カナディアン・ビジネスピープルに迫る。#04
グローバル展開をする日系企業で働く、カナディアン・ビジネスピープルに迫る。#04
日本を代表する企業が、ここカナダでも多岐に渡るビジネスを展開している。現地の社員たちはどのような考えを持って、自社のビジネス・商品・サービスを受け入れ、自分のキャリアに活かしているのだろうか。今回、企業と独立行政法人で働く6人のカナディアン社員に、ビジネス慣習や言語・文化の違い、仕事のスタイルなどについて実際感じていることや体験したことなどを語ってもらった。
Sleeman Breweries Ltd.
Kelly Ryanさん
部署 : Sales department
職歴 : Over 15 years
趣味・特技 : Drinking beer
数多くの人気ブランドビールを抱えるスリーマン社で働くKellyさん。日本のサッポロビール社がスリーマン社を買収し、カナダ企業から日系企業へと会社が大きく動いた時期を経験している。会社の社風やカルチャーにどのように日本的な要素が取り入れられてきたのかを語ってもらった。
GTAのセールスマネージャーとしてお仕事をされているとお伺いしましたが、実際の業務内容を教えてください。
私はGTAエリアのセールスマネージャーとして働いています。GTAエリアを担当している営業部員と行動し、営業部員の業績などの管理を担当しています。また、GTAエリア内の各営業担当と営業戦略を立て、各個人、チーム毎のターゲットを設定します。設定した数字を達成できるように営業部門のスキル向上を目指し、教育・指導なども行います。その中には営業そのものに関する人脈構築力、プレゼンテーション力、コミュニケーション力などから、それらをバックアップする商品や産業についての知識や理解を深めるものなどがあります。そしてマーケティング部門と協力し、各クライアント用にスペシャルプログラムの企画・実行も行います。その他にMaple Leaf SportsやDistally Districtといった重要クライアントとの関係の維持と発展も非常に大切な仕事です。
カナダを代表する数々のブランドを持っているスリーマン社ですが、日本を代表するサッポロビールというブランドは、市場にどのように受け入れられていますか?
当社はサッポロビールのような国際ブランドビールからカナダ全土で人気のスリーマンブランドの他にも個性豊かなクラフトビールまで幅広い種類のビールを取り扱っています。この幅広いラインアップによって、日本食レストランからスポーツ・バーまで様々な顧客のニーズに答えることができます。
サッポロブランドの話をすると、私はサッポロブランドが当社のラインアップの中でも特に美味しいビールのうちの1つだと思っています。味の話をすると、サッポロブランドはとても伝統的でラガービールを代表するような味わいがあります。日常的に飲むのに非常に適しており、現在カナダのビール市場でもとても勢いがあります。サッポロビールにはアジア系レストラン以外など、まだまだカナダで受け入れられる余地はあり、今後ますます広がっていくでしょう。
2006年にサッポロビール社がスリーマン社を買収しましたが、親会社が日本企業となったことによって何か変化を感じましたか?
当社は2006年に日本のサッポロビール社がスリーマン社を買収して現在の企業形態になりました。社内の雰囲気はまだまだカナダ企業の傾向がとても色濃く残っています。一緒に働いている日本人の方が私たちの文化に合わせてくれている部分もあると思っています。私は日本人の皆さんがとても礼儀正しいく、非常に優れた計画性を持っているところをとても尊敬しています。
仕事を通して日本とカナダでビジネススタイルの違いを感じることはありますか?
主にコミュニケーションをとる時です。カナダのコミュニケーションスタイルは日本のものとは大きく異なります。我々はもっとカジュアルに話をし、直接的に意見を述べます。それに対して日本企業でのコミュニケーションスタイルはとてもフォーマルだと思います。
コミュニケーションスタイルに大きな違いを感じていらっしゃるようですが、異文化からくる誤解や問題などはありましたか?
サッポロビール社が上手くカナダとスリーマン社の文化を取り入れてくれているので、文化の違いから大きな問題が起きたことはありません。スリーマン社とサッポロビール社の双方がしっかりコミュニケーションを取り合い、一緒に働いていることで異文化が原因で起こり得る誤解を避けることができています。これはどのような企業にもいえることですが、日本企業が他国で成功するためのカギだと思います。
スリーマン社が日系企業になったことでご自身の今後のキャリアアップに関して何か変わりましたか?
2006年にサッポロビール社がスリーマン社を買収するまでにスリーマン社自身もオカナガンなどのクラフトビールブランドを買収してきていました。お互いに同じ会社の下にいましたが、密に連絡を取り合うことはあまりなく、個々で独立したままでした。現在の形態になってからは、スリーマン社で働く全ての従業員が一つの組織に属していると認識し、今では全ての州、全てのブランドが協力し合って機能しています。キャリア面をみても平等に昇進などのチャンス与えられおり、とても良い企業風土になってきていると思います。