こんなところで!?トロントで出会えるバンクシーの壁画|編集部ブログ
素性不明のアーティスト「バンクシー」をご存知の方も多いだろう。
バンクシーはイギリスを拠点とするストリートアーティストであり、政治活動家でもあり映画監督でもあるという。
1990年代からストリートアーティストとしての活動を始めたとされるが、素性不明で様々な憶測の対象となっている。素性不明の理由は、バンクシーの描く作品は“一種の落書き”であり、落書きは違法であることから、素性を明かしていないのだとか。
彼の描く風刺的なストリートアートは、ステンシル技法と呼ばれる独特な技法で描かれ、落書きの要素とダークユーモアの要素が組み合わさったメッセージ性の強い作品が多い。
世界中の街路や壁・橋に描かれた作品は、清掃によって消されてしまった作品も多いが、描かれた壁画を保護する建物の所有者もいると言われている。2007年に行われたオークションでは作品6点が860万円超で落札された。
世界中でバンクシー展が開催され、トロントをはじめ日本でも開催されている。
ここトロントでは、バンクシーが描いたとされる2つの作品が常設展示されているのだが、
一つは展示というより、壁画そのものが残っているのである。
先日、私は用事があり、セントローレンスマーケット近くのチャーチストリート沿いにある、たまたま通りかかったその場所で衝撃を受けた。
というよりも、一度素通りしてしまい、「ん?今のは?」と思い、元来た道を戻ってびっくり!
「バンクシーだ!」と思わず声に出してしまった。
“生のバンクシーが見れた”という驚きはもちろんなのだが、壁に描いてあるものがそのまま残されていることに本当に驚いた。四方を木枠で囲み、プレキシガラスで保護された状態の壁画がそこにあったのだ。
正直に言うと私は決してアートに興味があるわけではないが、それでも知っていたバンクシー。
完全にミーハー心でしばらくその場で見入っていた。
“さすが芸術の街・トロントだなぁ”、“こうやって残すなんて粋だなぁ”なんて考えながら。
トロントには、実際のバンクシーの壁画をそのまま残している場所がもう1か所ある。
ウォーターフロントのONE YORKビル2階に展示されている“Guard with balloon dog”だ。
これは、バンクシーが2010年5月にトロントに滞在していた頃に、解体される予定の建物に描かれた作品と言われている。新しく建築される予定の不動産会社の担当者が、描かれた壁ごと保存することを決め、ガラスで保護された状態で、こちらの建物の一角に展示されている。
壁画の裏側には、発見された当時の写真も飾られている。
トロントには元々7つのバンクシーの作品があったとされているが、現在残っているのはたった2つだ。
残りの5つは建物ごと取り壊されたり、消されてしまったのだそう。
ますます貴重に感じる2つのバンクシー作品。
ぜひ足を運んで見ていただきたい作品だ。
■Banksy tiny tag
■Banksy’s original art “Guard with balloon dog”
Y U K A
宮崎県出身。日本で約13年間理学療法士として働いた後、2020年に家族でトロントへ移住。二人の娘を育てるママライターです。趣味は料理とネットサーフィン。日本ではなかなか手に入らない食材の宝庫であるスーパーが大好きで、新しいものを見つけては美味しく調理できないか試行錯誤している時間が楽しみの一つです。