織田信成という人|オリンピック選手もサポートするカナダ公認マッサージ・セラピストが教える身体と健康【第68回】
スケーターが多くのサポートを期待できない時代に、自分なりの答えを、自分で導き出せるスマートな選手だったと思います。その努力の成果は、信くんが現役時代に手に入れた多くの功績として残っています。その後、袂を分かち、ライバルチームとして国際試合で会うこともありましたが、微妙な立場ながら良好な関係を維持してくれました。そんな常に真摯にスケートに向き合う信くんのエピソードをご紹介します。
4回転ジャンプに対する、織田信成くんの答え
当時、私は多くのフィギアスケーターのサポートをする立場にあったのですが、どうしても信くんに聞きたい質問がありました。それは「4回転ジャンプの体に対する負担はどうなの?」という質問です。当時数少ない4回転ジャンパーである信君に直接この質問をしたかったのです。私の問題意識は、フィギュアスケートの4回転ジャンパーのほとんどが、大きな怪我をしているということでした。なので実際に4回転を跳ぶ当事者から生の声を聞きたかったのです。ライバルチームのセラピストが質問する内容としては極めて不適切なのは承知の上で、信くんに直接尋ねました。
青嶋: 「ところで、4回転ジャンプって体にどの位きついの?」
信くん: 「そんな事、敵に教えられる訳ないでしょ!」
ある程度覚悟していたリアクションでしたが、「後輩スケーターのためになるのなら!」という前置きの後に、彼個人の考えを教えてくれました。
「4回転ジャンプの練習は、3回転とは比べ物にならないくらいきつい」とハッキリと教えてくれ、そのあと後輩スケーターのためにということで、彼の経験をもとにした感覚・アドバイスを共有してくれたのです。このアドバイスがどれほど重要であったかは、信くんが引退した後のスケーターたちを見ていただければ一目瞭然です。織田信成くんは、表面上の楽しいキャラクターだけでなく、人間的に魅力のある素晴らしいスケーターです。その織田信成くんと知り会えたことは、私にとって大きな財産であり、どんな状況下でもずっと応援していきたいと思っています。
最近、多くのスポーツにおいて、コンディショニングを始め、練習方法に対する疑問が話題になるようになってきました。この問題はトップアスリートだけでなく、幼少期からみんなで考えなくてはいけない問題です。そんなときに、信くんの、真摯に自分の課題に向き合い、自分だけでなく後輩・まわりの人のことを考えられる、人間性から学べることがあるのではないと思います。私自身も機会のあるごとに、自分がアスリートと接することによって得た様々なエピソードをご紹介して、皆様の参考になれば良いと考えています。
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