文化を次世代に繋げる重要性 | 銀杏・木村オーナーシェフのカナダストーリー Vol.18
今年で開店34周年を迎えた銀杏。記念イベントの開催も決定し、食材集めからメニュー作成までこれまで通り職人としてのこだわりを詰めてきた。日本人として、日本食文化を次世代に繋ぎたいという心意気に迫った。
開店34周年を迎えて
開店30周年を祝うイベントが開催されてから4年、毎年開店記念イベントを開催しようと思っていたものの機会がなく、今年34周年を迎えて特別メニューを用意することにした木村さん。今回の記念イベントでも普段通り食材へのこだわりが見えてくる。日本からはわかめやひじき、のりを取り寄せる一方で、ローカルからはスノークラブ等を取り寄せたそうだ。
日本産食材とローカル食材が合わさったメニューはイベントのためだけに食材を揃え、メニューを考案したという。日本人だけでなくローカルのお客様にも喜んでいただけるメニューを目指し、見て楽しい、食べて美味しい会席料理を提供するために普段はメニューに載っていない食事にチャレンジすることが楽しいと語ってくれた。
「30周年を迎えてから4年、色々なことをやってきました」と語る木村さん。去年から大規模なリノベーションも行い、34周年イベントのお客様を迎える準備は万端といった様子だ。
日本食文化を次世代に繋ぐ
自身のビジネスだけでなく、カナダ日本食レストラン協会の会長も務め、その振興に走り回る日々の木村さん。「オーナーシェフをやっていると確かに余裕はない。日本食レストランの振興などもやっぱり誰かがやらないとこの業界も進んでいかない。でも私もやっている以上楽しくやっていきたいですね。」
今年からまた1年ごとに記念日を祝っていきたいという気持ちの裏にはそういった次世代に日本食文化をつないでいく気持ちに突き動かされたからだそうだ。「30年もやってきていると、古いお店が無くなってきている。日本人は文化を継承し続けるということに大きな意義を見出している民族だと思う。
それを日本から離れていたとしても次の世代に繋げていく気持ちを大事にしたい」と木村さんは真剣に語ってくれた。素晴らしい文化を次の世代に継承してきたからこそ、日本の食文化も発展してきた。離れた地、カナダでもこの気持ちを大切にしているのは、ビジネスだけでは割り切れない「次世代に繋ぐ」責任を背負っている日本人だからこそなのだろう。