SIO主催 第5回「日本酒の日」レポート
日本では1978年に日本酒造組合中央会によって10月1日を「日本酒の日」と定めており、近年では日本酒の認知度が広まると同時に世界各地でも日本酒の日が祝われるようになってきている。ここトロントではSake Institute of Ontario(以下SIO)が主催で今年第5回目を迎える「日本酒の日」を開催した。
まずはSIO代表の小澤さんから簡単な挨拶が述べられ、その後今年で3度目となるToronto International Sake Challengeで100種類以上の日本酒の中から9時間以上かけた審査の上、見事選ばれた、6部門(本醸造、純米、吟醸、大吟醸、スパークリング、にごり)各々の入賞銘柄の発表が行われた。そして会場ではそれら入賞銘柄をはじめとする30種類以上の日本酒を、8つのエージェントがそれぞれ紹介・試飲の提供を行っていた。
会場は多くの人で賑わい日本酒の試飲は大盛況な様子で、各々が好きな日本酒を試しながら興味津々に質問をしていた。所々から「カンパイ」と聞こえ、中にはきれいな着物をしっかり着こなし参加しているカナダ人女性も見られた。そして今回SIOより提供された食べ物は伝統的な日本食ではなく、ブティックから取り寄せた様々な種類のチーズや、この日のために作られたボリュームたっぷりの照り焼きハンバーガーなどの洒落っ気たっぷりの食べ物が並び、食事とのペアリングを非常に重視するカナディアンに、日本酒のあらゆるマッチングの可能性をアピールしていた。
イベントの盛況ぶりから現在トロントでの日本酒への関心は非常に高まっていることが伺える。またSIOやSake Challengeのジャッジの方々は口をそろえて今年の4月、MarkhamにオープンしたLCBOの新コンセプト店舗“Product of the World:East Asia”に注目しており、取り扱っている商品の約8割が日本酒という特別な同店舗はトロントでの日本酒市場における大きなステップであり、今後の展開に期待したいと述べていた。
数年前までは「サケ=熱燗」というイメージの強かった日本酒だが、今では熱燗だけでなく、冷や常温、ぬる燗など様々な味わい方を楽しめる独特なお酒として多くのトロント市民にも受け入れられており、近年の日本食レストラン拡大に合わせて日本酒の多様性がますます注目されている。
SIOの活動や下記特集ページでも取り上げている“Product of the World:East Asia”など日本酒を知る機会が増えたことで、より一層日本酒の魅力が伝わりやすくなり、今後もトロントでの日本酒市場は拡大の一途を辿り続けるだろう。