2021年第2四半期の賃貸マーケット|そこが知りたい!不動産のプロが教える賢いカナダライフ【第43回 】
皆さん、こんにちは!暑さの続いた夏が終わり、それぞれの新生活が始まった頃ですね。売買マーケットは今年2月に物件平均価格が初めて100万ドルを超えて以来、夏の間も毎月高値を記録し春からの活況はまだ続いています。
一方、今年第2四半期(4~6月)における賃貸マーケットは、コロナ前の状態にはまだ戻りはしなかったものの第1四半期と比べれば回復傾向が見られました。トロント不動産協会(Toronto Real Estate Board=TREB)の報告によれば、2021年第2四半期における賃貸物件募集件数は、春の不動産シーズン到来として増加(前年同期比14・7%アップ)。街に人が戻り始めた表れなのか、実際の賃貸案件成約数は前年同期比で倍近くに大幅増加しました。
バチェラー(ワンルームタイプ)、1BR、2BR、3BRのいずれの部屋タイプも平均賃料は前年に比べて下がりましたが、下がり幅は第1四半期に比べて緩やか、取引数は61~115%と大幅増加しました(図1)。
また、実際の成約結果によるコンドミニアムを中心としたアパートメント物件の平均賃料と成約数は図2の結果となっています。
まだ第3四半期(7~9月)のレポートは発表されていませんが、今年の夏を通じて感じたのは、大学生を中心として街に人が戻ってきていることを肌で感じました。1つの物件を複数人数で奪い合い賃料が吊り上がるBitting Warもあちこちで見受けられました。1800ドルの募集価格が2200ドルに、3000ドルの募集価格が3800ドルになる、などコロナ前同様のし烈な状況となっていました。同じ物件の条件なのに、6月に物件を探した方と8月に物件を探した方では、選べる物件数や取引価格(賃料)に大きな差が出たケースもしばしばありました。
図3は第2四半期における各地域のコンドミニアムの空室率です。第1四半期同様、トロントの空室率はトロントの空室率は1.7%、リッチモンドヒル市のあるヨーク地区は0.9%、ミシサガ市のあるピール地区は0.8%と、前年に比べて空室率は上がっています。昨年2020年第2四半期の各地区の空室率を比較すると、ハルトン地区だけ0.2%と非常に低く、物件不足が続いています。夏を通じて活発だった賃貸マーケットの結果として、第3四半期の空室率や平均賃料にも引き続き注目したいと思います。
2022年の賃料アップ率の発表
住宅物件において、オーナー(貸主)は、12か月毎に、テナント(借主)に対してオンタリオ州のガイドラインに基づいて賃料アップを要求することができます。賃料アップの上限は、物価上昇指数などを鑑み、毎年8月下旬~9月上旬頃にオンタリオ州政府から発表があります。
先日、来年2022年の賃料アップの上限は、「1.2%」と発表がありました。2021年は0%でしたので2%くらいは上がるかな?と思いましたが、コロナ事情を鑑みた低いアップ率に留まりました。
図4はご参考まで、全面的なレントコントロールが始まった2017年以降の上限率です。
なお、オーナーが賃料をアップしたい場合には、賃料アップを実施する90日前までに、通知書面(N1等)をテナントに送る必要があります。通知を受け取ったら賃料アップの開始日が通知を受け取った日から90日以降であることを確認してください。賃貸契約に記載された固定期間がたとえ2年間や3年間であっても、「賃料は当該契約期間中はアップしない」と明記されていない場合には、オーナーは賃料アップする権利がありますので、あわせてご留意ください。
https://www.ontario.ca/page/renting-ontario-your-rights
9月に一旦賃貸マーケットが落ち着き、これからはクリスマスシーズンに向けて最後に借手を探すオーナーたちが増える頃です。本格的に寒くなってしまう前に良物件との出会いを求めて、お部屋探しは早目にスタートしましょう!
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