第7回 仕事と趣味のiPhone DJ|カナダのしがないラーメン屋のアタマの中
明けましておめでとうございます。今からちょうど60年前の1969年、ニューヨークはマンハッタン、ヘルズキッチンのサンクチュアリというナイトクラブで、レジデントDJのフランシス・グラッソは2枚のレコードを世界で初めてミックスすることに成功しました。まだミキサーやヘッドフォンすらなく、レコードプレーヤーにスピードを調整するピッチコントローラーさえついていなかった時代のことです。それから60年、クラブDJという新たな職業が生まれて今では一晩で数千万円を稼ぐDJもいるぐらいで、クラブカルチャーの醸成は音楽業界に音楽フェスという年間60億ドルの巨大産業をもたらしました。
他方、テクノロジーの発達により、グラッソの頃のDJ機器を遥かに凌駕する機能がiPhone一台に収まるまでに技術革新は進み、わずか数ドルのアプリで誰もがDJを楽しむ事が出来る世の中になりました。
ということで今回はラーメンから遠く離れて、テクノロジーが可能にした趣味の「iPhone DJ」と、仕事との両立の話です。
ラーメン屋を運営するかたわら、趣味でiPhone DJをやっているのですが、そもそも「iPhone DJ」とは?という方が大半でしょう。というか、僕が勝手にそう名付けただけなので全員でしょうか。
「Djay」というアプリは本物のDJさながら曲をつないだり、エフェクトをかけたり、音の高低をいじったりして録音まで出来てしまうシロモノです。そこで録音したミックスを「SoundCloud」という音楽専門のSNSにアップしたり、曲と曲をつないだ1分間の動画クリップをインスタグラムにアップしたり、もちろんスピーカーにつなげば実際にDJをすることも出来るので、お酒の席で宴会芸的なノリで遊んだりしています。
「Good Music Box Boys」という名義でやっているので要チェケラという感じですが、遊んでばかりいないで仕事しろ、という声が聞こえてきそうですね。
でもちょっと待ってください。これだけテクノロジーが発達して、あらゆる技術がコモディティ化していき、それが安価で手軽に手に入り、今まで出来なかったことが出来るようになってきた世の中で、やりたいことがやれないという状況の方がオカシイのでは?という疑問を起点にしてみます。
誰もが持っているスマホで、数ドルのアプリを購入するだけで、時間も場所も選ばずにどこでもDJが出来るんです。いやいやそうは言っても時間がないでしょう。本当にそうでしょうか。往復1時間の通勤時間の電車の中、一週間で5時間、年間で260時間、日数にして年間10日以上もの可処分時間があるじゃありませんか。もちろん読書をすることもあれば、メールチェックをすることもありますが、自分は「iPhone DJ」をはじめておよそ7年間、トータルして1820時間もの時間をやり繰りしてきたわけですから、これが趣味として成立しない方が変だと思います。
携帯電話一台に様々なファンクションをカスタマイズ出来る世の中です。これを機能させない手はありません。いまは車通勤が多くなってきたので、「Kindle」や「Kobo」といったサービスで日本の書籍の電子版を購入して、読み上げアプリで車を運転しながら読書をすることに挑戦中です。今後、こういった新しい技術は人間の想像力を超えてアップデートされていくといわれていますが、それを使いこなせるかどうかは、何かをやりたいという強い欲求、出来ると信じる力や探求心など、人間の側にあるのではと感じています。
「雷神」共同経営者 兼 店長 吉田洋史
ラーメントークはもちろん、自分の興味や、趣味の音楽、経営の事や子育てのことなど、思うままにいろんな話題に触れていきます。とは言え、やはりこちらもラーメン屋。熱がこもってしまったらすいません。