最近のトロント住宅賃貸マーケットの現状|そこが知りたい!不動産のプロが教える賢いカナダライフ【第30回 】
今回は、気になる最近のトロントでの住宅賃貸マーケットの現状についてお話したいと思います。
トロント不動産協会(Toronto Real Estate Board=TREB)の報告によれば、2020年第2四半期の賃貸マーケットは、コロナウイルスの影響を受けて、賃貸物件募集件数は大幅増加(前年同期比42%アップ)した一方、実際の賃貸案件成約数は大幅減少(前年同期比24・8%ダウン)しました。特に学生などが主な借手であったバチェラー(ワンルームタイプ)の賃料ダウンと、1BR、2BRの部屋タイプの取引数がいずれも大きく落ち込みました(図1)。
また、実際の成約結果によるコンドミニアムを中心としたアパートメント物件の平均賃料と成約数は図2の結果となっています。
賃貸募集物件の増加は、コロナウイルス感染拡大防止策や外国人の入国規制による、Airbnbや短期サービスアパートメント等の物件の長期賃貸への転向、また感染拡大防止としてコンドミニアムが内見を禁止するなど、借手も少ないうえにさらに通常の案内業務を行うことができず、成約にこぎつけないことも要因として挙げられます。
賃料下降の要因は、需要と供給のアンバランスです。昨年は、人口増加による慢性的な住宅不足、短期賃貸物件増加による長期賃貸用物件の減少、低い空室率だったのに対して、今年は全く逆の状況です。人口流入の減少、長期賃貸用物件の増加など、供給過多の状況であるため、ここ数年で初めての借手市場となっています。今までは全く何も連絡がなかったのに、オーナーエージェントから内見後に「内見どうだった?借りてくれそう?交渉にもできるかぎり応じるよ」と電話があることもしばしばです。また現在ご案内をさせていただく中での肌感覚ですが、ダウンタウの1BRのコンドミニアムの賃料は通常より100~300ドル程度下がっているように思います。
一方、コロナウイルスの影響を受けて、在宅勤務が増えたことやコンドミニアムは不特定多数の人と出会うのを嫌う人たちによって、トロント郊外の戸建てやタウンハウスの賃貸物件のニーズは高まっていて、賃料も下がっていません。良物件は数日で無くなってしまうことも以前と同じです。
トロントの空室率0.9%、1000件に9件の空室に対して、北のリッチモンドヒルなどのヨーク地区は0.3%、ミシサガ市のあるピール地区などは0.4%とこれまでにない低い空室率です。昨年2019年第2四半期の各地区の空室率を比較すると、昨年のピール地区は1.0%、ヨーク地区の空室率は0.8%と、今年の近郊地区の低い空室率は特筆すべきものがあります(図3)。
新学期や新生活の始まる時期を迎え、トロントの不動産マーケットはこれからますます活発になる時期です。郊外や戸建てなど人気の物件は無くなるスピードも速くなる時期ですので、お部屋探しはお早目に!
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スターツコーポレーション 増田利加
Starts Realty Canada, Inc