第4回 “Green Japan” レポート
日本とカナダの国際貿易・商業関係に造詣が深いサスカチュワン大学キャリン・ホルロイド准教授が登壇
在トロント日本国総領事館が主催する、経済、産業様々な角度から日本の「いま」を各方面の専門家を介して紹介するJapan NOW Lecture Series。3月10日、キャリン・ホルロイド准教授による「Green Japan: Combining Technological Innovation, Economic Growth and Environmental Sustainability」をテーマとした講演会がが行われ、トロント大学の研究者、学生、一般市民等が出席した。
はじめにトロント大学マンク国際研究所のステェファン・トゥープ教授から挨拶、そして在トロント日本国総領事館の中山泰則総領事からも講演に先立ち挨拶が行われた。
ホルロイド准教授はJapan Studies Association of Canadaの会長を務める一方、サスカチュワン大学の政治学部准教授を務め日本の国際貿易やカナダとの商業関係に造詣が深く、日本語も堪能。今回はGreen Growthという、自然資源を無駄にせず、サステナビリティマナーに則った上での経済成長は可能かをテーマとして取り上げ、日本がこの分野で国際的にリーダーシップをとり、具体的にどのような政策が進められているかがパワーポイントと共に紹介された。
世界でエネルギーの多様化が求められる中、新たなエネルギー技術の開発を使命に立ち上げられた日本最大の技術開発推進機関である新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の紹介をはじめ、クールビズやウォームビズといった個人レベルでの取り組みから、日本が世界に誇る車産業でのハイブリッド、電気自動車、水素自動車などの開発と導入や、清水建設が取り組む月太陽発電の開発と研究などの企業レベルでの取り組み、また横浜のエコポイントプログラムや、市中に敷設した水素パイプラインによって、集合住宅や業務用施設に効率的に水素を供給・利用する世界初の試みである北九州水素タウンプロジェクトといった行政レベルの取り組みなどが紹介され、数々の革新的でチャレンジングな試みに聴衆は驚いていた。これを受けて中山泰則総領事から、日本は自国に資源がなく、大人も子どもも誰しもがエネルギー不足に対して危機感を抱いている事実が述べられた。
質疑応答では、カナダと日本では国民性や国土、産業など異なる部分が大きく、日本のアイディアをカナダに応用するのは難しいのではという声があがったが、博士はGreen Growthは日本の取り組みを考察する限り実現可能なコンセプトであり、日本で成し遂げうるならば他国でも実現しうるはずだと述べた。
また様々な知見をもつ日本と共同政策ができないのかという意見があり、中山泰則総領事から既にNEDOによるオシャワのスマートコミュニティ実証事業(家庭に太陽光パネルと蓄電池を設置し、停電時の非常用電源として活用する地域のビジネスモデル)の紹介があった。
環境問題は世界共通のトピックであり、Green Growthは今後の発展に必要不可欠な理念となるだろう。博士が述べたようにまずはこのコンセプトが実現可能であることを、日本が世界に先んじて証明していかなければならない。