世界がアートで満たされていったなら 第24章
「Insideクープランドの頭の中。天才はain’t make no sense。」
クープランドをご存知でない方、カナダを代表する文豪でもある高名なアーティストでございます。1991年に出版した「Generation X: Tales for an Accelerated Culture」は、60~80年頃に生まれた世代の3人の男女を描いた時代的な共感を得て世界的なベストセラーになった。小説の事は知らなくても、ジェネレーションX、マックジョブという語は聞いた事があるのでは?いわゆる日本で言う所の新人類、しらけ世代を指すジェネレーションXという語はクープランドの小説から定着したものである。その後も執筆を重ね、 テレビドラマや演劇の脚本なども手がけながら13冊の小説を出版している。地下鉄サリン事件に巻き込まれた日本の若者を描いた「神は日本を憎んでいる」、人間の孤独を描いた「エリナー・リグビー」、学校銃撃事件と思春期のいろいろを扱った「ヘイ ノストラダムス」などヒット作にも恵まれている。
このクープランド、実は現代美術家としても大ブレーク中でトロントのダン・ファレイラ・ギャラリーの所属作家。消費社会の中でまさに消費され忘れられていくオブジェや思想を組み合わせて創ったような作品は、ブラックユーモアや現代社会の風刺やキッチュやウィットに富んだ彼の文学作品がそのままアートになったようだ。バンクーバーアートギャラリーでの個展は、彼の今までのアートを総括したもの。
The 21st Century Condition
クープランドは現代社会の事象に敏感に反応した作品を発表しているが、このセクションでは911など事件を参照した作品を展示。
Words into Objects
文豪としての彼の活動に呼応する形でテキストや文学がそのままアートになった?ような作品群。クープランドが過去に自身の文学作品を理解するために、1ページ1ページよく噛み砕いて吐き出した物をまとめた「nests」という作品も観る事が出来るだろう。
The Pop Explosion
日用品や今日のポップカルチャーにまつわるオブジェを組み合わせ、それらのヒエラルキーを壊したまま設置したもの。
Canada Noir
カナダの文化事象やアイデンティティーを曖昧に刺激的に再構成。ここでは、社交のワークショップとして大人も子どももレゴを使って色々作った物も展示するらしい。
The Brain
右脳や左脳、実際に使い分けられるのか、、、アーティストとしての使い方と小説家としての使い分けをしているというクープランドの脳を割ってみたらこうなっているかもしれない、、、という展覧会の目玉のセクション。ロープを張って離れたセクションとつなげたりと、実際に制作している様を見てきたけど、これはクープランドにとっては、本当に本人の頭の中なんだろうな、と思えた。
クープランドは恐らく天才なのだろうが、かなりエキセントリックだ。話を聞いているさなか「走るすしのおもちゃ」のねじを巻く部分がいきなり気に入らなくなり、目の前でがんがん壊して取り外したり、話が飛ぶ飛ぶ(笑)。 Ain’t make no senseだぜ、ブロw 外したネジ巻きの部分はもらってきたので、額にでも入れて飾っておこう。いつ考えが変わって返せって言われるかわからないので。。。
Today’s his Work
A walk with a grand mother
2014, Mixed media, premiered at
Yoshiwara Super Art Service 2014
金色に塗られた流木がおばあちゃんとなり、おばあちゃんの知恵袋とも言える桜がそこから満開になるというストーリー。おばあちゃんは同じく金色に塗られた三輪車でもあり、こどもたちが三輪車をこぐと一緒に散歩しに町中に出かける。
武谷大介 Daisuke Takeya
トロントを拠点に活動するアーティスト。現代社会の妥当性を検証するプロセスを通じて、その隠された二面性を作品として表現している。ペインティング、立体作品、インスタレーションなどその作品形態は多様で、国際的に多岐に渡る活動を展開。展覧会に、くうちゅう美術館、石巻線アートリンク、OuUnPo ゴジラと不死鳥、六本木アートナイト2013、福島現代美術ビエンナーレ2012、 MOCCA、 国際交流基金トロント日本文化センター、在カナダ日本国大使館、プーチコーブファンデーション、ニュイブロンシュ(2006,2007)、六本木ヒルズクラブ、森美術館、京都芸術センター、ワグナー大学ギャラリー、SVAギャラリー、ソウルオークション、在日本カナダ大使館内高円宮殿下記念ギャラリー、北九州市立美術館アネックス、セゾンアートプログラム/セゾン現代美術館、テート東京レジデンシーなどがある。
その他の活動に、大地プロジェクト共同ディレクター、遠足プロジェクトキュレーター、女川アートシーズン実行委員、明日:アーティストフォージャパン共同ディレクター、元アートバウンド大使 、元日系文化会館内現代美術館プログラミングディレクター、元にほんごアートコンテスト実行委員長、元JAVAリーダーなど、アートを媒体としたコミュニティーの活性化に取り組んでいる。 カナダでのレプレゼンテーションは、クリストファーカッツギャラリー(www.cuttsgallery.com)、 著書に「こどもの絵(一茎書房)」がある。
www.daisuketakeya.com