みんなのポーテージ 1|楓の森の歩き方 第44歩
自然の中で土地勘を得るためには、自らの足を使って歩き、学ぶことが大切です。
オンタリオの地形と自然環境は、何百万年もの間で大きく変化し、4回の氷河期の影響を受けています。世界的にも有名なカナダ特有の岩盤の地層、カナディアンシールド(カナダ楯状地)は、カナダのほぼ3分の2のエリアに広がっています。
最後の氷河が一万年前に後退した後、オンタリオの地には膨大な数の湖と川が残りました。そして、氷河が削り去った場所には高い山も残らず、岩盤からなる楯状地は澄んだ水を湛えた高地となりました。その特徴をより顕著にとどめた場所が、アルゴンキンパークです。
そして、この土地で生活し、湖などの水域を渡るための生活手段として、先住民の方々がカナディアンカヌーを生み出し、カヌーを一人で担いで森の中を歩くスタイル、ポーテージを編み出しました。
アルゴンキンには、二千五百キロ以上のカヌー・ポーテージルートがあります。ポーテージの距離は数メートルから数キロメートルまで。これらのルートは沼地や湿地、岩盤地帯など様々な地形で構成されているため、天候の変化によっても大きく影響されます。
ポーテージのスタート地点や終了地点には、黄色いポーテージサインが付けられています。このサインには、場所の名前とポーテージの距離が示されています。沼地や湿地帯を横切る時、倒木を越える時、岩盤の上を歩く時など、フィールドの状況によって様々な歩き方のスキルが必要になります。時折、倒木にカヌーを立てかけて休憩したりもします。
重いカヌーや荷物を担ぎながらも、落ち着いて一息つけるようになれば、頭上のカヌー越しに森の中の風景や空気感を楽しむこともできるようになります。そうなれば、大きなカヌーを担いで歩くスタイルは、まるで森の中を悠然と歩くムースの様。カナダの大自然の一部になったかの様に感じられますよ。
そして、ポーテージの最終地点、湖や水路の入り口に着くと、カヌーを担いだまま水の中へ入り、カヌーに傷がつかないように一気に水の中へ反転させておろします!
この瞬間の開放感と達成感は、格別です!他に類を見ません。
まるでマラソンを完走した時のような達成感と充実感!そして、なにより水に触れることでの爽快感と開放感!!
このポーテージという世界的にも珍しく、北米ならではの文化を、ぜひ世界中の方々に体験、体感してほしいと切に願っています。
ポーテージはカナディアンの伝統的な生活と共にある芸術であり、周りの森林や動植物を観察し、森と湖をより身近に感じることのできる最良の手段です。
私たちOOAは、ポーテージチャレンジと銘打って、希望される方には、その方の体力に合わせた距離やコースを設定したポーテージ・トライアルを行なっています。
さぁ、森の中を駆けるムースの様になって、歴史的なカヌールートを楽しんでみませんか?
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Holly Blefgen(ホリー・ブレフゲン)
オンタリオ・アウトドアアドベンチャーズの代表。ナチュラリスト。春から秋にかけてカヌーととトレッキング、冬はテレマークスキーでネイチャーフィールド へ。30年余りに及ぶガイド経験を持ち、オンタリオ州及び日本における文化・歴史・自然にフォーカスしたツアーを通して、クライアントとその情熱を共有す ることを愉しみにしている。
Special Thanks, Cameron T Powell 写真 / アートワーク / レイアウト:尾西知樹 翻訳:瀧川貴子