾンアートプログラム/セゾン現代美術館、テート東京レジデンシーなどがある。
その他の活動に、大地プロジェクト共同ディレクター、遠足プロジェクトキュレーター、女川アートシーズン実行委員、明日:アーティストフォージャパン共同ディレクター、元アートバウンド大使 、元日系文化会館内現代美術館プログラミングディレクター、元にほんごアートコンテスト実行委員長、元JAVAリーダーなど、アートを媒体としたコミュニティーの活性化に取り組んでいる。 カナダでのレプレゼンテーションは、クリストファーカッツギャラリー(www.cuttsgallery.com)、 著書に「こどもの絵(一茎書房)」がある。
www.daisuketakeya.com