【第52回】いまさら聞けない「S&Pトロント総合 指数(S&P/TSX Composite Index)」って何?|みらいのカナダ株式投資大作戦
今回は、カナダ市場を理解する上で大切な「S&Pトロント総合指数(S&P/TSX Composite Index)」について、簡単な特徴解説と、資産形成への活用方法を紹介します!あなたの資産形成のお役に立つと嬉しいです。それでは一緒にみていきましょうー!
S&Pトロント総合指数とは
S&Pトロント総合指数はカナダ籍の企業223社(2024年10月時点)の株価から求められる株価指数。「カナダの経済的な健康度を示す指標」の1つです。
この指数は1975年を1,000ポイントとして設定され、現在までに25倍近い24,716ポイント(2024年10月23日)まで上昇してきました。
カナダ市場の株価はずっと上がり続けてきたのですね。
223社の組み入れ比率は「浮動株時価総額加重型(Float-adjusted market cap weighted)」で決まっています。この方法では、企業の規模(時価総額)に応じて、ある銘柄の影響は大きく、ある銘柄の影響は小さく抑えます。
そのため、特に時価総額の大きな企業の影響を受けやすいのが特徴です。
では、今S&Pトロント総合指数でもっとも影響の大きい企業を知ってますか?
答えはRoyal Bank of Canada(RY)。同行以外にもカナダには大きな銀行がいくつかありますよね。
いずれの銀行もトロント総合指数に与える影響は大きく設定されています。
S&Pトロント総合指数の上位10銘柄を見ると、金融やエネルギーなど、昔ながらの企業が並びます。これはカナダ市場の重要な特徴の1つです。
また、IT企業としてShopify(SHOP)が上位3番目に含まれています。2020年、同社はトロント総合指数の最上位銘柄になりましたが、2022年には上位10銘柄から外れてしまいました。
企業の規模(時価総額)に応じて、指数への影響度合いが常に変化するのが時価総額加重型の特徴です。
トロント総合指数を資産形成に使うには
では、S&Pトロント総合指数をどう資産形成に活用するか。
例えば、ETF(上場投資信託)を使うとS&Pトロント総合指数に「投資」できます。S&Pトロント総合指数が値上がりすれば利益を得て、値下がりすれば損失を被る、みたいな運用ですね。
S&Pトロント総合指数に連動するETFには次のような商品があります。
iShares S&P/TSX Capped Composite Index (ティッカー:XIC)
BMO S&P/TSX Capped Composite Index (ティッカー:ZCN)
XICはS&Pトロント総合指数と同数の236社に一括で投資できる商品です。S&Pトロント総合指数と同じように値動きし、1年間で約3%の分配金を受け取れます。
ZCNもXICとほぼ同じ商品ですが、XICは米国企業のブラックロックが運用しており、ZCNはカナダ企業のBank of Montrealのグループ会社が運用している点が違います。
もし、「株式投資は難しい」「どの企業を選べばよいのか」と悩んだら、「ETFや投資信託(Mutual Fund)を使って市場に丸ごと投資する」という方法もぜひ知っておいてほしいです!
こんな点に注目してみよう
さて、S&Pトロント総合指数を資産形成に使う時に注目すると良い点を簡単に紹介しますね。
2008年の世界的な金融危機以降、高成績を出したのはアメリカのハイテク企業でした。一方、2021年から2022年にかけては、記録的な原油高の影響で、カナダ市場が恩恵を受ける場面もありました。
産業ごとに得意な経済状況、不得意な経済状況というのがあります。特に金融やエネルギーがどんな時に強いのか調べてみると面白いと思いますよ!
まとめ
S&Pトロント総合指数はカナダ市場の健康度を表す株価指数で、資産形成にも活用できますというお話でした。
ところで、この話題、実は連載1回目で触れたものです(3回目笑)。
当時のS&Pトロント総合指数は16,183ポイントでしたから、4年間でだいぶ値上がりしてきましたよね。
「できるだけ長く投資し続ける」
それを実感できる4年間だったと思います。これからも、一緒に投資し続けましょうね!