大麻ビジネス・実業家インタビュー|特集「カナダ大麻合法化」から1年が経過して分かったこと
インタビュー
カナダの大麻事業にいち早く目を付け、快適な大麻使用を広めるため業界の先頭を走ってきた「Organigram Holdings Inc.」
Greg Engel氏
ー以前はどのようなお仕事をされていましたか?
25年以上カナダとアメリカでヘルスケア産業に従事し、国際的には製薬産業やバイオテクノロジー産業に携わってきました。直近はカナダ系企業としては初の医療用大麻の輸出業者のCEOを務めていました。
ー大麻事業に目を向けたのはいつ頃ですか?また、なぜ大麻事業を始めたのですか?
大麻業界に身を置いたのは、早い段階で新興産業に参加し、未来を作る手助けができる、一生に一度の機会だと考えたからです。また、義姉が脳腫瘍になり、痛み、不眠、食欲不振といった症状に苦しむ彼女の様子を見て、大麻の適切な使用はこうした患者を助けられるのではないかと考えました。
ー大麻の合法化によって、経営戦略に何か変化はありましたか?
弊社は創業以来、高品質の大麻製品と専門的かつ倫理的なビジネス慣行の開発に取り組んできました。合法化に先立って行った最大の変化は、必要な規模の拡大に備えて自動化と技術化を行うことでした。
さらに費用対効果の高いカンナビノイドの生産と、大麻草の遺伝子解析をさらに進める研究プロジェクトと技術開発に投資を行っています。長期にわたる成功は、継続的な革新、新しいテクノロジーへの投資、徹底した顧客サービスが重要になるでしょう。
ー医療用・嗜好用ともに禁止している国が多くあり、また否定的な意見もまだまだあります。
大麻への否定的な意見や誤解は、医療用および嗜好用の両方の観点から見て、大きな障壁となっています。合法的な大麻産業が進化し続けるにあたって、専門性の向上と倫理的かつ透明性のあるビジネスを行うことが、これらの否定的な意見を打破するために必要でしょう。同様に、進行中の化学調査及び消費者への周知は、健康志向の社会における大麻の認識を変えるために役立っていくと思います。
ー多くの国や企業で大麻の取り扱いや関連事業に注目が集まっていますね。
大麻に対する世界的な関心は高まりつつあり、多くの国が大麻の生産と消費に対する施策を再検討しています。カナダの観点から見ると、研究や開発の分野で全世界とつながる機会をもっています。
現時点では、企業と社会の両方の観点からこの新しい業界をどう扱うか、カナダに注目が集まっています。これは、今後数年の間に世界で起こることを把握するのに役立つでしょう。
カナダにおいて大麻の生産と流通における世界的なリーダーシップをサポートできることを誇りに思います。独自の製品ポートフォリオを開発しながら、大麻の消費について業界と消費者の理解をサポートすることに貢献できていることを誇りに思っています。
幅広い研究とリスク管理を強みとし、医療業界において各大麻関連のサービスを提供する「HollyWeed North」社
大麻産業で初めてのトランスジェンダーCEO・女性CEOとして知られる Renee Gagnon氏
ーまずはご経歴を教えてください。
以前はIPセクター(ソフトウェア、ハードウェア関連)の業界でおよそ20年働いていて、ウェブサイトを構築したり。ソフトウェア開発に関わったりしていました。その後、現在の大麻関連産業に関わり始めました。
ー大麻産業に興味を持ったのはいつ頃ですか?
大麻ビジネスにはずっと興味を持っていましたが、合法の機会を待っていました。医療業界において大麻が人々の健康への効能を持つことに魅力を感じ、同時にビジネスとしても商機を感じていました。
ーカナダを市場として選んだのはなぜですか?
カナダは、世界的にはあまり見られないマリファナの使用が国単位で認められている国だからです。我々も最初は医療プログラムを打ち出していましたが、その中に参入するのは競争が激しくかつ複雑でした。総合的に考えるとカナダはマリファナ産業に関してリーダーシップを取っており、オペレーションの知見が極めて豊富でした。
ー一部の国、例えば日本などではマリファナに対してネガティブな意見を持っています。マリファナ産業のCEOとして、反対意見にはどのように考えていますか?
医療業界においては大麻の効能が既に注目されており、今後もさらに発展する潜在力を持っていると考えます。「カンナビノイド」は、今や現代医療にとって欠かせない存在です。日本など合法でない国も多いですが、誤解されている部分を取り除いていきたいと思っています。
ー現在展開されているカナダやアメリカ以外に進出したいと考えている国や地域はありますか?
オンタリオ州は、先駆者や研究者が集い、マリファナ業界でとても大きなリーダーシップを持っていると思います。カンナビは広く正しく理解され長く浸透していますし、ビジネス商機があります。ヨーロッパにはEUがあり、医療品目の基準があって参入が難しいです。アジアはほとんどの国でマリファナが合法化されていません。日本は医療業界でも使用が認められていませんね。患者の生活の質を上げるうえで、役に立つとは思うのですが。
ーアメリカ市場との違いは何ですか?
資金の面でも、アメリカは非常に大きな規模の潜在力があります。しかし完全合法ではないため資金にアクセスするのには問題が多いです。だからアメリカ企業はカナダに進出して資金を得る例が多くなっています。
ー新しく始めようと考えていることはありますか?
ブルーオーシャン市場を開拓しようと思っています。比較的リサーチがされていなく、研究が進んでいない分野で製品を作りたいですね。