カナディアン・ビジネスピープルに迫る。#02
グローバル展開をする日系企業で働く、カナディアン・ビジネスピープルに迫る。#2
日本を代表する企業が、ここカナダでも多岐に渡るビジネスを展開している。現地の社員たちはどのような考えを持って、自社のビジネス・商品・サービスを受け入れ、自分のキャリアに活かしているのだろうか。今回、企業と独立行政法人で働く6人のカナディアン社員に、ビジネス慣習や言語・文化の違い、仕事のスタイルなどについて実際感じていることや体験したことなどを語ってもらった。
資生堂カナダ
Erika Melanie Hogerwaardさん
部署 : Public Relations and Digital Marketing, Shiseido (Canada) Inc.
職歴 : 3years
趣味・特技 : Cooking, arts and crafts, fashion, travel, reading, and beauty products (of course!)
10代の時に母親から資生堂のスキンケア製品を教えてもらい、ずっと愛用してきたErikaさん。その時からいつか資生堂で働きたいと思い、現在は自分自身が大好きで自信を持っている商品を取り扱っている会社で働けて幸運だと語る。
学生時代からパートタイムで働いていたというErikaさんですが、同社でのキャリアについて教えてください。
学生時代の2008年の夏からマーケティング部門でパートタイムとして働いていました。2009年に私はライアソン大学でコミュニケーションの修士号を取得するために、一度資生堂を離れたのですが、2011年に卒業を迎える時、SHISEIDOのマーケティング部門、eマーケティング・全国広告コーディネーターのフルタイムのポジションの求人を見つけました。その時の喜びを今でも覚えています。その後、正規採用され、2011年9月から再び資生堂で働けることになりました。 2014年1月からは、Elaine Shigeishi副社長(SHISEIDOブランド)の下で広報・デジタルマーケティングスペシャリストとして働いています。 仕事内容としては、 “SHISEIDO”と“クレ・ド・ポー ボーテ”ブランドについて、カナダの出版メディアやオンラインメディアにおけるPRとコミュニケーションの戦略を開発・実行しています。急成長しているソーシャルメディア·プラットフォーム 、特にFacebookやTwitterを通して消費者やファンに対してのダイレクトなPRや、今年9月にリノベーションしたブランドのウェブサイト、Shiseido.caのメインテナンスなども行っています。また、消費者の皆さんに優れた品質と満足のいくサービスを受けられることを、当社のPRコンサルタント、キャサリン・ハミルトンやソーシャルメディア・コンサルタントのヘザー・マリンとともに発信し、広報しています。
ご自身も昔から愛用しているという貴社商品は、日本製品としてここカナダでも1ランク上のプレ・ステージ感がありますが、魅力を教えてください。
私は、10代の時に母に教えてもらい愛用しているのですが、ブランドのことを知れば知るほど、資生堂の最先端の技術と品質、そして美容業界の中でも最高の効果を持っているスキンケアやメーキャップなどについて、新しい発見ができることが非常に嬉しいです。この秋、私たちは、ブランドの象徴である“Ultimune Power Infusing Concentrate”を発表しました。私たちは商品を発売する前、効果などを確認するために実際に商品を試せるのですが、たった数日で私の肌が生まれ変わったことを実感し、驚きました。長年、資生堂ユーザーとして、十分健康な肌を持っている自信がありましたが、想像を超えてさらに美しく、瑞々しくなったことを実感しました。この胸が弾む感覚や周囲の反応で私は内面からも自信が湧き出て、美しくなれたような気がします。お客さま、友人や家族が、資生堂の商品を使って、彼らの肌が今まで以上に美しくなるのを見るとこの上ない喜びが沸き上がるのですがこの感覚こそが資生堂で働く私のモチベーションにつながっています。
日本の仕事のスタイルや日本のカルチャーなどを どう感じていますか?
日本企業で働くことは仕事面だけでなく私個人にも大きく影響を与えてくれています。私は日本の豊かな文化や世界をリードする技術や研究、そして仕事のスタイルなど多くの点で尊敬しています。カナダと日本、両方の仕事仲間に対して私自身がどのように敬意をもって立ち振る舞うべきか日々考えています。 仕事を通じて日本のカルチャーを意識するときはどんな時ですか? 定期的な日本本社とのコミュニケーションや日本製品・技術に囲まれているという点では、常に日本というものを意識しています。
仕事上での日本とのかかわりや思い出などを教えてください。
この夏、私は“Ultimune”の立ち上げで、グローバルなPR/ソーシャルメディアイベント支援のために、日本へ初めて行きました。とても貴重な機会で、私は羽田空港に着陸した瞬間から日本のことがとても好きになりました。私が想像していたよりも日本は美しかったです。主にはフリージャーナリストであり弊社のソーシャルメディア・コンサルタントでもあるヘザー・マリンをホストすることが目的だったのですが、彼女はハッシュタグ#heatherintokyoを使ってツイッターで日本での彼女の日常を発信し、“Ultimune”の魅力についても語ってくれていました。
また、資生堂企業資料館、資生堂アートハウス、資生堂掛川工場を見学に行きました。銀座にある資生堂パーラーと世界で最も忙しいといわれる伊勢丹デパート内にあるSHISEIDOカウンターにも行く機会にも恵まれました。その中で特に忘れられない経験は、“Ultimune”の発売を記念してアンダーズ東京の屋上で行われたガラ·パーティです。様々な業界から招待されたゲストの中にはSHISEIDOブランドのモデル、Sui Heさんや、世界的に有名な女優の菊地凛子さんを始め、多くの著名人がいました。このイベントは、最初から最後まで本当に圧巻され、また印象に残りました。
日本滞在中に始めての地震を体験したそうですね。
今回の日本滞在は短いものだったので、時差のせいで毎日早朝4時前には一度目が覚めていました。トロントに帰る日の朝も4時15分ぐらいに目が覚め、その時、部屋が歪むような感覚が私を襲いました。始めは疲れと日本を離れる悲しみからきているものかと思いましたが、揺れが激しくなり、窓や壁が軋み始めた時に地震だということに気が付きました。地震のないカナダで育った私にとって、初めての体験で本当に恐怖ですくみあがってしまいました。何をするべきか、誰に連絡すべきか分からず、隣の部屋で寝ているヘザーにメッセージを送るので精一杯でした。ホテルの49階から階段を使って降りるべきなのか、トロントにいる母に電話するべきなのか、911をするべきなのか、怖さで少しパニックになっていました。考えていたことは何もせずに、パスポート、携帯、夕食の残りとバスローブをもってバスタブの中に駆け込むことにしました。(何となく地震の時は風呂場が一番安全だという話を聞いた気がしたからです・・・) 地震が完全に止まった時に、私はゆっくりとバスタブからでて、トロントにいる家族と友人に無事を知らせるためにメッセージを送りました。飛行機に乗る前の昼食で、 日本の社員の方は私の行動に笑い転げていました。そして日本の建物は私が経験した地震よりも、何倍も強いものにも耐えられるように作られていることを教えてくれました。この経験は日本初心者の私にとって非常に怖かったのですが、なによりも文化的・社会的にもトロントと環境の違う東京で、出会った人たちが全て素敵だったことが印象的でした。日本がとても大好きになりました!
ご自身にとって日本企業で働いていることは今後の目標やキャリアステップにどう役に立っていくと思いますか?
日系企業で働くことは、高品質の商品とサービス、慎重かつ思慮深い意思決定、お互いに尊重し合う職場関係、そして我慢することの価値を教えてくれています。もし日本国外にある日系企業で働くチャンスがあったら、私たちが知っている以上に、ビジネスにとって大切なものを勉強することができると信じています。例えば、最近では社内メールの書き方を褒めてもらうことがありますが、それは日本とカナダの同僚から学んだことを実践した結果です。また、日系企業で働くことはアジア圏と西洋文化両方の価値や考え方を含めた世界ビジネスについて深く学ぶことができ、マルチカルチャーのカナダでは非常に大切なことだと思っています。