賃貸契約に関する賃料アップおよび解約について|そこが知りたい!不動産のプロが教える賢いカナダライフ【第69回】
今回は、オーナー、テナント双方が正しく理解しておく必要のある、賃貸契約における賃料アップおよび解除についてお話したいと思います。

賃料アップについて
オーナー(貸主)はテナント(借主)に対して初年度(1年目)の賃貸期間が終了した後、もしくは前回の賃料アップから12ヶ月を経た以降、賃料アップを行うことができます。特に住宅ローンの金利の高い昨今では、少しでも賃料を上げてローン返済の足しにしたいのがオーナーの本音といえるかと思います。賃料アップは、契約更新と同じタイミングでしなければいけない、というルールはありません。例えば契約更新日が2024年1月1日からだった場合、賃料アップは同じ1月1日からも可能ですが、それ以降の例えば4月1日からのスタートでも可能です。オーナーは賃料をアップしたい場合、90日前までにテナントに対してN1フォームという通知書を送り、その書面に新賃料の金額ならびに適用開始日を記載する必要があります。
例:オーナーが2024年1月1日から賃料をアップしたい場合➡2023年10月1日までにN1フォームをテナントに送る必要があります。
レントコントロールとは?
賃料アップの上限率ついては、2017年より全住宅物件に適用となったオンタリオ州による「レントコントロール」が存在します。2024年の賃料アップの上限率(=レントコントロール)は今年同様、2.5%と発表されています。一方、2018年に「新しく賃貸物件として貸し出された物件、部屋についてはレントコントロールの対象外とする」という新たなルールが定められたため、2018年11月以降に建てられた物件については、オーナーがレントコントロールの上限率に捉われず賃料をアップすることができる可能性についてご留意ください。建築会社から引き渡しが終わったばかりの新築物件は、オーナーは早めにテナントを見つけて必要経費等を支払いたいことやアメニティ等がまだ完成していない場合もあることから、通常の賃料より10~15%程度低めに賃料が設定されているケースもあります。その場合、2年目の賃料はその時点のマーケットプライスに応じて大幅に上がる可能性もあります。
これを避けたい場合には、例えば「当初2年間は同じ賃料とする」等契約書に定めることができるか、オーナーと交渉されることをおすすめします。賃貸期間が2年間や3年間であっても、「賃料は当該契約期間中はアップしない」と明記されていない場合、オーナーは賃料をアップする権利を有したままとなりますので、契約締結時には十分にご留意ください。
レントコントロールに関する詳細はウェブサイトをご参考ください。
https://www.ontario.ca/page/renting-ontario-your-rights
賃料アップを言われた際のテナントの選択肢
テナントはN1フォームを受け取ったら、1か月間検討する時間があり、次の3つの選択肢があります。
①契約を更新する
オーナーの要求通りに賃料アップの金額を受け入れ、契約更新の意向についてオーナーへ知らせます。更新は固定期間またはマンスリーの2種類あります。
②契約を解除する
契約満期日60日前までにオーナーへメールまたはN9フォームという解約通知書で知らせます。
③オーナーと交渉する
コロナ禍でかなり賃料が低かった時期に貸し出しをしたオーナーにとって、レントコントロール対象物件であっても上限率を超えて賃料アップを求めるケースがしばしばあります。この場合、基本的にはテナントはこれを拒否する権利はありますが、悪意のあるオーナーは「じゃあ自分が住むから出て行って」と言って追い出そうとする可能性もゼロではありません(追い出した後に賃料を上げて再度貸出しします)。現在の同じ建物類似物件の募集価格なども参考にし、お互いの良好な関係を保つため双方で話し合い、交渉されることをおすすめします。ご不明な点がある際は自分のエージェントからアドバイスを受けたり、オーナーのエージェントに確認することをおすすめします。
契約の解除について
オーナーからの賃料アップの通知を受けて前述②の解約の選択をする場合、解約希望日より最低60日以上前にオーナーに書面によって解約通知を行う必要があります。
固定期間の契約状態の場合
契約書に特に定めがない場合、基本的に固定期間中は途中解約ができません。現行の賃貸契約期間の最終日(満期日)を解約日として、満期日より60日以上前までにN9フォーム(解約通知書)をオーナーへ送る必要があります。例えば70日前や80日前などさらに早めに通知することは問題ありませんが、解約日は固定期間の最終日より早めることはできず満期日となります。
例: 2023年4月15日から1年間の契約の場合➡満期日は2024年4月14日となり、2024年2月14日まであるいはそれより前に解約通知を送る必要があります。
マンスリーによる契約状態の場合
マンスリー契約においては、テナントは期日)を解約日として、満期日より日前通知によっていつでも解約が可能です。マンスリー契約においては契約最終日(解約日)は自分の契約の賃貸サイクル期間の最終日である必要があります。
例:
①初年度の契約開始日が1月1日で2年目はマンスリー契約に切り替わり、賃料支払日が毎月1日の場合、
2024年1月31日(又は1月中)にオーナーに知らせた場合➡解約日は2024年3月31日
②初年度の契約開始日が1月15日で2年目はマンスリー契約に切り替わり、賃料支払日が毎月15日の場合、
2024年1月14日(又はそれ以前)にオーナーに知らせた場合➡解約日は2024年3月14日
2024年1月15日以降(~2月14日まで)にオーナーに知らせた場合➡解約日は2024年4月14日
※ただし2月は29日(または28日)しかありませんので、2月にかかる場合には、数日早めに計算した方が安全かと思われます。
オーナーからN12を受けた解約の場合
前述の2つのケースとは異なりますが、オーナーが自己使用等の理由による契約解除の通知(N12フォーム)をテナントへ送った場合、N12に記載された契約最終日より前であっても、テナントはいつでも10日前通知で解約することが可能です。また、最終月のデポジットの返金の他に、すでに賃料を支払った当該月における残日分について賃料の返金を求めることができます。
例: 初年度の契約開始日が1月1日で2年目はマンスリー契約に切り替わり、N12を受け取った場合、
2024年1月15日にオーナーに知らせた場合➡解約日は2024年1月25日
(すでに支払った1月分賃料の中で、1月26日~1月31日の6日分について返金を求めることが可能)
正しい知識をもって、賃料アップや解約について対等に話し合いができるようにしましょう!
※物件の売却に関する査定、購入に関するコンサルティング、物件情報の提供など無料でご相談に応じます。お気軽にお問合せください。






