カナダ企業が注目!日本フィンテック市場の可能性 ジャパン・フィンテックセミナー レポート
10月18日、ジェトロトロント事務所主催、ジャパンフィンテックセミナーが開催された。近年注目のワードとなっているフィンテックとは、ファイナンシャルとテクノロジーを掛け合わせた言葉であり、モバイル決済や仮想通貨を使った取引などに代表されるIT技術を使用した金融サービスのことを意味する。日本では今年5月に改正銀行法が参議院本会議で可決、成立したことが記憶に新しい。この改正銀行法こそが、今後日本でのフィンテック企業の成長の大きな鍵を握っている。
開会の挨拶を行ったジェトロトロント事務所の酒井拓司所長は、フィンテックは近代における最先端テクノロジーの中でも世界で注目の話題となっていると述べた。日本ではフィンテック対応が遅れていると見られる反面、銀行によるスタートアップテック企業への出資規制の緩和の動きが見られるなど、今後はフィンテックにおける大きな成長が予想され、カナダのフィンテック企業においても、日本が新たな市場開拓の場になると期待しているとした。
そしていよいよセミナーがスタート。ISI-Dentsu of AmericaのVice Presidentであるマエダサララ氏は、今日から2020年にかけて日本のフィンテックエコシステムがどのように変容していくかを主題に取り上げた。近年は日本でのフィンテック体制の様々な変化が見られており、ISI-Dentsuの親会社、株式会社電通国際情報サービスは国内最大級のフィンテックピッチコンテスト『金融イノベーションビジネスカンファレンス(FIBC)』を2012年より毎年開催。今後も日本市場はオープンであり、特に2020年の東京オリンピックはフィンテック企業らにとってはまたとない大きなビジネスチャンスになると示唆。今こそカナダの企業がサービスや技術を日本へ拡げる良い機会だと語気を強めた。
続いて登壇した、みずほフィナンシャルグループ、デジタルイノベーション部のシニアデジタルストラテジストを務める上野育真氏は、自社でのサービスを例にとりながら日本のフィンテックについて説明。みずほフィナンシャルグループはフィンテックを利用し、新たな金融ビジネス創出を行っている。今年の6月にはBlue Labと呼ばれる合併会社を設立、今後はさらに幅広い様々な産業に視野を広げ、次世代のビジネスモデル創出を図るという。また、今年9月に発表されたJコインと呼ばれるキャッシュレス推進の電子マネーの創設計画についても触れ、日本のフィンテック革新を強調。メガバンクはフィンテック企業らと互いに補い合える関係性にあり、銀行とフィンテック企業の協働により生まれる可能性を述べた。
最後にカナダ大使館の市川耕次郎商務官(情報通信業)が登壇。日本とカナダ間にはそれぞれ文化背景の違いこそあれど、日本の経済の大きさは魅力的であり、一度信頼を築けば長期的な強い関係が望める。日本の市場はチャレンジングではあるものの開拓価値のある市場。今こそカナダの企業の方々に日本進出していただく絶好の機会だとし、困った時はいつでもジェトロやカナダ・トレードコミッショナーサービス(CTCS)を始め、我々を尋ねてほしいと締めくくった。
昨今の流れを見ると、海外のフィンテック企業にとって日本は非常に出資価値がある市場だと言えそうだ。今回のセミナーを機会に多くのカナダ企業が日本への市場開拓の道を見出すことを期待する。