農林水産大臣賞が結んだ縁 ― 1982年創業・ 稲庭うどん「小川」社長夫妻 カナダ「ZEN」柏原社長夫妻を訪問

秋田県湯沢市・稲庭町で四百年の歴史を誇る稲庭うどん。その伝統を受け継ぐ「小川」の小川博和・選子社長夫妻は、この日、カナダで寿司文化と日本料理を牽引する 「ZEN Japanese Restaurant」 の柏原社長を訪ねた。寿司カウンターで柏原氏の握る江戸前寿司を味わいながら、「小川」の手作業への徹底したこだわりと稲庭うどんの唯一無二の魅力について語られた。会談後には、稲庭うどんを提供するトロント・スカボローの 「ZEN Sanuki Udon」を訪れ、柏原さんの夫人・和子さんとともに稲庭うどんを確かめるひとときが持たれた。
4日間、すべては手の仕事から

「小川」の特徴は、一切の妥協を許さない手作業による製造だ。小川社長は語る。「弊社は4日間かけて、すべて手作業でつくっています。1日目は生地をこね、踏み込むところまでが手仕事。そこから熟成を重ね、細く延ばし、でんぷん粉を打ってはまた寝かせる。熟成を2倍以上かけるので、コシが強く、ゆで伸びしにくい麺になるんです。」
実際、職人たちの手には無数のタコができているという。それが「手でつくっている証拠」だと夫妻は誇らしげに語った。

稲庭うどんだけの食感と時間
「稲庭うどんの断面には“気泡”が生まれるんです」と教えてくれた。実際、この気泡があることで、ゆで時間はわずか3分。口に含むとゴムボールのような独特の弾力があり、それこそが稲庭うどんの最大の個性だという。
また、「小川」では麺を一般的な1.5メートルよりさらに長く、2.1メートルまで伸ばす。「これも手作業だからこそできること。機械製では決して再現できません」という。
誠実な手仕事と雪国の覚悟

「創業以来の思いは“贈答品だけでなく、家庭でも楽しんでほしい”ということなんです」と夫妻は語る。仕込み量も品質維持のために制限し、機械製造が1人で80キロを扱うのに対し「小川」では最大40キロに抑えている。
一方、豪雪地帯の稲庭町では、社長自ら早朝3時半から除雪を行い、社員が安心して働ける環境を整える。自然と向き合いながら日々湿度や乾燥を見極め、まさに「全力で、美しく、腰のあるうどんをつくる」姿勢を貫いている。
柏原社長が語る ―
稲庭うどんと海外で守りたい日本食文化
文化

柏原さんは農林水産大臣賞を受賞し、日本食普及の親善大使としても活動してきた。また、JRAC(カナダ日本食レストラン協会)の一員として、カナダにおける日本食材と食文化の伝導者として先頭に立ち、その魅力を守り広める役割を担っている。小川社長との出会いは、この農林水産大臣賞の受賞式の場であった。伝統を支える生産者と、それを海外で正しく伝える料理人であり経営者が結びついたことは、日本食文化の広がりを象徴する出来事である。
「稲庭うどんは、ゆで上げた後にほんのりと透明感が出るんです。温かい椀でいただけば優しい味わいに、冷麺では爽やかな喉ごしを楽しめる。しかも、たった3分でゆで上がるのも魅力で、口に含むと独特の弾力があり、機械製では絶対に出せない“唯一無二の食感”があるんですよ。

さらに9月は初めての試みで“温かい温麺”としてのスペシャルを考えています。温でも冷でも稲庭うどんは表情を変え、どちらにも深い魅力がある。だからこそ、ここトロントでも伝統の美味しさを広めていけると確信しています。」
食を通じた使命
「日本には小川さんの稲庭うどんのように、まだまだ世界に誇れる素晴らしい食文化と食材があります。稲庭うどんは透明感のある美しさ、そして温でも冷でも楽しめる独特の食感が魅力です。実際にトロントで提供しても、多くのお客様がその味に感動し、すでにファンが生まれている。これはまさに、日本の食の力を証明するものだと思います。

小川社長の稲庭うどんのように、一つ一つの食材には生産者や職人の手間と魂が込められている。それを世界に正しく伝えていくことこそ、私たちの使命であり、日本の食文化の未来につながるのだと信じています。」
小川博和・選子社長夫妻、カナダ・トロントで感じた街の魅力、柏原夫妻との交流、そして提供された自社稲庭うどんの味わいに抱いた思いを語る。
カナダ・トロントの印象
トロント訪問の前にニューヨークに滞在していたこともあり、自然の豊かさと都市の調和がとても印象的でした。商業も発展していながら街の雰囲気は落ち着いていて、住みやすそうだと感じました。予想以上にアジア系のレストランやお店も多く、多様な文化が共存している様子に驚きました。
今回は3日間と短い滞在だったため限られた場所しか訪れられませんでしたが、次回はより多くの場所を見てみたいと思います。また、今回は現地の名物料理を味わう機会が少なかったので、次回はぜひその土地ならではの食文化も体験したいです。
「小川」稲庭うどんを使ったメニューについて

感動的な「おいしさ」でした。あんなに贅沢な稲庭うどんは初めてで、ウニの甘みと卵黄のコク、さらにオクラのなめらかな食感が、稲庭うどんと絶妙に調和していて、まさに絶品でした。頑張って製造している弊社の社員にも、ぜひこの味を体験してもらいたいと心から思いました。
また、うどん店の温麺・冷麺どちらも非常においしかったです。茹で加減もちょうどよく、温麺・冷麺のどちらも、それぞれの良さが引き立っていました。特におだしの風味がとても印象的で、最後までおいしくいただきました。また、盛り付けも非常に丁寧で美しく、「ここは本当に海外なのか?」と思ってしまうほど、日本のクオリティーそのままの一品でした。
柏原夫妻の印象

まずは、このような素晴らしいお店の一品に、当社の商品をお選びいただけたことに心より感謝申し上げます。柏原さんは、すでにお料理人として確固たる地位を築かれているにもかかわらず、今なお新しい食材や味を追求し続けるその姿勢に、深い敬意を抱きました。


「おいしいものは世界共通」というお言葉がとても印象に残っており、まさにその信念が料理の一品一品に表れていると感じました。優しい笑顔も印象的で、温かなお人柄がにじみ出ていました。そして奥様の柔らかな雰囲気にも心が和み、おふたりの人柄がお店全体の温もりを作っているのだと実感しました。
カナダ在住の読者の皆さんへ
日本にはさまざまな乾麺の産地があり、それぞれに麺の太さや食感、風味などの個性があります。私たちが手がけている「稲庭うどん」も、そのひとつです。稲庭うどんは、現在でも機械を使わず、すべて職人の手作業で作られており、5段階にもおよぶ熟成工程を経て、4日間かけて丁寧に仕上げています。
ゆで時間はわずか3分と短く、つるつるとしたのど越し、そして細麺でありながらも強いコシが特長です。茹でたての麺は、つややかな光沢を放ち、その美しさから「秋田美人」と称されるほどです。ぜひ一度、私たちの稲庭うどんをお召し上がりいただき、日本の手延べ麺の魅力を感じていただけたら嬉しいです。
Zen Japanese Restaurant https://zenjapaneserestaurant.com/
Zen Sanuki Udon https://zensanukiudon.com/

















