世界中で新型コロナウイルスの感染拡大により経済に影響が出ているが、日本でもついに4月7日(日本時間)に東京を含む神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡を対象に緊急事態宣言が発令された。
ここカナダ・トロントでもオンタリオ州が3月17日に、トロント市では3月23日に非常事態宣言が出され、多くのスモールビジネスが営業制限・営業停止に追い込まれ、カナダ政府から従業員に対する緊急支援金などが発表されている。他方で、営業縮小・停止による営業損失は計り知れなく、倒産・廃業もしくは危機に追い込まれているスモールビジネスが増え続けているのが現状だ。
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完全に営業停止となった美容業界
いま、美容室やネイルサロン、マッサージ、スパなどの美容業界は営業が完全に停止となっている。カナダの商業物件の家賃はこの数年値上がりを続けてきたこともあり、完全に営業停止となった美容業界は売上を捻出できず、店舗の家賃負担が相当重いと言われている。
そんな状況下にあるトロントで美容室を営む日本人オーナーは、
「少しでも働ける業界と違い、我々の業界は全く無収入です。家賃も安くないですし、本当に大変です。」
と切実に語ってくれた。
それでも、
「サロン用のRogers(インターネット・電話料金)、TD Merchant Solutions、お客様用の飲料水など、固定支出に該当する会社に連絡をとり、この非常事態状況を考慮してもらい、割引や一時的なサービスストップしてもらいました。
また、一番大きな家賃に関しては、当面の間TMIだけにしてもらい、営業が再開したらお支払いをするということで了承をもらいました。」
と対策を語ってくれた。
“当店の取り組みが少しでも日系コミュニティーとスモールビジネス・オーナーの役に立てば幸いです”
同サロンのオーナーは、新型コロナウイルスによって急激に変わっている状況下で多くのスモールビジネス・オーナーもまだ様々な交渉をする余裕がないのではと心配しているという。
「営業停止中のスモールビジネスはもちろんのこと、飲食店でテイクアウトやデリバリーを行なっているところも、売上は激減しスタッッフも最小限になって苦しい状況に変わりはないと思います。
それでもなんとか時間を見つけて、家賃や光熱費など交渉だけでもしてみることをお勧めします。もしかすると私のように少し何か良くなるかもしれませんので。」
「日系コミュニティーのみならず、まだ家賃の交渉すらされていない方も多くいると話を聞きます。
交渉しても無理なこともあるかと思いますが、軍資金なくなったら我々スモールビジネスは終わりなので、消極的にならずに交渉してみてください。」
と我々に話をしてくれたことを通して、より多くの方に伝わると幸いだと語ってくれた。
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オンタリオ州での感染拡大はまだ増加傾向にあり、営業停止・制限になっているスモールビジネスが通常営業に戻れるタイミングはまだ見通しが立っておらず、街の経済の回復を期待する声は高まっているものの、多くの人々にとって最優先である共通意識は人命第一であることは間違いない。しかしながら、雇用・給与に対する支援金(75%・3ヶ月)と4万ドルの無利子ローン(T4SUMが5万ドル以上)の財政支出はあるものの、営業損失に対する補償等がない中で一日一日スモールビジネスの事業主は追い込まれていっていることも現実だ。
そのような環境の中で、こちらのサロンのオーナーのように少しでも自分が得た知識や情報を多くの人と共有し、助け合う姿勢を持ち続けることがいずれくる経済の立て直しへの近道につながっていくだろう。
TORJAでは読者の皆さんやスモールビジネス・オーナーの方から、新型コロナウイルスの影響下で体験していることや、ご自身が得た情報・経験、多くの人と共有できる話題などを募集しています。
みなさんの貴重な情報がきっと多くの人に役立つと思います。どうぞこちらまでご連絡ください。
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