中国は新たな挑戦のステージになりうるか?|カナダのしがないラーメン屋のアタマの中 第76回
先月、中国の内モンゴル自治区の首都フフホトという都市に視察に行ってきました。
内モンゴル自治区は、中国において3番目におおきい行政区画で、その広大な面積をいかした農業・畜産業が主要産業となっているほか、石炭や天然ガスといった資源にも恵まれ、レアアースの生産量は中国一、また風力発電容量が中国でもっとも多い地域です。
中国全体でみると近年は景気の減速、消費の縮小、物価はデフレ傾向とネガティブな話題が目立ち、不動産バブルの崩壊のニュースも記憶にあたらしいところですが、フフホトはまだまだポテンシャルを秘めた都市といえます。
総人口はおよそ340万人とトロントをしのぐ規模ですが、面積が広いため人口密度はトロントには及びません。しかし、中心部の経済発展には目を見張るものがあり、かつて訪れたアジアの急速な発展を遂げた都市特有の、新旧入り混じった不思議な感覚が思い出されました。
実際、NYのタイムズスクエアのようなギラギラしたネオンのすぐ隣では、お手製の無許可の屋台が立ち並び、縄張り争いや警察とのイタチごっこが繰り広げられているのですが、支払いはすべてAlipayやWeChat Pay。
アジアの喧騒とテクノロジーが混然一体となった独特なエネルギーを感じ、30時間の移動の末にホテルに到着したのは深夜12時をまわっていましたが、小一時間ほど屋台を散策しました。小綺麗な格好をした若者がいて、カナダで見るアジア系の若者とまったく変わりありませんでした。
ユニクロと無印良品があるものの、プライス的に高級ブランドという立ち位置で、日系の飲食店は吉野家があるくらいで、日本のラーメン屋はまだなく、ここでラーメン屋をやったらうまくいく、そう感じました。
人生初の中国でしたが、今回の視察でもっとも強く感じたことは、カナダや日本と中国は全然ちがうということです。それは文化や生活環境、ビジネス上での慣例や働き方など多岐にわたりますが、「普通はこうだ」とか「これが当たり前」、「一般的にはこう」は世界基準では存在しないという、忘れかけていた事実を改めて痛感させられました
いまカナダで日本食レストランを新しく始めることは、うまくいけばリターンが大きいのは事実ですが、一方でとてもリスクの大きい事でもあります。
雷神のオープン当初や引っ越しの際、インスペクターの休暇や役所の都合でオープンが大幅に遅れたり、予算を大幅に超えたり、スケジュールを組んでスタッフを雇ってもオープンできず、申し訳ない気持ちでいっぱいのなか辞めていってしまい、家賃だけが飛んでいきました。美味しいラーメンはすぐにでも作れるのに、それを待っているお客さんが大勢いるのに、悔しくて歯がゆい気持ちで、資金が底をつくのを何もできずに見ていなければなりませんでした。
それは、カナダで飲食店をやるうえでは「当たり前」のことで、今も変わっていません。
ラーメン、ひいては日本食が歓迎され、受け入れられていること、そしてここカナダでビジネスが出来ていること自体、ありがたいことだと思う一方で、これが先進国なのかとも思います。
加えて、今後は就労VISAが大幅に制限されることになります。この変更は、おそらくこの先10年は覚悟しなければならないでしょう。文句を言っても何も始まらないので、何かしら対策をしてうまく切り抜けていくしかないですし、これからも、いまある環境のなかでやれることをやり、変化に対応し、時代に順応していくだけなのですが、悶々としたものが残ります。
新しい土地で、全力で、現場の最前線で、がむしゃらにごりごりやって、自分のことも雷神のことも知らない人たちに向けて、美味しいを超える感動を与えられたら楽しいだろうなと、想像をふくらませた旅でした。







