[第8回] ミディエーション 1|カナダ・オンタリオ州公認パラリーガルによる日本語法律相談
ミディエーションとは、中立の第三者が当事者間の話し合いを促し、双方が納得できる解決策を見つける手助けをするものです。そしてミディエーターは、当事者が建設的な話し合いをするためのファシリテーターです。
今回から数回にわたり、離婚を前提としたセパレーション・アグリーメントを例にミディエーションについてお話します。
◆ミディエーションの目的
ミディエーションは調停と訳されますが、日本の調停とカナダのミディエーションは少し異なります。
日本の調停は、夫婦の一方が離婚の話し合いに応じなかった場合、一方が家庭裁判所に申し立て、他方を話し合いの場に着かせることを主な目的としています。しかしカナダのミディエーションは、当事者双方の同意によるオプションです(離婚訴訟の過程で裁判所からミディエーションを命じられる場合もあります)。
◆ミディエーターの資格
家庭裁判所の調停委員が介入する日本の調停に対し、カナダのミディエーションは、裁判所抜きで進められます。また、ミディエーターの選択も、当事者に一任されます。
離婚案件では、弁護士、会計士、社会福祉士らが、ミディエーターとして選ばれることが一般的です。「金銭面の問題は会計士、親権など子供に関する問題は社会福祉士」と、ミディエーターを二人選ぶケースもあります。
しかしミディエーターを決める際、もっとも大切なポイントは、ファミリーロー・ミディエーターとしてトレーニングを受けた公認ミディエーターであるかどうかです。
◆ミディエーションと代理人
裁判所が介入する日本の調停は、当事者のみでも十分対応できますが、カナダのミディエーションには、弁護士を伴うことが期待されます。
ミディエーターは、法アドバイスをすることが禁止されているので、当事者其々の法的権利を守るため弁護士の存在は欠かせません。これはミディエーターが弁護士であった場合も同じです。
ですから、ミディエーションを「弁護士を雇わないすむオプション」だと考えることは、危険です。
それでもやはり、ミディエーションは訴訟に比べ、解決までの時間やリーガルフィー、精神的な負担などを軽減することができるたいへん有意義なオプションです。そこで次回は、実際のミディエーションの手続きについてお話します。
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野口ひろみ
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