【第40回】再婚とリーガル・ オピニオン・レター|カナダの国際結婚・エキスパート弁護士に聞く弁護士の選び方
日本で離婚を経験した人がカナダで再婚する場合、日本での離婚を証明する必要があります。離婚が証明できなければ、婚姻に必要なマリッジ・ライセンスを申請することができないからです。
今回は、マリッジ・ライセンス申請に必要な離婚証明の入手方法についてスペシャリスト認定弁護士のケン・ネイソンズに聞いてみました。
マリッジ・ライセンスとは?
カナダで結婚するには、男女共に16歳でなければなりません。また、言うまでもありませんが独身であることが最も重要な条件です。これらの条件を満たしていることを申請書に記入し、マリッジ・ライセンスと呼ばれる婚姻許可証を入手しなければ、結婚することはできません。
カナダでも日本でも重婚は犯罪です。日本では戸籍制度の下、すでに結婚している人の婚姻届が受理されることはありませんが、カナダでは婚姻条件が整っていることを証明するマリッジ・ライセンスがなければ、婚姻届は受理されません。
日本での離婚を証明するには?
マリッジ・ライセンス申請者に離婚歴がある場合には、離婚が受理された裁判所で離婚証明書を入手し申請書に添付します。しかし、カナダ国外での離婚の場合、その国の法律に則った正式な離婚であることを証明しなければなりません。そこで、弁護士にリーガル・オピニオン・レターと呼ばれる「海外での離婚に関する意見書」を依頼することになります。
日本国内であれば、離婚は戸籍謄本で容易に証明できます。しかしカナダで再婚する場合、戸籍謄本の翻訳のみでのマリッジ・ライセンス申請はむずかしく、弁護士が作成した「意見書」を添付しなければなりません。
意見書のために準備すべき書類
「日本での離婚に関する意見書」を依頼するときには、戸籍謄本のみならず、養育費や財産分与などを記した「裁判所命令」や「離婚同意書」など、正式な法文書の原本並びに翻訳を用意しましょう。
しかし、日本の離婚の多くは、当事者間の話し合いのみで離婚届を提出したものでしょう。できれば離婚届のコピーを保存しておきたいところですが、戸籍謄本で事足りる日本で離婚届をコピーすることは稀だろうと思います。
ところが、日本の離婚制度に馴染みのないカナダの弁護士は、戸籍謄本の翻訳に信憑性を見出せない可能性があります。もっとも協力的な夫婦の離婚であっても半年以上の時間をかけて条件を協議し同意書を作成するカナダにおいて、何の取り決めも記録されず「日付と離婚成立」のみが記載された戸籍謄本を「離婚の証拠」だと示された弁護士たちが、首をかしげてしまうのも無理はありません。
原本の原則
さて、弁護士が意見書を作成するときには、前出の離婚を証明する書類の他に、国籍を証明するパスポート、免許証などオンタリオ州の住所を証明する書類、婚約者二人の情報を記載したマリッジ・ライセンス申請書の原本などが必要になります。
これらの書類のPDFを面談前に弁護士と共有しておけば、面談の際に原本を持参することを条件に、あらかじめ「海外離婚に関する意見書」の下書きを準備することができます。これによって必要書類が整っているかどうかの確認もできますし、面談当日に意見書を持ち帰ることが可能となります。
コロナ禍で一般化したオンライン法律相談ですが、「海外での離婚に関する意見書」の作成には「弁護士がすべての書類の原本を確認すること」が必須となります。原本を持って婚約者とお二人で面談にご出席ください。
「海外での離婚に関する意見書」をはじめとする家族の問題は、家族法を専門とする2名のエキスパート認定弁護士と日本人有資格者(オンタリオ州公認パラリーガル)が在籍するネイソンズ・シーゲル弁護士事務所にお任せください。
リモート相談は、次の手順で行っております。
- hnoguchi@nathenssiegel.com(野口)宛に相談内容をお知らせください。
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