Colour of Toronto
トロントを中心に活動中の山本博さんの個展が、4月19日からLawrence駅近くのカフェPattiserie Sebastienで開催されている。4月21日には同会場でオープニングレセプションが催され、多くの人が足を運んだ。来場者は展示された作品を思い思いに楽しみつつ、山本さんとの会話に花を咲かせた。
今回の個展、“Colour of Toronto”では、日本画の顔彩、岩絵の具などを使用して描かれた、トロントの日常で見られる何気ない風景が展示されている。トロントにおいてはユニークな存在である画材を使用して描かれた作品からは、比較的目にする機会の多い水彩画、油絵とは明らかに違った暖かみを確かに感じることができる。また作品には、あまり馴染みのない「麻紙」(麻布または麻の原料を漉いた紙)も使用されており、暖かみを際立たせる一つの要素となっている。
「トロントらしさ、を主張するような絵ではありませんが、日常の何気ない一コマを描いた作品から、トロントを感じとってもらえればと思います。」
そう話す山本さんの言葉通り、展示されている作品には、誰もが「どこかで見たことのある」トロントの日常が描かれている。
初雪が降った日、学校から帰る学生たちの道すがら、公園で犬を散歩させる人。
トロントでなくては見られない風景ではなくとも、トロントに住んでいる人なら、どこかで遭遇したことのある一コマの連続だ。山本さんが描いたその瞬間を、自らの日常と重ね合わせながら追体験することができる。観光用のガイドブックでは必ず目にするCNタワーやカサ・ロマも、あくまで日常に寄り添う風景の一部であることを再発見できるかもしれない。
「赤が好き」と話してくれた山本さん。展示された作品の中に、日本画の顔彩、岩絵の具を使用して描かれた様々な赤色を探してみるのも楽しいだろう。使用している画材にしか出せない、独特の赤色を発見できるはずだ。
Colour of Torontoは5月29日まで開催される。暖かい日差しに誘われて、日常の暖かな一場面を探しに是非足を運んでみてほしい。
5月29日まで開催
会場 Pattiserie Sebastien (3306 Yonge St)