2021年のレントコントロールとマンスリー契約における解約日について|そこが知りたい!不動産のプロが教える賢いカナダライフ【第31回 】
今回は、先日2021年のガイドラインが発表されたレントコントロールとマンスリー契約における解約日についてお話したいと思います。
2021年のレントコントロール
住宅物件において、オーナー(貸主)は次のケースに当てはまる場合、テナント(借主)に対してオンタリオ州のガイドラインに基づいて賃料アップを要求することができます。
① 最後の賃料アップから12か月以上経っている場合
② テナントが初めて入居してから12か月以上経った場合
レントコントロールはもともと1991年以前に完成した物件にのみ適用されていましたが、2017年4月に定められた「Ontario Fair Housing Plan」により、2017年より全ての住宅物件に対して、「レントコントロール」と呼ばれる賃料アップの上限が設けられることになりました。
賃料アップの上限は、物価上昇指数などを鑑み、毎年8月下旬~9月上旬頃にオンタリオ州政府から発表があります。図1はご参考までこの10年間の賃料上限率です。
注目されていた来年2021年の賃料アップの上限については、「FREEZE=2020年の価格を据え置き」とのことで、0%と先日発表されました。更新において、すでに来年度分の日付指定の小切手を渡している方で、見込みとして今年より賃料をアップしている方は、正しい金額での小切手と差し替えることについてオーナーと確認しましょう。
なお、レントコントロールは、①空室の物件や、②2018年11月15日以降に初めて入居者が入った住宅物件は対象外となります。②については、新築物件、既存物件の他にほとんどの新しい地下室のアパート物件にも適用されます。そのため、2019年や2020年に完成したコンドミニアム等にご入居される場合、レントコントロール対象外=オーナーが自由に賃料アップを決められる、ことになりますので、くれぐれもご留意ください。
また、オーナーが賃料をアップしたい場合には、賃料アップを実施する90日前までに、N1等の通知書面をテナントに送る必要があります。通知を受け取ったら賃料アップの開始日が通知を受け取った日から90日以降であることを確認してください。賃貸契約期間を2年間や3年間等1年以上の固定期間とする場合、当該期間中の賃料は同じのままであることが基本前提となりますが、「賃料についてはオーナーは12か月毎に規定に基づきアップする権利を有する」と契約書に別途追記されていないかご留意ください。
レントコントロールに関する詳細は、次のオンタリオ州規定の「レントコントロールの適用対象外」の項目に記載されていますのでご参照ください。
https://www.ontario.ca/page/renting-ontario-your-rights
マンスリー契約に関する解約日
Residential Tenacy Act(住宅賃貸法)に基づき、現在の賃貸契約期間が終わるまでにオーナーおよびテナント(入居者)双方ともに解約通知を行わない場合、当該契約は自動的にマンスリー契約に切り替わります。マンスリー契約において、テナントは60日前通知によっていつでも退去が可能です。
この「60日前の通知」は、自分で勝手に日付を決めることができるのではなく、最低60日以上の猶予を設けて、解約日は月末日である必要があります。
例えば、
2020年10月31日(または10月中)にオーナーに知らせた場合
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解約日は2020年12月31日
2020年10月31日(または10月中)にオーナーに知らせた場合
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解約日は2021年1月31日
契約開始日(=賃料支払日)が月中だからといって、月中に解約日が設定できるわけではない点についてご留意ください。月末で契約を解約したいのに、数日遅れて連絡して60日に満たない場合、「それでもいいよ」と応じてくれるか、厳密に60日以上を求めるかはオーナーとの関係次第かと思います。なお解約通知においては、メールでも大丈夫なケースもありますが、より正式な方法としては、N9と呼ばれる書面に記入した上、オーナー側へ送ることをお勧めいたします。
正しい知識をもって、オーナー側と更新や解約について対等に話し合いができるようにしましょう!
弊社では、契約更新時の交渉、書面作成等も承っております。お部屋探しに関する疑問・質問、ご要望についてお気軽にご相談ください。