森と湖のトラウト|オンタリオ州・アウトドアの魅力。楓の森の歩き方 第61歩
新緑の美しい初夏、今年は6月に入ってからも涼しく過ごしやすい日が続いていますね。湖の水温も未だ冷たく、魚たちにとっても過ごしやすい水温が続いているのではないでしょうか。
アルゴンキンパークなど北部の多くの湖は深く低い水温で、オンタリオ州南部の浅い湖とは異なり、トラウト(鱒)など冷たい水を好む魚たちが生息するのに最適です。これは、一万年以上前の最後の氷河期で氷河が削り取っていった結果、氷から溶けた水が大量にカナダ盾状地(カナディアン・シールド)の窪地に残ってできた産物です。
このような深い湖は、明確な水温の断層を形成しています。太陽光によって温められやすい表水層と深く冷たい深水層の明確な水温のレイヤーが存在し、トラウトなど冷たい水を好む魚たちは、冷たい水の層に生息しています。春先など、気温も低く、湖の氷が溶け、雪解け水も流れ込み、表層の水がまだ冷たい頃は、トラウトたちも川や湖の水面近くで活発に小魚や昆虫などを捕食しているので、岸からルアーなどを投げても釣りやすい季節です。
一方で、盛夏に近づき太陽光で水面の温度が温められると、トラウトたちは深く潜り、10メートル以上の深い深水層へと移動する変化がみられます。
アルゴンキンパークや北部の湖水エリアには、このような水環境から古くより美しいトラウトたちが棲みついています。
多くの湖で形成されているこのエリアは、山からの流水で形成されている日本の渓流環境とは違い、湖などの止水を好んで生息する鱒、レイクトラウトが棲んでいます。驚くべきことに、原種としてのレイクトラウトはオンタリオ州の約二千の湖でしか生息が確認されておらず、春先には孵化した昆虫や小魚を活発に捕食しています。日本にもアルゴンキンパークから中禅寺湖へ放流されて、繁殖定着に成功しています。
そして、北部の湖水エリアで最も美しい魚、ブルックトラウト。ブルックトラウトもこのエリアの原生種で、水温の低い川や湖に生息します。日本ではカワマスと呼ばれ、北米から移入された種が定着しています。ブルックトラウトは、冷たい水の流れる川にも生息していますので、川縁から釣ることも出来ますよ。
オンタリオの森と湖の大地の原生種であるレイクトラウトとブルックトラウト、この二つの鱒の交配種、スプレイクトラウトもアルゴンキンエリアに棲むトラウトの一種です。レイクトラウトとブルックトラウトの特徴を見事に併せ持つ、美しい鱒で、主に湖に生息しています。
トラウトたちの棲む湖や川の水は澄んでいて、美しくとても冷たい。
私たちはその水を『トラウト・ウォーター』と呼んでいます。そして、アルゴンキンなどの水源地のエリアでは、私たちもトラウトと同じ水を濾過なしで飲むことができるのです。
森と湖の大地のトラウトたちが棲むトラウト・ウォーターを目指して、カヌーと共に出かけましょう!
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Holly Blefgen(ホリー・ブレフゲン)
オンタリオ・アウトドアアドベンチャーズの代表。ナチュラリスト。春から秋にかけてカヌーととトレッキング、冬はテレマークスキーでネイチャーフィールド へ。30年余りに及ぶガイド経験を持ち、オンタリオ州及び日本における文化・歴史・自然にフォーカスしたツアーを通して、クライアントとその情熱を共有す ることを愉しみにしている。
Special Thanks, Cameron T Powell 写真 / アートワーク / レイアウト:尾西知樹 翻訳:瀧川貴子