世界がアートで満たされていったなら 第37章
80’s Rock! 遺そう、昭和のクリエイティビティーの底力。
先日ソニー・センター・フォー・ザ・パフォーミングアーツでプリンス&3RDGIRLのライブに行った。前日にサプライズで売り出されたチケットはすぐに完売し、多くのトロントニアンたちが彼のライブに熱狂した。3RDGIRLはその名の通り、ベース、ドラム、ギターの3女子バンド。プリンスとの相性もなかなかでステージを盛り上げた。とは、言ってもやはり僕的にはプリンスは80’sのスーパースター。2007年のスーパーボウルのハーフタイムショウなどでプリンスを知った人も多いかも知れないが、1984年の映画「パープルレイン」と同名のアルバムが最高傑作のような気がする。ライブでは、その辺の昔からのファンも喜ぶように80’s特集の演奏もしてくれた。80’sのミュージックは今も生きているね。
ところで最近、80’sを含む64年間で終わった昭和の頃をよく思い出す。現在の日本の基礎を成した高度経済成長の時代に作られたアイドルや銀幕の世界。その当時のクリエイティビティーは、現在のスマートでクールな物とは異なるが、一つ一つの手作りのクオリティーの高さには今更ながら驚かされるのだ。東京駅の山手線のホーム。よく見ると奇麗なギリシャ文様を埋め込んだ柱が遺されていたりする。明らかに昭和だ。改築を繰り返しているこの駅でも所々に見られる昭和時代作のものは群を抜いてよく出来ている気がする。銀座の「白いばら」に行ってきた。日本版ムーランルージュ。キャバレーである。恐らく東京銀座周辺でサラリーマンをしていた人なら一度は行った事があるだろう。内装や生バンド演奏、プロのダンサーによるDANCEショー、、、昭和感バリバリ。なのだが、その建築デザインは、現在ではあり得ないような豪華さで、内装は修理のために壁紙を探しても今では見つからないクオリティーなのだそうだ。しかし、高いクオリティーとオリジナリティーを誇る昭和の時代は、大都市一極化集中の時代でもあった(東京の大学や企業が素晴らしいの心)。
昨今、地方創生や創造的過疎が熱い、、、それらは消費社会を反省する事にも繋がる、昭和期からのモダン、ポストモダンへの批判的な動きであるだろう。 そのイノベーティブな動き自体には大義名分があると思われるが、昭和を遺す、あるいは活かすような方法を取って欲しいと切に願う。昭和には、たくさんのインスピレーションがあった。無駄や失敗も多かったけど、利益やコスパ重視の社会では恐らくあり得なかったたくさんの優れものがあった。そこにアートの本質たる鍵がちりばめられていたように思うのだが。。。
Today’s his WORK
「福島のアリス」プロジェクト
『FUKUSHIMA Alice’s Adventures in Wonderland』という外からFUKUSHIMAを見つめるプロジェクトが、2015年からは、「福島のアリス」として、福島に生きる側からのプロジェクトに移行する。画像は福島県富岡町の警戒区域などで撮影されたシリーズより。
武谷大介 Daisuke Takeya
トロントを拠点に活動するアーティスト。現代社会の妥当性を検証するプロセスを通じて、その隠された二面性を作品として表現している。ペインティング、立体作品、インスタレーションなどその作品形態は多様で、国際的に多岐に渡る活動を展開。展覧会に、くうちゅう美術館、石巻線アートリンク、OuUnPo ゴジラと不死鳥、六本木アートナイト2013、福島現代美術ビエンナーレ2012、 MOCCA、 国際交流基金トロント日本文化センター、在カナダ日本国大使館、プーチコーブファンデーション、ニュイブロンシュ(2006,2007)、六本木ヒルズクラブ、森美術館、京都芸術センター、ワグナー大学ギャラリー、SVAギャラリー、ソウルオークション、在日本カナダ大使館内高円宮殿下記念ギャラリー、北九州市立美術館アネックス、セゾンアートプログラム/セゾン現代美術館、テート東京レジデンシーなどがある。
その他の活動に、大地プロジェクト共同ディレクター、遠足プロジェクトキュレーター、女川アートシーズン実行委員、明日:アーティストフォージャパン共同ディレクター、元アートバウンド大使 、元日系文化会館内現代美術館プログラミングディレクター、元にほんごアートコンテスト実行委員長、元JAVAリーダーなど、アートを媒体としたコミュニティーの活性化に取り組んでいる。 カナダでのレプレゼンテーションは、クリストファーカッツギャラリー(www.cuttsgallery.com)、 著書に「こどもの絵(一茎書房)」がある。
www.daisuketakeya.com