通訳・翻訳コースを受講する醍醐味と将来性
敏腕カウンセラーに訊く! 通訳・翻訳コースを受講する醍醐味と将来性
「英語をスキルとして活かしたい!」という思いから、昨今留学生の中でも特に人気を集めているのが通訳・翻訳コース。はたして通訳・翻訳を学ぶとどのような利点があるのか、そしてその将来性とはいかなるものなのか…。気になる通訳・翻訳の世界のあれこれを、国内外から評判の通訳・翻訳コースを開講しているNCA Language Schoolのカウンセラー・竹若弥生さんに伺いました。
通訳翻訳コースを受講される人の傾向
竹若 弥生さん
留学経験がそれほど珍しいものではなくなった現在、日本企業が求めているのは、英語が必要な日本企業と、英語を共通語として用いる海外企業との間に立ち円滑にコミュニケーションが英語でも図れる人材です。ただ、英語力だけが必要なのであればネイティブを雇用しますが、求められる役割は、日本語を母国語とし、且つ、英語でも同等の伝達ができるという「言語力」が暗黙の了解で求めらているのです。本校の生徒の中にも、外資系企業で仕事の一環で社内翻訳を頼まれた際に思うように出来ないことに気付き、そのスキルを身につけるために仕事を辞めてまで留学に踏み切ったという方が、意外に多いです。
割合で表すと、日本で英語関連の仕事に就いていて、自分に足りないスキルを身につけるために渡航したという人が2割、留学中のスキルアップ、また今回の留学の集大成としてという方が6割、残りの2割はすでに専門的な知識を持っていて、その知識や経験と留学中に得た英語スキルを結び付けるために受講される方ですね。
生徒の中には日本で医療業界で勤務していた方も意外に多く、たとえば以前、看護師だった方を例に挙げると、この留学中に通訳・翻訳コースし、看護士として帰国後再び勤務するのではなく、留学後、医療翻訳や製薬会社へのキャリア変換という可能性を広げるためにと受講される方も多くいらっしゃいますね。他にも科学系やIT系の専門知識を持った方などがいますが、こういった分野でかつ英語に長けている方はまだまだ少ないので、通訳翻訳プログラムを経て、企業で、英語力+専門知識の両方を発揮したいからと受講を決意される方も多くいらっしゃいますね。
通訳・翻訳コースを取る利点とは
通訳・翻訳コースを取る利点としては、履歴書選考の段階でも、一般の留学経験者の方よりも実践的に必要となってくるコミュニケーションスキルとライティングスキルが備わっているな、という印象を第三者に与えられるというメリットもあります。
本校の卒業生の大半が英語関連の仕事に就いており、例えば、 フランス通信社でアメリカのスポーツ記事を翻訳している方、翻訳会社に勤めている方、日本の大学で海外からの留学生担当のカウンセラーをしている方、空港で働いてる方などもいます。ほとんどの方が企業専属で働いていますが、中には翻訳会社規定の試験にパスし、翻訳家として登録し、日本国外から働いているという方もいます。
通訳に向いている人、翻訳に向いている人って?
通訳・翻訳で共通しているのは「言葉」というものが好きだということです。直訳と翻訳とは全く異なるもので、直訳は辞書さえあれば誰でもできますが、翻訳にはそれぞれの言語の文化背景を踏まえた上で、言葉をこだわれる楽しさというものがあります。通訳・翻訳には唯一無二の正解というものがないので、優秀な翻訳者というのはいかにきれいに他言語を別の言語でも表現できるかなのです。ですから、こだわりの強い方、向上心のある方に向いていますね。
それぞれについてですと、通訳家に向いているのは、プレッシャーの下でも冷静に判断できる能力、また、英語ー日本語間を連動し、瞬時に切り替えることができる能力を持っている方です。それは、その場の雰囲気や奏者に合わせてハーモニーを作り出す、ジャズの即興演奏のようなものに通ずるものがありますね。
翻訳家に向いている方は、慎重で責任感のある方、あとはリサーチ力のある方ですね。自分の得意分野じゃない翻訳をする場合も往々としてありますから、そういった時に効率よく必要に応じた情報収集ができ、かつそれを慎重に文章に起こせる方が向いていると思います。あとは本をたくさん読んだ方、活字が好きな方は、文章を作るときにとてもバランスよく書くことができる傾向にありますね。
稀に、通訳と翻訳の両方のセンスを兼ね備えている方がいるのですが、そういった方は通訳の時はこういうスタイル、翻訳の時はこういうスタイル、と自分自身のモードを瞬時に変えることができる、臨機応変な方が多いように思います。
NCAが行っている独自のプログラム
通常、日本にある通訳・翻訳の専門学校の場合、通訳と翻訳を分けてクラスを開講しており、同時に学ぶことはできません。ですが、本校では両方を同時に学ぶことによって、もう一段階上の英語力を目指すことを心がけています。私は英語の4スキルである読む、書く、聞く、話す+英文法の全てが連動できて、はじめて本当の英語力だと思っています。本校がこだわっているのは「生きた英語を身につける」ということ。ですから、英訳の時には日本語検定を持っているアダム先生、日訳のときはトロント大学院で教育学を学んだカオル先生から学ぶというプログラムを提供しています。言語は生き物で、現代の使い方というものがありますから、日本語をどのように訳すと自然な現代の英語になるのか、それを学んでいただくため、それぞれの講師から指導を受けることができます。一時的な勉強ではなく、これから積み上げていけるスキルの勉強をしてほしいという思いから、プログラム内容は日々進化し続けています。
本校のプログラムは8週間で通訳・翻訳の基礎を網羅します。最初から専門分野だけに特化して学ぶということは、一見、良いように思えますが、小さな基盤の上にずっと石を積み重ねていくような、細く長く、不安定なものになってしまうのです。やはり全般の基礎ができている人というのは強いですから、本校では新聞翻訳、医療通訳、小説翻訳、ビジネス翻訳、同時通訳など、かなり多岐に渡った授業を行っています。それぞれの文書のスタイルが日本語でも違うように、同様に英語でもそれぞれの文書によって異なりますからね。帰国後に専門分野に特化するにしても、まずはいろいろな分野や文章に対する翻訳の基礎を知り、基盤をしっかりとすることで、その全スキルを専門分野の翻訳に活かすことができるのではないかと思っています。
プロフィール
竹若 弥生(たけわか やよい)
イギリス留学、スイス留学を経て、日本で幾つかの英語関連の仕事に就く。2004年にトロントに渡航し、現地留学会社でカナダ全土の留学を手配を担当。また、トロント大学の翻訳クラスを受講し、修了。その後、NCA Language Schoolでカウンセラーとして勤務を開始。過去の経験・知識を生かしてカリキュラム作りにも携わる。今までカウンセリングした生徒は数千人にも及ぶ。