トロント日本映画祭、いよいよ開幕!北米最大と呼ばれるトロント日本映画祭の軌跡
今月8日、いよいよ待ちに待ったトロント日本映画祭が開催される。今年で6年目となる今映画祭を支えてきた立役者、ジェームス・ヘロンJCCC館長とトロントで映画コンサルタントとして活躍中で同映画祭のプログラマーの高畠晶さんにお話を伺った。(以下敬称略)
トロント映画祭が開催されるきっかけはなんだったのでしょうか?
ジェームス:2004年に小林ホールが建設されて以降、「映画」は日本文化を伝えていく上で非常に有効な手段であると感じていたからです。そもそも日系文化会館の目的は、日本文化をカナダの人々に紹介し日本とカナダ間の友好を深めていくこと。ご存知の方もいるとは思いますが、戦時中、カナダ人は日系カナダ人に対して大変酷い扱いをしてしまいました。そのような過去には日本人のことをよく知らないという、日本人に対する恐怖が理由の一つにあったのではないかとも思うのです。この映画祭は、全てのカナダ人が日本人や日本文化を理解するための、日本とカナダの架け橋になってくれると信じています。
高畠:私はカナダに移住後、日本の映画配給会社で働いていた経験を生かして映画祭などをこちらで開催できないかと考えていました。そんな頃にジェームスさんと出会い、そのお話をしたらジェームスさんもその時同じようなことを考えていらして、非常に良いタイミングでこのトロント日本映画祭が始動していきました。
トロント日本映画祭が開催されて、この6年間でどのような変化を感じられますか?
ジェームス:この映画祭を開催した1年目に上映された映画は12本でしたが、現在は倍以上の25本の映画を上映しています。そして、一度映画祭に来たことのある方が友達や知り合いの方を連れて映画祭に来ていただくこともあり、年々来場者数も増えていますね。
高畠:また当初は観客賞のみでしたが、2014年より審査員賞も創立されましたし、毎年日本からの監督さんなどゲストの方を招致しています。ニューヨークやドイツなど様々な国と地域で日本映画祭は行われていますが、この6年間でトロント日本映画祭は北米最大の日本映画祭と呼ばれるほどに成長しました。
ジェームス:そうですね。そのような変化を遂げる中、日本人の方がカナダ人の友達を連れてこの映画祭に足を運んでくださる様子を見ると非常に嬉しさがこみ上げます。トロント日本映画祭では映画上映前には寿司やお酒が振舞われることもあれば、和太鼓のパフォーマンスや日本文化を紹介するデモンストレーションが行われるなど、まるで本当に日本にいるかのような雰囲気を味わっていただくことができます。日系文化会館で行われることにより、日系カナダ人の歴史を伝えるミュージアムやアートギャラリーなども見学していただけるため、カナダ人が日本への理解を深める素晴らしい機会になっていると実感しています。
このトロント日本映画祭の意義をお聞かせください。
ジェームス:先ほど述べたような日系文化会館の目的や使命に関する部分も大きいですが、やはり人々を幸せにしたいという気持ちがあります。日本映画を通じ、日本人や文化への理解を深められるだけでなく、映画を見ることでみんなが幸せな気持ちになれる。こんなに素晴らしいことは他にはないでしょう。
高畠:カナダにいるとやはり日本映画をこれだけ大きなスクリーンで見られる機会はなかなかないと思います。tiffなどの映画祭ではどちらかといえばアート系映画のラインナップが多い中、トロント日本映画祭は娯楽映画など様々な幅広いジャンルの映画が用意されているので、この映画祭でしか味わえない日本映画を皆さんに楽しんでいただきたいです。
今後の展望を教えてください。
ジェームス:映画の上映に合わせて日本文化の紹介をするパフォーマンスやデモンストレーションにより力を入れていき、映画と文化を今まで以上に融合させて皆さんに紹介していきたいと考えています。
高畠:今後は日本での注目度も高めていきたいですね。日本の配給会社や監督の方々がトロント日本映画祭での上映を嬉しいとと感じていただければ光栄です。そして見に来ていただくお客様の数も増え続けていってほしいと思います。
今年のトロント日本映画祭の見どころ等、読者の皆様にメッセージをお願いします。
ジェームス:見どころは何と言ってもオダギリジョーさんがゲストとしていらっしゃることではないでしょうか。今回オダギリさんは、『湯を沸かすほどの熱い愛』と『オーバー・フェンス』にて舞台挨拶と質疑応答で登壇されます。そして『深夜食堂』と『続・深夜食堂』にも出演されていて、私もお会いできるのが楽しみです。皆さんも是非日本人やカナダ人のお友達を連れて、映画とそして日本文化を楽しみにトロント日本映画祭へお越しください。
高畠:今年は山崎貴監督、森義隆監督、白羽弥仁監督、中村義洋監督の計4名の監督陣にもお越しいただくことになっており、やはり監督の舞台挨拶や質疑応答を通して映画の内容をより深く楽しんでいただけるチャンスにもなりますし、監督の生の声を聞けるのは大きな見どころだと思いますね。日本にはこんなに素晴らしい映画がたくさんあったんだということを知っていただくためにも、是非とも会場へ足をお運びください。