日本酒の魅力を再発見!ジャパンファウンデーション・トロント主催「An Evening of Sake」

イベントを主催したジャパンファウンデーション・トロントの清水所長

イベントを主催したジャパンファウンデーション・トロントの清水所長

 10月2日、前日の国際日本酒デーに伴って、ジャパンファウンデーション主催の日本酒イベント「An Evening of Sake」が華やかに開催された。秋田県小玉醸造の小玉英子氏とThat’s life Gourmetの田尻まりこ氏を講演者として迎え、日本酒についての知識を新たに深め、小玉醸造提供の日本酒を楽しめるという日本酒好きにとっては嬉しい有意義な会となった。

水にも土地にも恵まれた秋田県・小玉醸造の歴史

小玉氏

小玉氏

 江戸時代、秋田では鉱山業が栄えており、鉱山で働く労働者たちの娯楽としてお酒がよく飲まれたのだそうだ。そのため、鉱山周辺では酒造業が繁栄した。小玉醸造ができたのは明治2年のことで、創業時は醤油や味噌の醸造を手がけるところから始まった。2代目に代替わりした際、酒造業にも着手し、秋田市の名峰に由来する「太平山」ブランドを世に送り出した。2代目は非常に活発な人物で、米の改革をはじめ、銀行や郵便局、鉄道などの発達にも貢献したそうだ。

 そして秋田の日本酒を語る上で重要なのが「生酛造り」という製法である。酵母を培養することで「酒母」というアルコール発酵を促すものが作られるが、それを手作業で時間をかけて作っていくのが生酛造りである。これは最も古く伝統的な製法であるが、明治時代以降に山廃や速醸という短時間で日本酒を作るための製法が生まれ、多くの酒造がその方法に変更したという。

 小玉酒造は時間をかけて作る生酛造りを採用しているが、さらにその製法も個性的で、「山卸し」という米と米麹を磨り潰す工程に電動ドリルを使用している。空気に触れる箇所を少なくすることから雑菌が入るリスクが減り、より清潔な酒母を完成させることができるということだ。このような長年の研究と技術開発によって小玉酒造、秋田ならではのしかし伝統的な日本酒造りがなされている。

色や香りを楽しみ、様々なフードとマッチする日本酒

田尻氏

田尻氏

 日本酒の存在が世界にもよく知られるようになり、日本酒自体の変化ももちろん、日本酒の味わい方も変化している。田尻氏は酒器についても言及した。

 お猪口は伝統的な日本酒を飲むための器で、底に「蛇の目」模様の青い二重丸が描かれているデザインは見たことがある人も多いだろう。これは利き酒を楽しむためのデザインで、お酒を注ぐとその青い部分によって光沢や濃淡を見ることができるのだ。近年では、日本酒を飲む際にワイングラスを使用することもあり、テイスティングをする際にはISOグラスが国際的にもスタンダードに使われているそうだ。この公演後の試飲会もワイングラスで行われた。

 ワイングラスを使用するようになったのも、日本酒のスタイルが変化していったことが理由の一つであるそうだ。吟醸酒や大吟醸酒のブームでは、吟醸香というフルーティーな香りやしっとりとした味わいにより人気が高まった。ワインと同じように日本酒も、色や味、香りを楽しむためにワイングラスが使われるようになってきたのだろう。

 また食べものとのマッチングではチーズとワインの組み合わせはよく知られているが、チーズは塩気や旨味成分があるため日本酒とも良く合うのだそう。プロシュートやサラミもオススメの食べ合わせだそうだ。しかし、ワインやビールに比べると日本酒はソフトな味わいのものが多いので、強烈な味のするものや、甘味、辛味と合わせるのは難しいので注意が必要だという。日本酒と合う食べ物が世界で見つかることで、より多くの人に楽しんでもらう機会が増えるかもしれない。

 講演後、小玉酒造「太平山」ブランドの日本酒等を楽しみながら、講演者、来場者は交流を重ねた。日本酒が造られる背景や知識を改めて知った上で味わうお酒は、来場者にとっても特別な味わいになったに違いない。